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火の無いところに煙はたたないものだ。
いたぞ、あれがTー34かっ!
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砂煙を目指して、バイクは進む。
少し、丘になっているところを・・・アクセルを吹かして・・・
と、前のバイクが急停止だ!
おもわず、のけぞる後続バイクだ。
「おい、どうした。」
「いや、すこし待て。」と、先輩の安藤君がいう。
「丘の上なら、見えるやもしれん。」「そうか。」
バイクを横たえて丘を、ほふく前進する2人の我が皇軍兵卒だ。
偵察隊員はサンド色の迷彩服で、メットカバーも迷彩色だ。
風防レンズはアクリルの複合ガラスだ。
先輩の安藤君が頭を丘から・・・すこし出した。
「見えるぞ。」「あれが、ヤツらの新型か。」
「オレにも。」と、上田君だ。
「いや、カメラを持ってこい。」と、指示だ。
そこは、先輩に従わなくてはならない。
丘を転がり、バイクへ・・・
東京光学製の防塵カメラを取り出す。
カメラは精密機械だ。
埃や水は大敵だ。
しかし、戦場で使うカメラは耐久性がなければダメである。
それで、水深2メートルでも耐える防水性と落としても壊れない耐ショックのカメラなのである。
まだ、夜間用の赤外線カメラでは無いが・・・
「持ってきました。」
「うむ。」
「上田、君が撮れ。」と、指示する安藤君だ。
安藤君は上田君がカメラが趣味だと、それで敵を撮影するように指示したのだ。
「わかりました。」
戦場に芸術写真ではダメである。
敵の詳細な写真が必要なのである。
そこで、カメラは現在のようなバカチョンカメラでは無い。
レンズの距離を合わせて、シャッター速度とレンズの絞りを合わせねければならない。
光の明るさを測る露出計なんて、ここには無い。
普段から使い慣れていないと、その場の適正露出なんて素人には無理なのだ。
写真が素人の安藤君では、精密な写真が撮れないからだ。
「今は、薄曇りだな。」「よし、シャッター速度は100分の1だ。」
「絞りは5.6だな。」
距離は十分あるから、無限でいいな。」
カメラを丘の上に固定して、シャッターを押す。
1枚では失敗が、だから再度シャッターだ。
「よし、退避するぞ。」と、安藤君だ。
丘を駆け下り・・・バイクを起す。
「離れるぞ。」「おう。」
無線連絡するために、敵から距離を取るのだ。
「こちら、偵察班。」「本隊どうぞ。」
「こちら、本ガーだ。」
「敵は新型と判明。」「写真あり。」
「ごくろう、至急戻れ。」
「偵察班了解。」
「おい、戻るぞ。」「おう。」
写真を現像しなければならない。
その写真から敵の弱点を探り、作戦に反映するためだ。
馬なら休ませねばならないが・・・バイクは、こういうときに無理が効くのだ。
「バルン。」と、キック1発でエンジンが唸る。
右ハンドルのアクセルを廻す。
「ブ、ブ、ブ、ブォ~ン。」と、単気筒エンジンが眼を覚ます。
敵に感ずかれる前に退散する偵察バイク隊だ。
偵察は戦わない、なぜなら敵に感ずかれては偵察にならないからだ。
悪路走行の訓練をイヤというほど・・・そして、かなりの無理が効く偵察バイクだ。
数時間で本隊へ合流する・・・
「写真機は?」「これに。」
敬礼する暇なぞ無い、即現像へ廻す。
写真現像には温度管理が大切だ。
まず、フィルムをタンクで現像して・・・写真のネガをつくり。
印画紙へ拡大投影して、印画紙を定着液へ・・・
しばらくすると・・・敵の戦車の写真が・・・現れてくる・・・
「軍曹殿。」「できました。」「うむ。」
「これは、これが敵のT-34かっ!」
「矢田主任、どう思うか?」と、側にいた矢田主任へ・・・
「これは、傾斜装甲に砲身が長いライフル砲かっ!」
「それに、エンジンはジーゼルだぞ。」
「確か、ソ連軍の旧型はガソリンだったぞ。」
「これは、苦戦するかもしれんぞ。」と、注意喚起の矢田主任だ。
「いいか、エンジンの上に補助燃料タンクだ。」
「なら、軽油だ。」「ガソリンなら、引火するから無理だ。」
「軽油ということは。」「そう、ジーゼルだ。」
「当方の九〇式と同等かもしれんぞ。」と、苦言を矢田主任がいう。
「これは、正面からの会敵は・・・」
「今更、待ち伏せは無理だぞ。」と、軍曹がいう。
戦場は満州平原になりそうだからだ。
満州平原は隠れるところが無いからだ。
「いや、隠れるところは造ればいいんだ。」と、矢田主任だ。
「確か、ドーザーユニットを積んでるだろう。」
「あ、あ、ブルドーザーの・・・」
「そうだ、ドーザーで隠れる穴を掘るんだ。」
「今から、なら間に合うぞ。」
「うむ、砲塔の下が隠れるなら・・・ドトン戦法が行けそうだな。」
ドトン戦法とは、戦車の砲塔だけ地面から出して戦車を隠す土屯の術を使う戦法である。
我が自衛隊の七四式戦車からの日本戦車独自の戦法だ。
日本軍は待ち伏せ作戦は十八番なのだ。
それは、戦車戦でもである。
かつて、硫黄島で栗林中将が米軍相手にやった戦法だ。
待ち伏せゲリラ戦法は米軍が、一番苦戦する作戦なのだ。
「早急にドーザーを取り付けろ。」「穴を掘るぞ。」
「砲塔だけ地面から出すんだ。」
「敵は、数時間でやってくるぞ。」
「いぞげ。」
さあ、ソ連軍と会敵するまでに・・・間に合うのか?
少し、丘になっているところを・・・アクセルを吹かして・・・
と、前のバイクが急停止だ!
おもわず、のけぞる後続バイクだ。
「おい、どうした。」
「いや、すこし待て。」と、先輩の安藤君がいう。
「丘の上なら、見えるやもしれん。」「そうか。」
バイクを横たえて丘を、ほふく前進する2人の我が皇軍兵卒だ。
偵察隊員はサンド色の迷彩服で、メットカバーも迷彩色だ。
風防レンズはアクリルの複合ガラスだ。
先輩の安藤君が頭を丘から・・・すこし出した。
「見えるぞ。」「あれが、ヤツらの新型か。」
「オレにも。」と、上田君だ。
「いや、カメラを持ってこい。」と、指示だ。
そこは、先輩に従わなくてはならない。
丘を転がり、バイクへ・・・
東京光学製の防塵カメラを取り出す。
カメラは精密機械だ。
埃や水は大敵だ。
しかし、戦場で使うカメラは耐久性がなければダメである。
それで、水深2メートルでも耐える防水性と落としても壊れない耐ショックのカメラなのである。
まだ、夜間用の赤外線カメラでは無いが・・・
「持ってきました。」
「うむ。」
「上田、君が撮れ。」と、指示する安藤君だ。
安藤君は上田君がカメラが趣味だと、それで敵を撮影するように指示したのだ。
「わかりました。」
戦場に芸術写真ではダメである。
敵の詳細な写真が必要なのである。
そこで、カメラは現在のようなバカチョンカメラでは無い。
レンズの距離を合わせて、シャッター速度とレンズの絞りを合わせねければならない。
光の明るさを測る露出計なんて、ここには無い。
普段から使い慣れていないと、その場の適正露出なんて素人には無理なのだ。
写真が素人の安藤君では、精密な写真が撮れないからだ。
「今は、薄曇りだな。」「よし、シャッター速度は100分の1だ。」
「絞りは5.6だな。」
距離は十分あるから、無限でいいな。」
カメラを丘の上に固定して、シャッターを押す。
1枚では失敗が、だから再度シャッターだ。
「よし、退避するぞ。」と、安藤君だ。
丘を駆け下り・・・バイクを起す。
「離れるぞ。」「おう。」
無線連絡するために、敵から距離を取るのだ。
「こちら、偵察班。」「本隊どうぞ。」
「こちら、本ガーだ。」
「敵は新型と判明。」「写真あり。」
「ごくろう、至急戻れ。」
「偵察班了解。」
「おい、戻るぞ。」「おう。」
写真を現像しなければならない。
その写真から敵の弱点を探り、作戦に反映するためだ。
馬なら休ませねばならないが・・・バイクは、こういうときに無理が効くのだ。
「バルン。」と、キック1発でエンジンが唸る。
右ハンドルのアクセルを廻す。
「ブ、ブ、ブ、ブォ~ン。」と、単気筒エンジンが眼を覚ます。
敵に感ずかれる前に退散する偵察バイク隊だ。
偵察は戦わない、なぜなら敵に感ずかれては偵察にならないからだ。
悪路走行の訓練をイヤというほど・・・そして、かなりの無理が効く偵察バイクだ。
数時間で本隊へ合流する・・・
「写真機は?」「これに。」
敬礼する暇なぞ無い、即現像へ廻す。
写真現像には温度管理が大切だ。
まず、フィルムをタンクで現像して・・・写真のネガをつくり。
印画紙へ拡大投影して、印画紙を定着液へ・・・
しばらくすると・・・敵の戦車の写真が・・・現れてくる・・・
「軍曹殿。」「できました。」「うむ。」
「これは、これが敵のT-34かっ!」
「矢田主任、どう思うか?」と、側にいた矢田主任へ・・・
「これは、傾斜装甲に砲身が長いライフル砲かっ!」
「それに、エンジンはジーゼルだぞ。」
「確か、ソ連軍の旧型はガソリンだったぞ。」
「これは、苦戦するかもしれんぞ。」と、注意喚起の矢田主任だ。
「いいか、エンジンの上に補助燃料タンクだ。」
「なら、軽油だ。」「ガソリンなら、引火するから無理だ。」
「軽油ということは。」「そう、ジーゼルだ。」
「当方の九〇式と同等かもしれんぞ。」と、苦言を矢田主任がいう。
「これは、正面からの会敵は・・・」
「今更、待ち伏せは無理だぞ。」と、軍曹がいう。
戦場は満州平原になりそうだからだ。
満州平原は隠れるところが無いからだ。
「いや、隠れるところは造ればいいんだ。」と、矢田主任だ。
「確か、ドーザーユニットを積んでるだろう。」
「あ、あ、ブルドーザーの・・・」
「そうだ、ドーザーで隠れる穴を掘るんだ。」
「今から、なら間に合うぞ。」
「うむ、砲塔の下が隠れるなら・・・ドトン戦法が行けそうだな。」
ドトン戦法とは、戦車の砲塔だけ地面から出して戦車を隠す土屯の術を使う戦法である。
我が自衛隊の七四式戦車からの日本戦車独自の戦法だ。
日本軍は待ち伏せ作戦は十八番なのだ。
それは、戦車戦でもである。
かつて、硫黄島で栗林中将が米軍相手にやった戦法だ。
待ち伏せゲリラ戦法は米軍が、一番苦戦する作戦なのだ。
「早急にドーザーを取り付けろ。」「穴を掘るぞ。」
「砲塔だけ地面から出すんだ。」
「敵は、数時間でやってくるぞ。」
「いぞげ。」
さあ、ソ連軍と会敵するまでに・・・間に合うのか?
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