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富士学校。
募集をかける。
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「懐かしいな。」と、見覚えがある校門だ。 もちろん、守衛がいるのだ。 退役した兵の第二の職場である。 早い話が、爺さん兵だ。 幹部への道を選ばなかった者だが、それも人生なのだ。 敬礼して通り過ぎる。 一応、アポは取ってあるから、すんなり通れたのだ。 なんせ、軍隊の学校である。 女子校ではないのだ。 お堅いところであるのだ。 二宮金次郎像の代わりに、陸軍は乃木将軍像である。 海軍は東郷元帥像である。 今野少尉は軍服である。 そこは、母校を訪問だ。 満州みやげも持参したのである。(手ぶらではないのだ。) 職員室を目指す。 「コン、コン。」と、ノックだ。 「入れ。」との声だ。 「今野少尉、入ります。」と、デカイ声で入る。 「おう、久しぶりだな。」「元気にしてるか。」「おう、生きてたか。」と、教官らが迎える。 「まあ、ここではなんだ。」と、応接室へ案内だ。 「まあ、座れよ。」と、奥の上座を勧められる。 つまり、客人扱いだ。 そこは、在校生ではないからだ。 「いえ、自分はこちらで。」と、当然にドアの側へ座る。 「入ります。」と、元気な声だ。 学生がお茶をお盆に掲げてもってくる。 そこは、軍隊だ。 機敏な動きである。 なんか懐かしい今野だ。 「さて、あの話だったな。」と、恩師が・・・「そうです、人員が足りんのです。」と、今野だ。 「それは、わかるが・・」と、言いにくそうな感じである。 「募集の啓示はしたのだが・・」と、恩師だ。 「だれも、いまのところは・・・」との、つげない返事である。 まあ、予想どうりだが・・ 陸軍でも機甲科は飛行科に告ぐ、競争が激しい科である。 歩兵科とは違うのだ。 飛行科、機甲科、砲科、騎馬科など落ちたヤツは歩兵科なのだ。 人員も多い。 それで、満州のソ連への防備など、一番危険な兵なのだ。 つまり、最前線なのだ。 そこを、希望するヤツなんて皆無だ。 「つまり、即戦力は無理と・・」「言いにくいが、そうだ。」 沈黙が流れる。 やがて、教官が、「ここは、歩兵科で募集をしてみたらどうだ。」と、「歩兵科でも、搬送員なら自動車は運転できるそうだ。」つまり、運搬係のことだ。 まあ、トラックでの運搬となるからだ。 馬での搬送は騎馬科である。 「なかなか優秀らしいぞ。」と、教官は慰めるのだ。 「オレの知り合いが、居るから学生をまわしてもらおうか。」とも言ってくれた。 「ぜひ、お願いします。」と、答える今野少尉だ。 自動車運転も技術の時代であった。 なぜなら、一般市民は自動車なぞ夢の時代だからだ。 そして、軍部も個人の希望を尊重していたのである。 何事も、強制されては、ヤル気も出ないものだからである。 そして、ある程度の成果があった本土への渡航であった。 「さて、これで建て前は済んだな。」と、今野は陸軍の兵器工廠を目指した。 そこの、機甲工廠の門を・・ まあ、ここで身分証明に時間が・・・ なんとか、工廠の技師にアポがあったので入れた今野だ。 そこで、敵兵器解析課のドアをノックである。 「入れ。」との返事だ。 ドアを開ける。 そこには・・・・
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