戦国時代に機関車。

ゆみすけ

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オレは、どうしてここにいるんだ。

死んだ覚えはないが・・・

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 寝る前に考えた。 
ここは、オレの生きている時代ではない。 
 オレは死んだ覚えはない。 
神様も出てこなかった。 
 チートな能力もない。 
あるのは、大まかな知識だけだ。 
 それも、この時代では、生きるのにはなんら、役にたたない。 
どうするべきか、それが問題だ。 (シェークスピアではないが・・) 
 そして、朝起きたら、もう誰も寝ていない。 
いま、何時かな。 
 いや、時計はない。 
日時計でも造るか。 
 オナゴ連中が、「なんて、おねぼうさんだげ。」 とこぼしていた。 
この時代は、日の出が仕事のはじまりで、日の入りが寝る時間だ。 
 明かりがないからね。 
真っ暗だ、外出なんてできない。 
 いくさもそうだ。 
互いに相まみえて、いくさが、はじまり、日の入りの前に合図がある。 
 そこで、その日はやめだ。 
なんか、殺し合いというか、戦争ゴッコみたいだが・・・ 
 そして、関ヶ原の天下分け目の戦いも、聞いたところ戦死は少なかったらしい。 
日本人同士の戦いは、暗雲の呼吸があるのだ。 
 引き際をわきまえているのである。 
足軽大将がオレに会わせたいヒトがいるとか。 
 ここは、空気を読んで、「いいですよ。」 としか答えない。 
それで、足軽大将と、部下の2人とオレの4人で出かけた。 
 いちおう、寝間着では、かっこうがつかないから、お仕着せだが、武人のかっこうだ。 
刀はない。 刀は武士の命に等しいほど貴重だ。 
 おいそれとは貸してはくれない。 
歩いて、数時間、疲れた。 
 かなりの大層な館が見えてきた。 
「いまから、侍大将殿に面会を願う、庭で控えていてくれ。」 「わかった。」と頷いた。 
 足軽大将の部下と庭で控えていた。 
すると、「こうべをあげろ。」 と声だ。 
 こうべ? 隣の足軽の部下が、つつく。 
見ると、頭をあげろの合図だ。 
 こうべとは神戸ではなく、頭のことだった。 
無学なオレを許してたもれだ。 
 侍大将は、戦国時代のテレビで、よく見る衣装だった。 
おれに、「この布は、どこで手に入れたか。」 と聞いている。 
 まさか、粗品でもらったんだって言っても理解されないだろう。 
そこで、この時代のヒトは迷信や神話を信じているらしいから、作り話だ。 
 「天の羽衣にて候。」 と答える。 
場所はどこか、と聞いてきた。 
 そこで、「はるか天竺にて候。」 と答える。 
ウソ八百だが、本当のことを言っても信じてもらえないからだ。 
 まあ、ウソも方便なのだ。 
そして、オレの寝間着が差し出される。 
 しまった、まずい。 あれは、綿と化学繊維製だ。 
この時代のヒトはオナゴが機織りした布で着物を作り、着ているのだ。 布目は荒い。 
 見ればわかるのだ。 それが、布の生地が眼に見えない生地である。 
そして、ネームタッグだ。 
 細かい英語でプリントしてあるのだ。 
このい時代の手作業や織機では無理だ。 
 言い訳を考えた。 ままよだ。 
すべて、天竺渡りの異国の布ということにしてしまった。 
 それで、やっと解放されたオレだ。 
それ以来、現在の進歩した知識などは天竺渡りの知恵ということにするクセがついてしまったのだ。 
 足軽大将と部下と帰る。 
そして、タオルと寝間着は献上して無くなった。 
 トホホである。 
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