日本戦車を改造する。

ゆみすけ

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ソ連軍の解析。

共産党の軍隊とは・・・

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 「君が、今野少尉だな。」「え、え、高野主任ですか。」「そうだ、よろしく。」「こちらこそ。」と、二人はテーブルについた。 「まあ、その何だ。」「ハァ。」「ソ連軍のことなんだ。」「君は、ロシア軍とソ連軍の違いを、どう見る。」と、高野主任だ。 技術的な話かと思っていた今野は、とまどうが・・・「日露戦争のロシア軍と、満州国で対峙するソ連軍との違いですか。」「そうだ。」・・・「そうですね、歩兵なら。」「うむ、それでいいから。」「歩兵はトボトボ歩きますね。」「特に、遊牧民の兵はやる気というか、まあ弾除けらしいですから。」「それに、モスクワから遠方ですし、私はロシア軍を相手にはしてませんが、先輩から聞いた話では、コサック兵の突撃はすごかったとか。」「らしいですね。」「まあ、皇帝の軍隊でしたからね。」「そして、ソ連は同志と呼ぶらしいですが。」「あまり、ソ連兵から愛国心は感じられませんね。」「ソ連兵には首都から遠いシベリアの果てですからね。」「政府に逆らうと、シベリアへ送られるとか。」「ある意味、私は日本軍でよかったですよ。」「すくなくとも、戦う意義はありますからね。」 「ふむ、おおよそ思ったとうりだな。」と、高野主任だ。 「それで、君らが鹵獲したソ連軍の戦車だが。」「え、え。」「あれは、大いに役にたったよ。」「それは、上々ですね。」「あ、あ、鋳造技術は、わが国より進んでいる。」「砲塔の一体成型なぞ、わが国では無理だ。」 「ソ連戦車と対抗できる点は照準器と砲弾くらいだったよ。」「まあ、情けない話であるが。」と、高野主任だ。 「デーゼルエンジンはどうですか。」と、今野少尉だ。 「まあ、トントンだな。」と高野だ。 「デーゼルエンジン発明国のドイツほどではないな。」「燃料噴射ポンプが、雑な作りだった。」と、高野はソ連製をこき下ろした。 「手先は日本が勝ってるな。」ともいうが、「だだ、雑ではあるが侮れない戦車だ。」「そうですね、同数で鹵獲戦車と我が戦車と模擬戦をやったんだすが。」「どうだった?」と高野だ。 「ソ連戦車が勝ちましたよ。」「奇襲や奇策でしか、まともに当たれば勝てないと思いますよ。」「やはり、そうですか。」「え、え、大量にシベリア鉄道で送られてきたら・・・」と、今野は、本音を漏らした。 3回の戦闘での勝利は、ソ連軍のヤル気の無さに助らているのだ。 それを知ってる今野少尉である。 一党独裁の共産主義は、個人の尊厳を尊重しないのだ。 それは、兵士のヤル気にも影響するのである。 恐怖で人を支配するのは限界があるのだ。 モスクワから遠いシベリアでは、国を守る実感なぞ沸きはしないのだ。 では、どこが日本戦車の問題なんだろうか? 馬力か装甲か、それとも戦車砲なのか。 今野と高野は、いよいよ本題へ話が進んでいった。
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