日本戦車を改造する。

ゆみすけ

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今野少尉の知識。

さすが、機甲科だ。

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 「それで、エンジンなのですが。」と、技師のひとりが戦車のエンジンについて説明を始めた。 
今野少尉は納得して聞いているようである。 
機械用語が飛び出すが、理解してるのかな・・・ 
「それで、デーゼルですから。」と、技師が続ける。
「燃料切れには注意してください。」 
すると、少尉は、「そうだな、カラにすると再始動が大変だからな。」
 この少尉はデーゼルエンジンの欠点を知ってるのか・・・ 
デーゼルは燃料切れすると、軽油をタンクに入れたただけでは、エンジンが掛からないのだ。 
デーゼルエンジンは、燃料切れを起こすと燃料系統に空気が入ってしまい、給油しても圧送できずエンジン始動が困難になってしまう。 
それで、空気を抜くポンプがあり、それを、手動で動かすのである。 (現在の最新デーゼルは取説に従ってください。) 
つまり、エンジンカバーを開けて、中にあるレバーを何度も動かさねばならない。 
それを、知ってるのか、確か装甲車はガソリンエンジンだから・・・ 
「少尉殿はデーゼルも詳しそうですね。」と聞いてみた。 
「自分は陸軍機甲科の出ですから。」と、ニガ笑いだ。 
「バラバラの部品からエンジンを組み立てる競技も、やらされましたよ。」 
「まあ、一番にはなれませんでしたが。」と続ける。 
「では、それなりに説明は・・」 「いえ、詳細にお願いします。」と答える少尉殿である。
 冷や汗をかきながら技師は説明を続けた。 下手に間違えると恥だからだ。 
そして、砲塔内の説明だ。 「これは、いままでと違い、砲塔がカゴになっていて、砲身と床が同時にうごきます。」 
「つまり、車内で座れるんだな。」 「そうです。」 
「それは、助かる、装甲車は違うからな。」 まあ、初めて日本戦車の取り入れられた構造なのである。
 でないと、戦車砲が重すぎて、砲塔を人力では廻すのが時間がかかるからである。 
背後を敵にの対処が遅れてしまうのだ。 
戦車は背後を取られるとヤバイのである。 戦車の後部は装甲が薄いのである。 
「戦車砲はエンジン動力を迂回してギアをまわしています。」 
「満州は寒冷ですから、蓄電池がもちませんので。」 
「なかなか、造るのに苦労されたんですね。」と少尉が感謝を示す。 
当時の蓄電池(バッテリー)は鉛蓄電池だが、性能も悪く寒さで電圧がさがり使えないことが多々あったのである。 それは、装甲車でも苦労していたらしい。 
「満州国境でシナの越境行為で出撃したときは季節が冬で、エンジンがかからず苦労しました。」と、少尉がこぼした。 
「それで、エンジンの下に蝋燭を灯して、オイルをあたためて、蓄電池も温めたんですよ。」と、少尉が加える。 「これの蓄電池は断熱容器に入れてありますから、多分OKとは思いますが。」と技師が続ける。 
「寒冷には、それなりにこだわりました。」と、締めくくる技師である。 
満州の寒さは日本本土の比ではないのだ。 
もう、寒いを通り越して、寒痛いのである。 
テントで寝ていても、鼻水が凍るのだ。 
それは、経験した者しかわからないのである・・・・・・
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