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鋼鉄の軍艦だ。
戦艦、完成ス・・・
しおりを挟む 「できやしたぞ、客人。」 と船大工がオレに・・ 「そうか、とうとうできたか。」 と一緒に汽車で造船ドックまで駆け付けた。 まあ、はやく観たいからだが。 汽車の窓から造船所の屋根が見える。 屋根だけで、吹き抜けだから、フネの外観がわかるのだ。 「おお、あの真っ黒なヤツだな。」 「そうでげす。」 「長さは?」 「図面どうりにはいかないですだ。」 「まあ、それはわかるが。」 「すこし、長くなりやした。」 「そうだろうな。」 「蒸気機関は8気筒のヤツでがす。」 「あ、あ、新式機関だな。」 まだ、蒸気タービンは無理だった。 模型でも、うまくいかない。 ボイラ圧があがらないのだ。 「船体は錆びない鋼板をつかっただ。」 つまり、ステンレスだ。 つまり、錆止めの塗料が完成しないからだ。 そして、溶接がうまくいかない。 それで、ボルトとナットで船体を接合したらしい。 「防水は?」 と聞いたら。 「それは、それだがや。」 と誤魔化したのだ。 あとで、他の船大工に聞いたら、蒸気機関から動力を廻して、排水ポンプを廻しているらしい。 つまり、常に排水のために蒸気エンジンが・・・ それなりに、でかい船だ。 「で、大砲はどうする?」 とオレが聞いた。 「いま、カノン砲を鋳造したるんだべ。」 「そうか、カノン砲か。」 かっこういいから勝手につけたカノン砲の名前である。 ライフルの溝を砲金でつくり、鋼鉄で外部をおおったヤツだ。 もちろん、前込めではない、後ろ込めの大砲である。 砲塔をつくり、そこに1門つけるのだ。 軍艦は前と後ろとの2門砲塔である。 砲塔の動力は蒸気機関である。 でないと、重すぎて人力では無理なのだ。 口径は75ミリである。 つまり、75ミリ砲である。 戦艦大和の46サンチは将来の夢だ。 大砲の給弾は人力だから、75ミリの砲弾がギリなのだ。 重くて、75ミリの砲弾がギリなのだ。 もちろん、爆裂弾である。 他に、城塞を破壊する徹甲弾や散弾を仕込んだヤツもあるのだ。 そして、砲塔が完成した。 砲塔が大砲より大切な部分なのだ。 ここが、しっかりしていないと命中しないからだ。 いくら、大砲が良くても、台がダメでは当たらない。 当たらなければ大砲なぞ怖くはないのだ。 距離を測る光学測定の距離計を設計する。 オレは、転生する以前の世界でカメラが好きだった。 写真はうまくない。 カメラの仕組が好きだったんだ。 光学距離計なぞ、オチャノコである。 日本海海戦で、東郷元帥が艦橋にいるが、側で長い棒を覗いているヤツが、覗いてるのが光学距離計である。 棒が長いほど正確だ。 戦艦大和は日本光学製の14メートルだそうだ。 ガラス工房で、プリズムをつくり、艦橋に回転する光学距離計をつけた。 もちろん、艦橋の上にでている。 でないと、距離計は一番高いところがいいからだ。 さて、完成した軍艦で、訓練である。 大砲が当たらなければ欧州への砲艦外交が成功しないからである。 日本海軍ではないが、月月火水木金金である。 オレの辞書に、休日の文字なんぞ無いのである・・・・・・
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