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旋盤をつくる。
鉄砲のフタをつくる。
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戦国時代の生活は、現在のオタクには耐えがたい生活だ。 なんせ、食事がアレだ。 ご飯なぞ、お祝いのときくらいだ。 普段は麦やアワやヒエの混ぜた飯だ。 健康にはいいかもしれないが、食えたもんではない。 基本、肉は魚だ。 鳥も卵を捕るためだ。 白いニワトリはいない。 地鶏しかいない。 それで、たくさん卵は捕れない。 魚は干し魚ばかりだ。 川魚は小骨が多いから、干して細かく砕かなくてはオレは食えない。 それで、下女(妻)が石臼で砕いて粉にした魚を、飯にまぜて食べている。 最近、やっと下女(妻)がオレにしゃべるようになった。 それまでは、うなずくだけだった。 名前を聞いたら、変な顔だ。 知らないらしい。 戦争で、親がなくなり、はぐれていたら、足軽大将に拾われてらしい。 そいで、足軽大将に聞いたら、「オラも名前を知らんぞ。」 で終わりだ。 名無しの権兵衛だったんだ。 では、オレが名前をつけようぞ。 「オレがユミスケだから、おまえは弓子だ。」 なぜか、漢字である。 鉄砲伝来まで、1年はある。 なら、作れるぞ。 火薬をどうするか? 火薬(硝石75、硫黄10、木炭15)の原料の硝石は、当時は輸入だったかな? まてよ、確か石灰に牛や豚の糞をまぜて、1年寝かせて造れるんだったな。 石灰は伊吹山で露天掘りの鉱脈があったな。 (石灰は石灰岩で、日本に大量にあるのだ。 そうだ、石灰からセメントも出来るんだった。 セメントがあればコンクリートで城ができそうだ。 ここは、長野方面だ、伊吹山もそれほど遠くない。 しかし、硝石を作るのに1年かかる。 鉄砲を鋳造するために1年はかかるだろうから、今から鉄砲の図面や試行錯誤が必要だな。 「そうだ、ネジが無いんだ。」 「ネジ、とりあえず、ヤスリで雄ネジを削り、それを熱した筒にねじ込んで雌ネジを作ろうかな。」 もう、やっつけ仕事の始まりだな。 弓子が機織りだ。 ギッタンバッタンである。 糸は綿花から紡いで糸巻きに巻いてある。 目の粗いサラシみたいな布だ。 それを、草花からの染料で染めるのだ。 機織り器は下に縦糸を何本も垂らして、横糸を渡して、長い板を通して、布目を押さえている。 編み機といっても、かなり初歩的である。 なぜなら、手しか使わない。 足と手で織るのではないのだ。 縦糸を2段にして横に渡して、そこに横糸を渡して、縦糸を互いに入れ替えて、そこを長い板で押さえる。 その動作を足と手でできるなら、織る速度が倍だ。 それを、水車で動かせば、自動織機だ。 さすれば、弓子も自分の時間が増える。 弓子は戦災孤児だから、教育もない。 ここは、オレが字くらい、教えねばならん。 幸い、井戸からの水汲みは楽になりつつあった。 鍛冶屋が鋳造したポンプを見せにきたのだ。 これなら、銅製だから耐久性もある。 まだ、ゴムが手に入らない。 それまで、コルクを防水に使う。 定期的に交換するしかないな。 今後の課題である。 そして、鍛冶屋に鉄砲のラフスケッチを見せた。 どう、鉄砲の銃身を造るかだな。 オレひとりでは、とてもできはしないな。 ここは、弟子しかないな。 だれか、いないかな・・・・・
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