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戦車学校の開校式って、やるんかよ?
とりあえず、形式から入るしか・・・
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満州国には日本に無い利点がある。
それは、土地が余るほどあるということだ。
それは、首府の奉天市も例外ではない。
それで、満州軍戦車学校は場所だけは確保ができたのだった。
あとは、戦車も旧型を倉庫から出してくるだけだ。
現在は生徒らの宿舎や教員棟の建設中だ。
開校が4月だから、建設様式は内地の学校を真似て建設中である。
藤川軍曹はソ連軍が越境してくる季節(春)までには、学校の基礎だけでも、と内地から教材を取り寄せたり、その教材が満州国の募集した生徒に理解できるか・・・もろもろの雑用が山積みだったのだ。
「それで、入学試験の試験問題はできたのかね。」と、矢田主任から催促だ。
「いえ、その、あのう・・・」と、軍曹は、回答が・・・
「試験問題を満州語に訳すのが、なかなか。」
「訳なら、ニャンニャンへ頼んだら。」と、主任だ。
「いや、ニャンニャンの弟も受験するから、問題が漏れるかも・・・」
「君は、彼女を疑うんかね。」
「そんなことは・・・」
「とりあえず、ニャンニャンは我が皇軍派だ、その弟なら無試験でもいいくらいだぞ。」と、主任がいう。
「たしかに、そうですが・・・」「やはり、試験に合格して入学してもらいたいのですよ。」と、軍曹がいう。
「それもあるが、どこの馬の骨かわからんヤツよりはマシだぞ。」
どうやら、矢田主任はニャンニャンの毒牙の餌食に・・・
アイデアの元を、かなりニャンニャンから得ているからだ。
「前回の侵攻から、半年だ。」「そろそろ、ヤツらが・・・」と、危機感満載の矢田主任なのである。
「九〇式は月産1両が限界だ。」「現在は1両あるから・・・」
「しかし、4両は無いと安心できないからな。」
そうなのだ、軍隊の兵器は予備が必ず必要なのだ。
戦場では何があるか想像できないからだ。
とんでもないことが、起きるのが戦場なのである。
「我が陸軍も正規空母は、あきつ丸1隻だけだ。」
「最低、3隻はないと・・・」
しかし、正規空母は建造費がバカにならないのである。
「どうにかして、安価に建造できないものか・・・」と、思案の矢田主任なのだ。
激論を交わす両人へ・・・ニャンニャンがコーヒーを・・・
両人がオーダーしたわけでない。
そこは、ニャンニャンが気を使ったのである。
やはり、激論を鎮静化するには、1杯のコーヒなのである。
もちろん、豆は内地から取り寄せた陸軍厳選のエチオピア産である。
ミルでニャンニャンが粉にして、和紙でドリップしたモノだ。
いいアイデアや考えは、良い環境で生み出されるのである。
戦車隊宿舎にある喫茶部は満州国の対ソ連軍の要(かなめ)なのである。
「ところで、試験問題は・・・」
「ふむ。」「やはり、この愛国心を問う問題がメインだな。」
「そうだな、一番の脅威は内部にスパイが紛れることだからな。」
「合格者への宣誓文も、忘れるなよ。」
「そうだった。」と、内地の教育勅語を満州語に訳した条文に血判を押す誓約書である。
判子では無い、そこは血判なのである。
満州国の為に戦死するも文句は言いません、という誓約書である。
反逆した場合に断罪されても文句はいえないのである。
「これが、式次第か。」
「うむ。」「これで、いいかな?」
戦車学校の入学式の式次第である。
「ほう、皇帝が・・・」「そろゃ、そうだろ。」
「なんせ、戦車隊は皇帝が自ら望んだことだからな。」
「いつまでも、皇軍頼りでは・・・」と、藤川軍曹がこぼす。
「それは、そうだが・・・」と、なんか言いたそうな主任である。
「君は、ここに骨を埋めるんだろう。」と、軍曹へ・・・
「ニャンニャンは、そう言ってたぞ。」
「・・・・・・」と、何も言えない藤川君だ。
どうやら、軍曹が知らないところで・・・既製事実が創られているようなんだが・・・
鈍感な藤川軍曹は・・・まったく気づいていないようである。
敵を攻めるのは、外堀からということのようだ。
いつの間にか、軍曹は引くに引けない立場へ・・・
本丸を攻めるは・・・外堀からなのである。
軍曹以外の隊員や技師連中はニャンニャンと軍曹が、そうなるモノだと・・・すでに認識していたのである。
ニャンニャン、侮りがたしなのである。
こうして、既成事実が捏造されて・・・藤川軍曹は満州国へ骨を埋めると、陸軍省の派遣軍本部までが・・・
こうなっては、今更である。
「まあ、骨を埋めるも一興だな。」と、達観してしまった軍曹なのである。
まさか、ニャンニャンの野望の餌食だとは・・・
オナゴという生物は打算的な面があるのだ。
過去より、現在や将来が大切なのだ。
オナゴにとり、過去の思い出なんて・・・どうでも、いいのである。
将来の安定した生活の確保が大切なのである。
藤川軍曹をモノにすれば、幹部の給金や幹部の年金が・・・
軍曹の身内となれば・・・ニャンニャンの弟の、満州軍での立ち位置は・・・
皇帝の覚えがめでたくなれば・・・軍師への道も・・・
弟が軍師になれば・・・ニャンニャンの一族が・・・
まあ、内地では身内に甘くはないんだが・・・シナ大陸では儒教思想があり、個人より身内一族が・・・
シナでは、それを総(そう)といい、国家への忠誠なんて無いんだが・・・総内では、裏切りは処刑されても・・・なのである。
シナ人から日本人へ帰化した石平先生の言である。
それは、土地が余るほどあるということだ。
それは、首府の奉天市も例外ではない。
それで、満州軍戦車学校は場所だけは確保ができたのだった。
あとは、戦車も旧型を倉庫から出してくるだけだ。
現在は生徒らの宿舎や教員棟の建設中だ。
開校が4月だから、建設様式は内地の学校を真似て建設中である。
藤川軍曹はソ連軍が越境してくる季節(春)までには、学校の基礎だけでも、と内地から教材を取り寄せたり、その教材が満州国の募集した生徒に理解できるか・・・もろもろの雑用が山積みだったのだ。
「それで、入学試験の試験問題はできたのかね。」と、矢田主任から催促だ。
「いえ、その、あのう・・・」と、軍曹は、回答が・・・
「試験問題を満州語に訳すのが、なかなか。」
「訳なら、ニャンニャンへ頼んだら。」と、主任だ。
「いや、ニャンニャンの弟も受験するから、問題が漏れるかも・・・」
「君は、彼女を疑うんかね。」
「そんなことは・・・」
「とりあえず、ニャンニャンは我が皇軍派だ、その弟なら無試験でもいいくらいだぞ。」と、主任がいう。
「たしかに、そうですが・・・」「やはり、試験に合格して入学してもらいたいのですよ。」と、軍曹がいう。
「それもあるが、どこの馬の骨かわからんヤツよりはマシだぞ。」
どうやら、矢田主任はニャンニャンの毒牙の餌食に・・・
アイデアの元を、かなりニャンニャンから得ているからだ。
「前回の侵攻から、半年だ。」「そろそろ、ヤツらが・・・」と、危機感満載の矢田主任なのである。
「九〇式は月産1両が限界だ。」「現在は1両あるから・・・」
「しかし、4両は無いと安心できないからな。」
そうなのだ、軍隊の兵器は予備が必ず必要なのだ。
戦場では何があるか想像できないからだ。
とんでもないことが、起きるのが戦場なのである。
「我が陸軍も正規空母は、あきつ丸1隻だけだ。」
「最低、3隻はないと・・・」
しかし、正規空母は建造費がバカにならないのである。
「どうにかして、安価に建造できないものか・・・」と、思案の矢田主任なのだ。
激論を交わす両人へ・・・ニャンニャンがコーヒーを・・・
両人がオーダーしたわけでない。
そこは、ニャンニャンが気を使ったのである。
やはり、激論を鎮静化するには、1杯のコーヒなのである。
もちろん、豆は内地から取り寄せた陸軍厳選のエチオピア産である。
ミルでニャンニャンが粉にして、和紙でドリップしたモノだ。
いいアイデアや考えは、良い環境で生み出されるのである。
戦車隊宿舎にある喫茶部は満州国の対ソ連軍の要(かなめ)なのである。
「ところで、試験問題は・・・」
「ふむ。」「やはり、この愛国心を問う問題がメインだな。」
「そうだな、一番の脅威は内部にスパイが紛れることだからな。」
「合格者への宣誓文も、忘れるなよ。」
「そうだった。」と、内地の教育勅語を満州語に訳した条文に血判を押す誓約書である。
判子では無い、そこは血判なのである。
満州国の為に戦死するも文句は言いません、という誓約書である。
反逆した場合に断罪されても文句はいえないのである。
「これが、式次第か。」
「うむ。」「これで、いいかな?」
戦車学校の入学式の式次第である。
「ほう、皇帝が・・・」「そろゃ、そうだろ。」
「なんせ、戦車隊は皇帝が自ら望んだことだからな。」
「いつまでも、皇軍頼りでは・・・」と、藤川軍曹がこぼす。
「それは、そうだが・・・」と、なんか言いたそうな主任である。
「君は、ここに骨を埋めるんだろう。」と、軍曹へ・・・
「ニャンニャンは、そう言ってたぞ。」
「・・・・・・」と、何も言えない藤川君だ。
どうやら、軍曹が知らないところで・・・既製事実が創られているようなんだが・・・
鈍感な藤川軍曹は・・・まったく気づいていないようである。
敵を攻めるのは、外堀からということのようだ。
いつの間にか、軍曹は引くに引けない立場へ・・・
本丸を攻めるは・・・外堀からなのである。
軍曹以外の隊員や技師連中はニャンニャンと軍曹が、そうなるモノだと・・・すでに認識していたのである。
ニャンニャン、侮りがたしなのである。
こうして、既成事実が捏造されて・・・藤川軍曹は満州国へ骨を埋めると、陸軍省の派遣軍本部までが・・・
こうなっては、今更である。
「まあ、骨を埋めるも一興だな。」と、達観してしまった軍曹なのである。
まさか、ニャンニャンの野望の餌食だとは・・・
オナゴという生物は打算的な面があるのだ。
過去より、現在や将来が大切なのだ。
オナゴにとり、過去の思い出なんて・・・どうでも、いいのである。
将来の安定した生活の確保が大切なのである。
藤川軍曹をモノにすれば、幹部の給金や幹部の年金が・・・
軍曹の身内となれば・・・ニャンニャンの弟の、満州軍での立ち位置は・・・
皇帝の覚えがめでたくなれば・・・軍師への道も・・・
弟が軍師になれば・・・ニャンニャンの一族が・・・
まあ、内地では身内に甘くはないんだが・・・シナ大陸では儒教思想があり、個人より身内一族が・・・
シナでは、それを総(そう)といい、国家への忠誠なんて無いんだが・・・総内では、裏切りは処刑されても・・・なのである。
シナ人から日本人へ帰化した石平先生の言である。
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