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蒸気船の船出だ。
ポンポン船の進水だ。
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「まだ、鉄のフネは無理とは思うが、木の竜骨のフネなら建造できそうだがや。」 と船大工だ。 和船が造れれば、洋船なぞ、かんたんだ。 大きさは、和船と同じくらいだが・・・ そのフネ底に真鍮板をひいた。 ようは、ボイラーの火災避けである。 船火事は恐ろしいからだ。 ボイラーには、安全弁をつけた。 ボイラー圧が危険になると、弁が開くのだ。 もちろん、笛をつけて、危険を知らせるようにしたのだ。 首び振りエンジン以外は船大工が建造した。 そして、ボイラーは燃焼室は耐火煉瓦でつくり、木材が燃料である。 そして、チエーンで水車を廻すのだ。 動力船は積載量が馬車の2台分くらいだ。 まあ、大きさが和船とおなじだが、ボイラーやエンジンの機関室があるからである。 「船頭さんは、だれが・・」 と聞いたら、「オラだがや。」 との返事だ。 磯衛門という船頭だ。 河口から大阪湾の港まで、沿岸部を100回以上は経験があるらしいが・・「しかし、海賊がでるだがや。」 との心配らしい。 「海賊船は、どんな?」 「まあ、これほどは大きくねえが、乗り込まれてたら、やっかいだが。」 まあ、積み荷は略奪されるが、命までは盗られないらしい。 なぜなら、積み荷が目当てだからだ。 帆がない、動力船の試験航行をすることとした。 速力はわかるが、実際に航行しないと、わからないからだ。 それで、鉄砲人足を二人と、オレと船頭の四名が乗り込んだ。 旗は日本海軍旗だ。(旭日旗)積み荷は試験航行のあとだ。 「ポンポンポン、ポン。」 と首振りエンジンが廻る。 クランクがチェーンを廻す。 水車が廻る。 軽快に動力船は航行を始めた。 なかなか、速いぞ。 目分量で15ノットくらいだ。 (時速30キロくらい。) 帆掛けフネの倍の速度らしい。 もちろん、材木以外に、水と食料は、数日分は乗せてある。 「これは、いいぞ。」 と船頭は動力船の首振りエンジンを眺めている。 仕組みはカンタンだ。 鍛冶屋が居れば、どこでもできるだろう。 ときどき、木材をくべればいいのだからカンタンなんだ。 あとは、ボイラーの水量を注意してればOKだ。 蒸気になった水は、冷やされてタンクに戻るので、追加の水は少なくて済むのだ。 まあ、英国のワットが改良した蒸気機関と同じだ。 それ以前の蒸気機関より効率がよかったのだ。 蒸気機関車を実用化したスチーブンソンと同じだ。 蒸気機関車を改良したのが、スチーブンソンで、発明者ではない。 となると、オレはパクリだけだが・・・ 「風がなくても、櫓で漕がなくても進むだがや。」 船頭は機嫌がよかった。 「まあ、水車のバシャ、バシャ音が五月蠅いが・・」 内燃機関ではないからエンジンは、五月蠅くないが、水車の廻る音が五月蠅いんだ。 やはり、暗車(スクリュー)を造らねば。 真鍮のカタマリから削りだすんだが・・ やはり旋盤が必要だな。 首振りエンジンができたんだ。 これを動力にして旋盤を廻そう。 ネジの大量生産も可能だ。 鉄砲の規格化ができるぞ。 弾や口径を規格にそって造るんだ。 レンコンピストル(リボルバー)も夢ではない。 美濃の国を、機械文明のガラバゴスにしてやる。 「やはり、でてきやがっただがや。」 船頭が叫んだ。 どうやら、海賊のお出ましだ・・・・・
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