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ここは、戦わずに報告だ。
偵察とは・・・
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「いかん、すでに冷たくなっている。」と、歩哨を観ていた兵がつぶやく。
「付近には、露スケは見当たりません。」と警戒していた兵が告げる。
「認識票だけ持っていこう。」と、倒れていた歩哨の認識票を外した。
「全員、黙とう。」 「では、偵察を続行する。」
「戦車、前進だ。」車長が指示だ。
「おう。」 (戦死した歩哨は後程、衛生兵らが回収するのだ。)
「エンジン音は絞ってくれよ、敵前線が近い。」 「了解です。」
戦車の進行方向は車長が足で、操縦士の肩の進む方向をつつくのだ。 蹴るのではない、ツンツンとつつくのである。
停止は両肩を、つつく。
車内が狭い、当時の日本戦車ならではの進行方向指示のやり方である。
現在は座席が別々であり、無理である。
砲塔で双眼鏡で偵察したいた車長が、「停止しろ。」と叫んだ。
途端に、あたりは静かになる。
砲塔から地上に降りた車長は双眼鏡片手に、すこし前に進んでしゃがんだ。
ちょうど、うまい具合に付近の岩で自身の身が隠れて・・ と、車長が手招きだ。
操縦士は席を離れるわけにはいかないから、砲手兼機銃手が近づく。
双眼鏡を車長が渡す。 そして、示す方を観た。
ソ連軍だ、ソ連兵が休憩している。
数は歩兵が30人ほどで、小隊である。
戦車は見当たらない。
ソ連は、戦車をドイツ帝国方面に展開していて、シベリア鉄道が不完全なので満州方面には展開していないと聞いていたが、どうやら本当のようだ。
なんせ、日本軍は、今のいままで戦車がなかったからね。 今は、1両あるが。
「どうやら、アレに歩哨は殺られたんだろう。」
「でも、ここは国境ギリです、ここがソ連とも満州とも微妙ですから。」
「そうだな、ここは偵察が任務だ、記録して帰還するぞ。」 「了解です。」
なぜ、砲手にソ連軍を見せたのか、それは新兵教育のためである。
緊張する満州国境だが、まだ本格的な対ソ連戦ははじまっていないからだ。
敵を知り、己を知れば百戦危うからずである。
そして、相手に悟られることなく偵察班は帰還するのが仕事である。
偵察や斥候は帰って報告してナンボである。 特攻隊ではないのだ。
帰って報告が仕事である。
なるべく戦闘は避けなければならない。 敵に悟られては意味がないからだ。
「我が軍の歩哨が殺らたのは悔しいが、カリは必ず返す。」と自信に言い含めて帰還する虎1号であった。 ・・・ 「うむ、ソ連兵が小隊で、武器は・・・戦車は見当たらない、ふむ。」
「よくやってくれた、休憩してよし。」「ハイ、わかりました。」と、敬礼する車長である。
答礼で返した司令は作戦会議である。
やがて、偵察した車長が隠し撮りした敵兵の写真ができあがる。 3枚である。
付近の風景と、場所が特定できるモノを入れて1枚、そして敵兵を1枚だ。
なんせ、フィルムが高額だった頃である。 枚数制限はあるのだ。
「司令、ソ連は最新の銃器で武装してるんでは?」 とソ連兵を拡大した写真を観る。
「ふむ、これはウワサのAK47か?」
「だぶん、なると我らも38式では勝てないかと。」
「うむ、これは本土の軍令部へ知れせねばならんな。」
だんだん、話が大きくなってきたような・・・・・
「付近には、露スケは見当たりません。」と警戒していた兵が告げる。
「認識票だけ持っていこう。」と、倒れていた歩哨の認識票を外した。
「全員、黙とう。」 「では、偵察を続行する。」
「戦車、前進だ。」車長が指示だ。
「おう。」 (戦死した歩哨は後程、衛生兵らが回収するのだ。)
「エンジン音は絞ってくれよ、敵前線が近い。」 「了解です。」
戦車の進行方向は車長が足で、操縦士の肩の進む方向をつつくのだ。 蹴るのではない、ツンツンとつつくのである。
停止は両肩を、つつく。
車内が狭い、当時の日本戦車ならではの進行方向指示のやり方である。
現在は座席が別々であり、無理である。
砲塔で双眼鏡で偵察したいた車長が、「停止しろ。」と叫んだ。
途端に、あたりは静かになる。
砲塔から地上に降りた車長は双眼鏡片手に、すこし前に進んでしゃがんだ。
ちょうど、うまい具合に付近の岩で自身の身が隠れて・・ と、車長が手招きだ。
操縦士は席を離れるわけにはいかないから、砲手兼機銃手が近づく。
双眼鏡を車長が渡す。 そして、示す方を観た。
ソ連軍だ、ソ連兵が休憩している。
数は歩兵が30人ほどで、小隊である。
戦車は見当たらない。
ソ連は、戦車をドイツ帝国方面に展開していて、シベリア鉄道が不完全なので満州方面には展開していないと聞いていたが、どうやら本当のようだ。
なんせ、日本軍は、今のいままで戦車がなかったからね。 今は、1両あるが。
「どうやら、アレに歩哨は殺られたんだろう。」
「でも、ここは国境ギリです、ここがソ連とも満州とも微妙ですから。」
「そうだな、ここは偵察が任務だ、記録して帰還するぞ。」 「了解です。」
なぜ、砲手にソ連軍を見せたのか、それは新兵教育のためである。
緊張する満州国境だが、まだ本格的な対ソ連戦ははじまっていないからだ。
敵を知り、己を知れば百戦危うからずである。
そして、相手に悟られることなく偵察班は帰還するのが仕事である。
偵察や斥候は帰って報告してナンボである。 特攻隊ではないのだ。
帰って報告が仕事である。
なるべく戦闘は避けなければならない。 敵に悟られては意味がないからだ。
「我が軍の歩哨が殺らたのは悔しいが、カリは必ず返す。」と自信に言い含めて帰還する虎1号であった。 ・・・ 「うむ、ソ連兵が小隊で、武器は・・・戦車は見当たらない、ふむ。」
「よくやってくれた、休憩してよし。」「ハイ、わかりました。」と、敬礼する車長である。
答礼で返した司令は作戦会議である。
やがて、偵察した車長が隠し撮りした敵兵の写真ができあがる。 3枚である。
付近の風景と、場所が特定できるモノを入れて1枚、そして敵兵を1枚だ。
なんせ、フィルムが高額だった頃である。 枚数制限はあるのだ。
「司令、ソ連は最新の銃器で武装してるんでは?」 とソ連兵を拡大した写真を観る。
「ふむ、これはウワサのAK47か?」
「だぶん、なると我らも38式では勝てないかと。」
「うむ、これは本土の軍令部へ知れせねばならんな。」
だんだん、話が大きくなってきたような・・・・・
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