日本戦車を改造する。

ゆみすけ

文字の大きさ
上 下
18 / 393
これが、戦車の砲撃だ。

前線での砲撃。

しおりを挟む
 普通、大砲は前線にはでてこない。 安全な後方から撃つのである。 
なぜなら、即動かせないからだ。 重いし、トラックや牽引車で曳くのだ。 
リヤカーを曳くのではない。 何十トンもある大砲を曳くのである。 
それで、後方からの支援砲撃となるのである。 
しかし、満州は平原の広がりだ。 視界が広い、水平線まで見通せるのだ。 
河が少なく、荒野が多いのだ。 日本本土からは、想像できない世界であるのだ。 
「ここでは、砲撃するまえに、位置が知られてしまいそうだな。」 「だから、戦車なんだよ。」 
「満州平原は戦車しか支配できないだろう。」 派遣陸軍武官が感想を述べる。 
彼は、日本陸軍から満州国軍へ派遣された武官だ。 
つまり、満州軍へ近代的戦術などを教えるために派遣された武官である。 
技官は兵器などの技術面だが、武官は戦略などである。 
「馬で曳く砲では、たかが知れている。」
「そうだな、せいぜい半トンだから、豆鉄砲だな。」 「うむ。」 
「やはり、それなりの飛距離となると、戦車砲しかないな。」と、結論づけた。 
「荒野で、草の高さも低いからな。」 と、どう見ても腰までしかない草原だ。 
まあ、水も栄養もすくない満州の土だ。 すこしある山も禿山ばかりだ。 
「ここの住民は植林なぞしないのか?」 「あ、あ、木は切って、薪として燃やすだけだ。」 
「日本人とは別の人間さ。」 「外観は似てるから、イヤだがな。」 
日本人同士だと、シナ人への差別用語が出るのである。 面と向かって言わないだけである。 
「それでも、満州国民はシナよりはマシだがな。」・・・武官らは、トラックへ乗り込んだ。 
荒れ地はトラックの走破性がいいからである。 乗用車では、無理である。 
「しかし、なんでトラックなんだよ。」と、乗り心地へ不満タラタラだ。 
「さすがに、この距離は馬ではな。」 馬は生き物だ。 100キロ、200キロの行軍は半日では無理である。 「戦車も、無理だぞ。」 「まあ、1リッターで300メートルだから、タンクが400入るから、そうだな平原なら100キロぐらいかな。」 
「それを、10時間で行軍できるのだ。」 
「うむ、やはり満州は戦車しかないな。」と、馬の運用はあきらめた武官であった。 
日露戦争では、馬しかなかったんだが・・・ 機甲部隊の構築で戦略がガラっとかわってしまったのだ。 
そう、グーデリアンの戦略である、電撃戦である。 
歩兵まで、すべての兵が軌道兵器に搭乗して進軍するのである。 
「戦車以外にも歩兵を運ぶ運搬車が必要になるな。」と、武官は今後の兵器運用まで想像する。 
いきなり兵器はできるものでもないからだ。 最低でも、数年は掛かるのだ。 
今は戦時ではないから、軍事費も少ないからである。 
「歩兵運搬なら、トラックしかないだろう。」と、他の武官がいう。 
「まだ、荒れ地を走破できるトラックは出来ていないぞ。」 
「オレは、内地で四駆なる名前のトラックを見たことがあるが・・」 「あれは、まだ実験段階らしいが・・」 「でも、動いていたぞ。」 「いや、まだ大量生産が・・」 話は尽きないようだ・・・・・
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

ねえ、センセ。―粘着系年下男子の憂鬱

恋愛 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:25

糸目令嬢はなんにも見たくない

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:14pt お気に入り:88

婚約破棄されたのでボクシング習ってボコボコにすることにした

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:15

処理中です...