満州国、戦車開発会社

ゆみすけ

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ニャンニャン装甲を航空甲板へ、しかし予算が・・・

空母対決の懸賞金とは?

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 ニャンニャン装甲の名前は藤川軍曹専属メイドからの命名だ。
正式には複合積層装甲というんだが、なぜか皆はニャンニャン装甲と・・・
 当の本人は、「それは、名誉なことですわ。」と、喜んでるから・・・無下には禁止できないのだ。
これが、セクハラなら論外なんだが・・・
 満州国の国防に役立つ戦車の装甲に自身の名前が・・・それは、名誉なことであるからだ。
なせなら、内地でもニャンニャン装甲は知らない者がいないほど知れ渡っているからだ。
 最近では、ニャンニャの偽物が内地でコンサートを・・・当の本人は知らないが・・・
なんと、レコードまで・・・ニャンニャン音頭からニャンニャン慕情まで・・・
 偽物も、けっこう可愛いから複雑に・・・
とうとう、内地のニャンニャンとして正式に公認されたとか、それはないとか・・・
 利権がからんでくると複雑なのだ。
なんせ、本人は専属メイドだから・・・歌謡界へデビューなんて、無理な話だ。
 ネコ耳をつけて踊る、偽物ニャンニャンはマジで内地で人気が沸騰してるらしい。
話がソレまくりで、スンマセンです。
 
 「えっ。」「海軍との空母対決にニャンニャン装甲が採用される・・・と。」
「そうだ。」「マジですか?」
 「陸軍省からの大臣の要請まであるぞ。」
「では、内地の大阪工廠へ採用されると・・・」
 これは、矢田主任にとり、最高に喜ばしいことなのだ。
陸軍空母が空母対決で勝利すれば、海軍が頭を下げて・・・ニャンニャン装甲を海軍の正規空母へ採用することになるからだ。
 もちろん、装甲板には陸軍ニャンニャン装甲と記名が入るのだ。
海軍が陸軍から装甲板を買わねばならないのだ。
 これは、陸軍の勝利ということだ。
明治以降の陸海軍の対決に終止符が・・・
 と、淡い期待を・・・抱いた矢田主任だったが・・・
そうは、カンタンには問屋は卸さないようだ。
 「うむ、しかしだ、このニャンニャン装甲という名前は、なんとかならんのか?」と、陸軍大臣が苦言だ。
「積層装甲で、いいではないか。」と、加える。
 「しかし、満州国で開発された手前・・・」と、言い訳がましい・・・話だ。
「そのメイドとかのアイデアからだということからの名前なんだな。」
 「え、え、まあ、そのようで・・・」と、陸軍参謀部長の言い訳だ。
「いくら、なんでもメイドの名前では、海軍に笑われかねないぞ。」と、大臣だ。
 「では、イイ名前があれば・・・」
「そうだな、ニャン・・・ニャン子・・・ううむ、思い浮かばんぞ。」と、苦悩する陸軍大臣だ。
 「ところで、空母の飛行甲板に使えるほど、生産できるのか?」と、痛いところを・・・
「それがです。」「なんだ?」
 「積層装甲は何層にも陶器粉末を超高温で焼いた板と鋼鉄製の板を重ねたヤツらしいんで、そう簡単にはできないらしいので・・・」
 「とても、飛行甲板には無理じゃないかと・・・」
「太陽の温度と同等の超高温らしいです。」
 「反射炉でも?」と、大臣だ。(反射炉の知識はある、大臣だ。)
「え、え、そうです。」
 「それで、太陽炉という太陽光を集める炉が開発中なんですが・・・」
「なかなか、反射鏡が・・・」
 「まあ、難しいのはわかった。」
「それで、予算が欲しいと、大阪工廠から・・・」
 「いくらだ?」「500万円ほど。」(当時は零戦1機が500円だった。)
「なんだって、陸軍の半年分の予算だぞ。」
 「・・・・・」と、無言の参謀部長だ。

 紆余曲折、色々あったが・・・あきつ丸の飛行甲板の格納庫上だけでもニャンニャン装甲が張られたのである。
それが、陸軍の予算ギリだったとか・・・
 こうして、空母対決は7日後と決まったのだ。
ここは、呉鎮守府である。
 海軍統合本部では・・・
「それで、陸軍からの空母は例のあきつ丸か?」
 「そうです、てか、それしかありませんが・・・」
「それで、我が海軍は、どうすんだ。」
 「最新型装甲空母シナノしか、ありませんぞ。」
「いかん、あれは最大軍事機密だぞ。」
 「まだ、海軍でも一部の者しか知らんのだぞ。」(呉鎮守府の幹部しか、知らないらしい。)
「それに、あの装甲空母はバランスが最悪で、いつひっくり返るか・・・」
 「大きな声を出すな。」「あれは、絶対に内緒だぞ。」
「いまさら、失敗だなんて知れたら陛下になんていうんだ。」
 「そうだぞ、オレ達は切腹は免れないぞ。」
装甲空母シナノは飛行甲板の装甲が500キロ爆弾に耐える鋼鉄の分厚い装甲なのだ。
 それで、空母の重心が甲板上まで・・・つまり、トップヘビーなのだ。
史実なら、南朝鮮のセォル号と似た話なのだ。(まだ、ひっくり返ってはいないが・・・)
 外洋へ出れば、なんとも言えないのだ。
「それで、左右をタグボートで援護して運用することにしたんでしょ。」
 「あ、あ、そうだ。」
「一度、試験運用しませんか。」「でないと・・・」
 「そんなこと、バレたらどうずんだ。」
相も変わらず、島国根性ばかりの海軍幹部連中であるようだ。

 こうして、7日後の空母対抗試合の日だ。
場所は模擬弾とはいえ、500キロ爆弾を投下する対抗試合である。
 一般船舶へ危険が及ばないように・・・神奈川沖の公海が選ばれたのだ。
偵察機で民間船舶が入らないように警戒している。
 もちろん、海軍側と陸軍側は別の偵察機だ。
そうなのだ、陸軍と海軍は同じ便所も使わないほど確執は高まっていたのである。
 海上にブイが並べられて・・・そこが境界線である。
海軍の空母へ模擬爆弾を投下するのは陸軍の急降下爆撃機だ。
 そして、陸軍の空母へは海軍の急降下爆撃機である。
模擬500キロ爆弾は炸薬を抜いて、爆発する噴煙だけ仕掛けてあるヤツだ。
 そして、互いの損害は自己責任という念書を交わしている徹底ぶりなのである。
模擬爆弾は互いに3発、搭載された。
 つまり、急降下爆撃機は3機ということだ。
まあ、一般的編隊が3機だからなのだそうだ。
 先攻・後攻を決めるクジを決めるクジがはじまった。
なんとも、ややこやしいことこの上ないのだ。
 とにかく、陸軍と海軍が顔を合わせると・・・飲み屋なら、乱闘が・・・会議なら、乱闘会議へ・・・
それで、両軍の間にロープを張り、そこから出るとマイナス1点となるルールを作って、乱闘を収めてるらしい。
 そして、何回ものクジが終わり、先攻は海軍からとなったのだ。
「ふふ、我が軍が先攻とは、ついてるな。」「そうです、早くやらないと空母のバランスが・・・」
 「シーーーーーッ、それは内緒だぞ。」「スンマセン。」
陸軍空母から急降下爆撃機が発艦した。
 さあ、空母対決の幕が墜とされた・・・のだ。
 
 
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