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あれが、ソ連軍の新型かっ!
互角か、それ以上か?
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数キロ先で見張っていたバイク隊から緊急通信だ。
「こちら、バイク。」「来たぞ。」「了解だ。」
バイク隊からソ連軍の来襲が・・・
「よし、相手は数キロに迫ってきたぞ。」「退避壕へ隠れろ。」
それぞれの戦車は退避壕へ身を隠す。
やがて、バイク隊が帰隊する。
「ごくろうだった。」「それぞれの戦車へ合流してくれ。」
「了解です。」 偵察隊は戦車隊員へ戻り、合流する。
なんせ、20名ほどの派遣軍だ。
なんでも、こなさねばならない。
「おい、ヤツらはどうだった。」と、車長がバイク隊員へ聞く。
バイク隊員は装填手へ戻り、「新型はT-2型より、かなり大きいですよ。」
「おそらく、当方の九〇式と同じくらいかも・・・」
「えっ、なんだって。」「それは、本当かっ!」
隊員らに危機感満載だ!
「これは、勝てないかも・・・」と、士気が乱れる・・・
そこへ、矢田主任から無線通信だ。
「いいか、隊員諸君。」「我が軍の九〇式は、初陣だが心配はいらないぞ。」
「電子式照準機はバッチリだ。」「駆逐艦の主砲の砲身だぞ。」
「距離、200で50センチ厚の鉄板に穴が開くのだ。」
「敵も、我が九〇式は初めてのはずだ。」
「我が皇軍の恐ろしさをみせてやろうじゃないか。」と、豪語する矢田主任だ。
「技師のオレが勝てるって言うんだ。」「オレを信用しろ。」
「そうだ、主任技師がいうことに間違いは無いぞ。」と、車長が重ねる。
藤川軍曹がいうのではない、主任技師の責任ある発言なのだ。
軍曹なら、元気づけるために話を盛る可能性もあるんだが・・・
技師の発言は基本、盛らないのだ。
それも、できるなんて・・・めったに言わないのだ。
それが、主任技師が勝てると言うのだ。
「いいか、オレがソ連軍の戦車の写真を解析して言うんだ。」「安心しろ。」
こうして、蔓延していた危機感は薄れていった・・・
「画像に敵が・・・」と、砲手が叫ぶ。
電波式照準装置の電波が金属へ反射して、画像装置へ印を示す。
「距離、1500です。」
電波式照準装置のアンテナは砲塔の上に鎮座している。
それが、金属で反射した電波を受信したのだ。
砲塔から体を乗り出して、双眼鏡で睨む藤川軍曹だ。
「来たぞ。」「間違いない、敵だ。」
「各員へ、砲撃は任せる。」
「初弾から、当てていくぞ。」
「各員は、狙う戦車を割り振るから間違えるなよ。」
「了解した、2号だ。」「3号、了解。」「4号、同じく。」
「よし、画面の左から指示するぞ。」
こうして、砲撃が重ならないように敵を割り振る藤川軍曹である。
九〇式の主砲は駆逐艦の砲身だ。
敵のT-34が傾斜装甲で分厚い装甲だとしても・・・距離200で50センチを抜くのだ。
いくら、敵戦車が装甲が分厚いといっても50センチは無理だろう。
そんな分厚い装甲では、重くて狭くて・・・やってられないのだ。
そして、我が九〇式の走行はニャンニャン装甲だ。
鋼鉄と超高温で焼いた白磁を何層にも焼き固めた特殊装甲だ。
現在は、なんと海軍正規空母の飛行甲板にも利用されているほどなのである。
海軍で500キロ爆弾の直撃に耐えたからだそうだ。
まあ、これは陸軍の話だ。
陸軍へ話を戻そう。
迫ってくる敵の戦車は5両だ。
当方の九〇式も5両だ。
「よし、1発で決めるぞ。」と、砲手が計算機からの結果を砲身駆動装置へ入力する。
「カタ、カタ、カタ。」と、駆動装置が歯車を廻す。
ほんの少しだが、砲身が動く。(ほんの少しだ。)
「距離200で撃ちます。」と、砲手が軍曹へいう。
砲塔から外部を観察する潜望鏡で敵を観る軍曹だ。
潜望鏡の視野に、敵のT-34新型戦車が迫ってくるのが見える。
いままでのソ連軍の戦車とは別物だ。
藤川軍曹は、「敵の正面より下を狙うんだ。」と、指示を出す。
それは、敵戦車の前面傾斜装甲に砲弾が跳ね返った跡が累々と、あったからだ。
「下を狙います。」と、砲手は数値を入れ替える。
微妙に砲身が動いた。
「いきます。」「ドウン。」と、遊底が砲撃でバックする。
カラ薬莢が床に転がる。
足で薬莢をスミへ転がす。(薬莢も再利用するのだ。)
潜望鏡の視野の中で敵の戦車が止まって見える。
「どこへ当たった。」と、敵戦車を観る軍曹だ。
敵戦車は停止したまま動かないようだ。
よく見ると、戦車の前面下部に穴が開いてるように見えるが・・・
「どうした、爆発しないぞ。」と・・・すると、敵戦車の背後で爆発が・・・
「敵戦車を抜いてしまったようだぞ。」と、軍曹がいう。
やがて、敵戦車のハッチが開いて・・・ソ連兵が這い出して・・・
あわてて逃げていくところのようだ。(皇軍は、逃げる兵までは撃たない。)
「徹甲弾が抜けてしまったぞ。」と、軍曹が驚く。
「信管が爆発するより、先に砲弾が戦車を抜いてしまったぞ。」
「威力が強すぎるぞ。」と、さすが駆逐艦の砲身だと驚く軍曹だ。
徹甲弾ではない、榴弾をつかった砲撃は敵戦車が爆発の衝撃で転がってしまっていたようだ。
「しまった、どうやら戦艦に向けて使う砲弾と戦車用を分けて考えなばならないようだな。」と、今更な意見をいう軍曹だった。
今回は、さすがの軍曹も戦艦用の徹甲弾との差まで考えなかったからなんだが・・・
戦闘現場には、穴が開いた敵戦車2両と転がった敵戦車が3両残されて・・・我が皇軍大勝利となったのである。
「バンザイ、バンザイ。」と、隊員らの歓声があがる!
藤川軍曹は、「うむ、今回も戦死者はでなかった。」
「これからも、そうありたいものだな。」と、感涙にむせぶ・・・
「軍曹殿。」「ん、なんだ。」
「露スケの置いてった戦車のかたずけなんですが・・・」
「君っ、せめてバンザイ三唱してからに・・・」
そうなのだ、まだ・もう1回やらねばならない。
満州平原に、我が皇軍の凱歌がコダマするのだった。
「こちら、バイク。」「来たぞ。」「了解だ。」
バイク隊からソ連軍の来襲が・・・
「よし、相手は数キロに迫ってきたぞ。」「退避壕へ隠れろ。」
それぞれの戦車は退避壕へ身を隠す。
やがて、バイク隊が帰隊する。
「ごくろうだった。」「それぞれの戦車へ合流してくれ。」
「了解です。」 偵察隊は戦車隊員へ戻り、合流する。
なんせ、20名ほどの派遣軍だ。
なんでも、こなさねばならない。
「おい、ヤツらはどうだった。」と、車長がバイク隊員へ聞く。
バイク隊員は装填手へ戻り、「新型はT-2型より、かなり大きいですよ。」
「おそらく、当方の九〇式と同じくらいかも・・・」
「えっ、なんだって。」「それは、本当かっ!」
隊員らに危機感満載だ!
「これは、勝てないかも・・・」と、士気が乱れる・・・
そこへ、矢田主任から無線通信だ。
「いいか、隊員諸君。」「我が軍の九〇式は、初陣だが心配はいらないぞ。」
「電子式照準機はバッチリだ。」「駆逐艦の主砲の砲身だぞ。」
「距離、200で50センチ厚の鉄板に穴が開くのだ。」
「敵も、我が九〇式は初めてのはずだ。」
「我が皇軍の恐ろしさをみせてやろうじゃないか。」と、豪語する矢田主任だ。
「技師のオレが勝てるって言うんだ。」「オレを信用しろ。」
「そうだ、主任技師がいうことに間違いは無いぞ。」と、車長が重ねる。
藤川軍曹がいうのではない、主任技師の責任ある発言なのだ。
軍曹なら、元気づけるために話を盛る可能性もあるんだが・・・
技師の発言は基本、盛らないのだ。
それも、できるなんて・・・めったに言わないのだ。
それが、主任技師が勝てると言うのだ。
「いいか、オレがソ連軍の戦車の写真を解析して言うんだ。」「安心しろ。」
こうして、蔓延していた危機感は薄れていった・・・
「画像に敵が・・・」と、砲手が叫ぶ。
電波式照準装置の電波が金属へ反射して、画像装置へ印を示す。
「距離、1500です。」
電波式照準装置のアンテナは砲塔の上に鎮座している。
それが、金属で反射した電波を受信したのだ。
砲塔から体を乗り出して、双眼鏡で睨む藤川軍曹だ。
「来たぞ。」「間違いない、敵だ。」
「各員へ、砲撃は任せる。」
「初弾から、当てていくぞ。」
「各員は、狙う戦車を割り振るから間違えるなよ。」
「了解した、2号だ。」「3号、了解。」「4号、同じく。」
「よし、画面の左から指示するぞ。」
こうして、砲撃が重ならないように敵を割り振る藤川軍曹である。
九〇式の主砲は駆逐艦の砲身だ。
敵のT-34が傾斜装甲で分厚い装甲だとしても・・・距離200で50センチを抜くのだ。
いくら、敵戦車が装甲が分厚いといっても50センチは無理だろう。
そんな分厚い装甲では、重くて狭くて・・・やってられないのだ。
そして、我が九〇式の走行はニャンニャン装甲だ。
鋼鉄と超高温で焼いた白磁を何層にも焼き固めた特殊装甲だ。
現在は、なんと海軍正規空母の飛行甲板にも利用されているほどなのである。
海軍で500キロ爆弾の直撃に耐えたからだそうだ。
まあ、これは陸軍の話だ。
陸軍へ話を戻そう。
迫ってくる敵の戦車は5両だ。
当方の九〇式も5両だ。
「よし、1発で決めるぞ。」と、砲手が計算機からの結果を砲身駆動装置へ入力する。
「カタ、カタ、カタ。」と、駆動装置が歯車を廻す。
ほんの少しだが、砲身が動く。(ほんの少しだ。)
「距離200で撃ちます。」と、砲手が軍曹へいう。
砲塔から外部を観察する潜望鏡で敵を観る軍曹だ。
潜望鏡の視野に、敵のT-34新型戦車が迫ってくるのが見える。
いままでのソ連軍の戦車とは別物だ。
藤川軍曹は、「敵の正面より下を狙うんだ。」と、指示を出す。
それは、敵戦車の前面傾斜装甲に砲弾が跳ね返った跡が累々と、あったからだ。
「下を狙います。」と、砲手は数値を入れ替える。
微妙に砲身が動いた。
「いきます。」「ドウン。」と、遊底が砲撃でバックする。
カラ薬莢が床に転がる。
足で薬莢をスミへ転がす。(薬莢も再利用するのだ。)
潜望鏡の視野の中で敵の戦車が止まって見える。
「どこへ当たった。」と、敵戦車を観る軍曹だ。
敵戦車は停止したまま動かないようだ。
よく見ると、戦車の前面下部に穴が開いてるように見えるが・・・
「どうした、爆発しないぞ。」と・・・すると、敵戦車の背後で爆発が・・・
「敵戦車を抜いてしまったようだぞ。」と、軍曹がいう。
やがて、敵戦車のハッチが開いて・・・ソ連兵が這い出して・・・
あわてて逃げていくところのようだ。(皇軍は、逃げる兵までは撃たない。)
「徹甲弾が抜けてしまったぞ。」と、軍曹が驚く。
「信管が爆発するより、先に砲弾が戦車を抜いてしまったぞ。」
「威力が強すぎるぞ。」と、さすが駆逐艦の砲身だと驚く軍曹だ。
徹甲弾ではない、榴弾をつかった砲撃は敵戦車が爆発の衝撃で転がってしまっていたようだ。
「しまった、どうやら戦艦に向けて使う砲弾と戦車用を分けて考えなばならないようだな。」と、今更な意見をいう軍曹だった。
今回は、さすがの軍曹も戦艦用の徹甲弾との差まで考えなかったからなんだが・・・
戦闘現場には、穴が開いた敵戦車2両と転がった敵戦車が3両残されて・・・我が皇軍大勝利となったのである。
「バンザイ、バンザイ。」と、隊員らの歓声があがる!
藤川軍曹は、「うむ、今回も戦死者はでなかった。」
「これからも、そうありたいものだな。」と、感涙にむせぶ・・・
「軍曹殿。」「ん、なんだ。」
「露スケの置いてった戦車のかたずけなんですが・・・」
「君っ、せめてバンザイ三唱してからに・・・」
そうなのだ、まだ・もう1回やらねばならない。
満州平原に、我が皇軍の凱歌がコダマするのだった。
応援ありがとうございます!
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