満州国、戦車開発会社

ゆみすけ

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満州軍、戦車隊の創立。

やっと満州国に戦車学校の創立されそうだ。

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 「本当ですか?」と、ニャンニャンの顔が輝く・・・
「うむ。」「軍人に二言は無いぞ。」と、鉄板の藤川君である。
 「しかし、戦車隊となると・・・戦車隊の運用を教える学校が必要だぞ。」
「オレも、富士戦車学校卒だからな。」と、軍曹がいう。
 まだ、満州国には自動車は皆無だ。(自動車運転教習所なんて、無い。)
鉄道が敷設されたのは最近なのである。
 道路は基本、馬車道なのだ。
それも、馬車は基本1頭立だ。
 だから、道路は馬車が通過できれば・・・と、なるのだ。
それで、町なら馬車が擦れ違える道路が、村なら馬車1台が通れる道が・・・
 もちろん、舗装なんて皆無だ。
奉天市の宮城の周囲が石畳みの道路なくらいなのだ。
 戦車は内地の防人戦車が2,95センチ幅だ。
それで、八八式も2,95センチ幅なのである。
 馬車は、幅が2メートルほどなのだ。
つまり、満州市街は戦車は路地へ入れないのだ。
 道幅が狭いからだ。
しかし、町から離れると・・・満州平原が広がるのだ。
 戦車にとり、平原すべてが道なのである。

 「そうだ、今なら満州政府も予算が潤沢だろう。」
「戦車学校なぞ、石原閣下へ・・・」
 満州国建国の立役者である、石原莞爾閣下へ派遣戦車隊からの要望を伝える・・・
満州国は土地は潤沢にあるから・・・
 こうして、奉天市に満州軍戦車学校が創立されたのだ。
学校で訓練に使用する戦車は旧型の八八式が4両だ。
 1両に4名だから、学生は20名ほどとなる。
「問題は教官だな。」と、悩む藤川君だ。
 「そこは、あなたしか、いませんわよ。」と、ニャンニャンだ。
「しかし、オレは派遣軍の戦車隊だ。」「教官の経験は無いんだ。」と、藤川君だ。
 「でも、戦車の経験は豊富ですわ。」と、ニャンニャンだ。
ニャンニャンにマウントを盗られてしまった藤川君なのである。
 「しかし、ジーゼル・エンジンの構造から教えなばならないんだ。」
「それは、矢田主任が居るではありませんか。」と、ニャンニャンが諭す。
 「戦車学校と言っても、常に戦車での訓練ばかりではないでしょう?」と、ニャンニャンだ。
たしかに、そうだ。
 富士学校では、機械工学が半分、そして無線工学やエンジンのメンテナンスやら・・・整備関係もバカにならないほど多かったんだ。
 「確かに、戦車学校は数学や応用力学の基本が必須だからな。」
「オレが教えるとなると、実技だから・・・矢田主任へ教員の人材を頼むこととなるだろうな。」
 「とにかく、実技で使える戦車はあるから・・・あとは、校舎と演習場(荒野)と宿舎だな。」
藤川軍曹は内地富士戦車学校を手本に考えてるようだ。

 「えっ。」「奉天に戦車学校が・・・」と、驚く矢田主任だ。
早速、矢田主任へ教員の手配に赴いた軍曹である。
 ニャンニャンに、「あなた、今日にでも・・・」と、押し切られたのである。
なんか・・・ニャンニャンの配下になった気分だが・・・
 「なんか、悪く無いな。」の、藤川軍曹なのである。
もう、完全にマウントを盗られてしまった軍曹なのだ。
 いつのまにか、軍曹を・あなた・と、呼んでるニャンニャンなのである。
確か、以前までは・・・「あの~ぅ。」と、清楚で可憐な満州娘だったんだが・・・
 いつのまにか、お尻に敷かれてしまっていたのである。
そして、そのことがメイドの序列にも・・・
 戦車隊宿舎のメイドの序列は・・・1位がニャンニャンだそうだ。
オナゴは、どこの世界でも序列は外せないそうだ。
 オナゴという種族は群れて・・・そこには、絶対的序列が・・・存在しているらしい・・・
まあ、軍曹は野郎でよかったと心より思うのだ。

 「そうだな、我が社の下請け工場にでも聞いてみるよ。」
「我が社を退職して、まだ働ける猛者が務めているから。」
 「それは、助かります。」
「給金は満州軍から、それなりに内地よりは多めになるかと・・・」
 「そうか、それは助かる。」と、主任だ。
「しかし、整備から機械工学まで・・・それなりの人数になるな。」
 「学生より多くなりそうだな。」
実際、富士戦車学校は整備工場から修理まで・・・学生より教員や補佐が多かったからだ。
 「戦場でエンコした戦車を自身でカンタンな修理ができないと、だめだからな。」
「そうですね。」と、納得の軍曹である。
 軍曹もカンタンな修理や部品交換はできるのだ。
史実でも陸軍の機甲科は一般兵科と違って技術肌の雰囲気があり、鉄拳制裁も少なかったと聞いている。
 戦車は動物ではない、ムチ打っても動かないモノは動かないのだ。

 こうして、奉天市に満州軍の戦車学校が創立されるウワサが・・・
「で、一般市民の子弟を募集するか、それとも軍から募集するか、どうすんだ。」
 と、聞かれて困る軍曹だ。
「それに、機械工学の教科書は日本語だぞ。」
 「満州語(漢語と遊牧民の言語が融合した言語)の教科書なんて、無いぞ。」
「いまから翻訳なんて、無理だ。」
 「なら、戦車学校は内地語(日本語)で押し切るしかないな。」
「無理なんじゃないか?」
 「いや、JKメイドは日本語ペラペラだぞ。」
そうなのだ、ニャンニャンも軍曹との会話は日本語だ。
 それも、軍曹の訛りのある日本語を真似るほどだ。
軍曹らの派遣軍隊員も満州語を使うときもあるからね。
 奉天市の夜の街では、日本語が通じないからだ。
満州娘はJKメイド以外は日本語はダメだからである。
 「それなら、言語から教えるとなると・・・若くないとダメだな。」
「それに、機械工学は基礎学力が無いと・・・」
 「こちらが立てば、あちらが立たないか・・・」
「しかし、満州国の国民が国防はやらねばならない。」
 「いつまでも、派遣軍では・・・」
「国は、その国の国民で守るのが基本だからな。」と、主任だ。
 「まあ、とりあえず・・・中等学校卒が条件で募集をしてみれば・・・」
まあ、何事も・・・やってみなければ、わかんないからね。
 こうして、奉天市の中等学校へ卒業生の受験案内を配ることとなったのである。

 来たれ、我が戦車隊へ!
奉天戦車学校、創建。
 受験条件
  16歳以上、中等学校卒、または予定の者。
  健康な独身男子で、愛国心旺盛な者。
  募集人員、20余名。
  本年度、4月開校予定。
  連絡先、奉天市内派遣軍戦車隊



 
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