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50ミリ砲と45ミリ砲の撃ちあいだ。
さすが、ニャンニャン装甲だっ! しかし、耳栓が欲しいのだ、釣鐘内に居るようだ。
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「よし、初弾命中だ。」「よくやった。」と、軍曹だ。
初弾を命中させれば、その戦いは勝利するかもしれない・・・これは、我が皇軍のジンクスだ。
それで、砲手は初弾を外さないように慎重に狙うのだ。
しかし、電波式照準機が開発されて、初弾命中が当たり前田のクラッカーとなってしまったのだ。
これでは、砲手の職人技が発揮できないではないかっ!
現、陸上自衛隊も命中するのが当然らしい。
100発撃って、100発命中が当然で、1発でも外したら罰ゲームだとか・・・
確か、軍隊の国際大会で自衛隊が優勝したんだが・・・1発外したので、優勝したのに、全員が罰ゲームとか・・・
米軍いわく、「優秀なヤツばかり集めた部隊だから、それでは戦争のときに・・・」と、苦言を・・・
だが、大会へ出場は自衛隊では順繰りだとか・・・自衛隊には優秀なヤツばかり集めた部隊は無いそうだ。
他国の軍隊には、飛び抜けて優秀な兵隊は数人いるが・・・我が皇軍は飛び抜けて優秀な兵隊はいないが、全員が一定の水準なのが強みなのだ。
そう、誰が砲撃しても電波式照準機は命中するからだ。
標的までの正確な距離と目標を正確に狙えば・・・風向きやら気圧を補正表で修正すれば命中するからである。
しかし、何事にも誤差は生じるのだ。
その誤差をおぎなうのが、職人技なのだそうだ。
「よし、ヤツらは気が付いていないようだぞ。」と、双眼鏡からソ連軍を見る軍曹だ。
ソ連軍の新型50ミリライフル砲を搭載したT-3型線型戦車には、大きな欠点があったのだ。
それは、砲塔へ50ミリ砲を無理に詰め込んだから・・・戦車が以前より重いのだ。
ところが、ソ連軍は高馬力のジーゼル・エンジンの開発に手間取っていたのだ。
しかし、上(コミンテルン)からは矢の催促だ。
期日までに開発できないと・・・シベリア送りだ。
そう、役に立たないと・・・シベリア収容所で凍えてタヒネが末路なのである。
ソ連軍の戦車開発技師連中は・・・まあ、誰でも、そうだが・・・無理やり50ミリ砲の搭載なのだ。
それで、とりあえず50ミリ砲を無理に砲塔へ押し込んで造ったのが、T-3型なのである。
それで、エンジンは重い車重で無理するから騒音がハンパないのだ。
まあ、どこの国の戦車も重量はハンパないから・・・エンジンを無理して廻してるから騒音はハンパないんだが・・・
とくに、T-3型は耳栓が無いと・・・それに比べて、我が軍の八九式のターボ・ジーゼルエンジンの音はトルクに余裕があって静かだった。(耳栓はいらないからね。)
そして、T-3型は草原では20キロ毎時が巡行速度で、最高は38キロ毎時が限度であったのだ。
T-2型より車重が重くなった分、速度はでなかった。
さて、履帯が切れて動けなくなった戦車から逃避したラスプーチン隊長は・・・
「まてよ、このまま逃げては粛清されかねないぞ。」と、危機感満載だ。
そこへ、同じ戦車の部下が走ってきた・・・
しかし、ここはモンモンハンではないのだ。
そう、モンゴルの国境までは遠いのだ。
さすが、歩くのは・・・
そこへ、ソ連軍の給油トラックが・・・
「隊長、どうしたんですか?」と、トラックの工兵だ。
「うむ、敵の卑怯な攻撃が・・・」と、言い訳だ。
「黄色い猿めにヤラらたんですか。」「他の戦車は。」
「わからん。」
「では、撤退ですね。」
「そうだ。」と、指示してラスプーチン隊長は給油トラックの助手席へ・・・
あとの、部下はタンクの手すりへ掴まったのだ。
「モンモンハン方面へ戻るぞ。」と、指示を出すラスプーチン隊長だ。
こうして、ラスプーチン隊長以下の連中は無事にシベリア前線基地へ戻ることが・・・できたのだった。
ところで、残った10両の戦車の運命は・・・いかに?
「ヤツらめ、そのまま前進してくるようだぞ。」と、双眼鏡で観る藤川君だ。
「さて、どう料理してやろうか・・・」と、思案に暮れる。
そのころ、前進していたソ連軍のT-3型の隊員が隊長からの指示がでなくなったことに、やっと気が付いたようだ。
「なんか、急に静かになったな。」「こちら、2号車。」「ラスプーチン隊長、聞こえますか。」と、無線マイクで騒いだ。
やっと、短波帯だが無線機が搭載されたT-3型だ。(T-2型までは、隊長車しか無線機が無かったのだ。)
まだ、試験運用だから電波も弱く聞き取りにくいのだが・・・
「こちら、2号車。」「聞こえますか。」と、繰り返すが・・・音通は無い。
まさか、逃げやがったな・・・と、思う部下連中だ。(いつのもことだ。)
そこは、シナや朝鮮軍と同等のソ連軍幹部だ。
逃げ足だけは、天下一品なのである。
まさか、とっくに隊長が逃げ出したとは・・・さすがに、思わなかったんだが・・・
「いや、まさか。」と、不安になる隊員らだ。
そこで、隊長車をさがすが・・・履帯が切れた隊長の戦車を発見する!
戦車は鎮座しているが・・・誰もいないようだ。
さすがに、そうなると理解できない兵卒らも・・・理解するようである。
「しまった、さては先にトンズラしやがったな!」
「おい、どうする。」
「敵は?」と、周囲を見廻すが・・・敵である日本軍は、遥か遠い3キロほど遠方だ。(つまり、見えない。)
「おい、伍長。」「なんだよ。」
「隊長がいないんだ、君が指揮をとれ。」と、平隊員から言われるピーマン伍長だ。
「えっ、オレかよ。」
「とりあえず、モンモンハンまで後退するぞ。」と、皆の賛同を得そうな指示を出す。
でないと、ここで突撃なんて言ったら・・・皆から突き上げをくらいかねないからだ。
こうして、10両のT-3型新型ソ連軍の戦車は満足に戦いもしないで・・・後退という惨めな侵攻結果となってしまったのである。
さすが、1発の砲弾でソ連軍が後退したなんて夢にも思わない藤川軍曹は・・・
ソ連軍を探し求めて、かなり無駄な時間と徒労を・・・
「くそっ、どこへいきやがったんだ。」「いい加減に、でてこいよ。」と、空しい叫びがコダマするだけだったのだ。
実際のところ、騎馬隊が数週間にわたり探し回って・・・ソ連軍は撤退したことが判明したのは30日後だった。
さすがに、広大な満州平原だ。
そして、チチハルとモンモンハンの間の草原に5両のソ連軍戦車の残骸が残ることに・・・
その5両の内、比較的状態が良い1両、(それはラスプーチン隊長の隊長車だったが)その1両を内地へ搬送することとなった。
残りの4両を戦車開発会社の技師が検分したんだが・・・
「砲身が50ミリになったこと以外は、以前のヤツと同じだと思われる。」との判断だった。
外観上は、砲身が長く太くなっただけのようだ。
「ふむ。」「見どころは、砲身だけのようだな。」と、奉天市郊外の射場で試し撃ちされることに・・・
さあ、ニャンニャン装甲はソ連軍の50ミリに耐えることができるのか?
初弾を命中させれば、その戦いは勝利するかもしれない・・・これは、我が皇軍のジンクスだ。
それで、砲手は初弾を外さないように慎重に狙うのだ。
しかし、電波式照準機が開発されて、初弾命中が当たり前田のクラッカーとなってしまったのだ。
これでは、砲手の職人技が発揮できないではないかっ!
現、陸上自衛隊も命中するのが当然らしい。
100発撃って、100発命中が当然で、1発でも外したら罰ゲームだとか・・・
確か、軍隊の国際大会で自衛隊が優勝したんだが・・・1発外したので、優勝したのに、全員が罰ゲームとか・・・
米軍いわく、「優秀なヤツばかり集めた部隊だから、それでは戦争のときに・・・」と、苦言を・・・
だが、大会へ出場は自衛隊では順繰りだとか・・・自衛隊には優秀なヤツばかり集めた部隊は無いそうだ。
他国の軍隊には、飛び抜けて優秀な兵隊は数人いるが・・・我が皇軍は飛び抜けて優秀な兵隊はいないが、全員が一定の水準なのが強みなのだ。
そう、誰が砲撃しても電波式照準機は命中するからだ。
標的までの正確な距離と目標を正確に狙えば・・・風向きやら気圧を補正表で修正すれば命中するからである。
しかし、何事にも誤差は生じるのだ。
その誤差をおぎなうのが、職人技なのだそうだ。
「よし、ヤツらは気が付いていないようだぞ。」と、双眼鏡からソ連軍を見る軍曹だ。
ソ連軍の新型50ミリライフル砲を搭載したT-3型線型戦車には、大きな欠点があったのだ。
それは、砲塔へ50ミリ砲を無理に詰め込んだから・・・戦車が以前より重いのだ。
ところが、ソ連軍は高馬力のジーゼル・エンジンの開発に手間取っていたのだ。
しかし、上(コミンテルン)からは矢の催促だ。
期日までに開発できないと・・・シベリア送りだ。
そう、役に立たないと・・・シベリア収容所で凍えてタヒネが末路なのである。
ソ連軍の戦車開発技師連中は・・・まあ、誰でも、そうだが・・・無理やり50ミリ砲の搭載なのだ。
それで、とりあえず50ミリ砲を無理に砲塔へ押し込んで造ったのが、T-3型なのである。
それで、エンジンは重い車重で無理するから騒音がハンパないのだ。
まあ、どこの国の戦車も重量はハンパないから・・・エンジンを無理して廻してるから騒音はハンパないんだが・・・
とくに、T-3型は耳栓が無いと・・・それに比べて、我が軍の八九式のターボ・ジーゼルエンジンの音はトルクに余裕があって静かだった。(耳栓はいらないからね。)
そして、T-3型は草原では20キロ毎時が巡行速度で、最高は38キロ毎時が限度であったのだ。
T-2型より車重が重くなった分、速度はでなかった。
さて、履帯が切れて動けなくなった戦車から逃避したラスプーチン隊長は・・・
「まてよ、このまま逃げては粛清されかねないぞ。」と、危機感満載だ。
そこへ、同じ戦車の部下が走ってきた・・・
しかし、ここはモンモンハンではないのだ。
そう、モンゴルの国境までは遠いのだ。
さすが、歩くのは・・・
そこへ、ソ連軍の給油トラックが・・・
「隊長、どうしたんですか?」と、トラックの工兵だ。
「うむ、敵の卑怯な攻撃が・・・」と、言い訳だ。
「黄色い猿めにヤラらたんですか。」「他の戦車は。」
「わからん。」
「では、撤退ですね。」
「そうだ。」と、指示してラスプーチン隊長は給油トラックの助手席へ・・・
あとの、部下はタンクの手すりへ掴まったのだ。
「モンモンハン方面へ戻るぞ。」と、指示を出すラスプーチン隊長だ。
こうして、ラスプーチン隊長以下の連中は無事にシベリア前線基地へ戻ることが・・・できたのだった。
ところで、残った10両の戦車の運命は・・・いかに?
「ヤツらめ、そのまま前進してくるようだぞ。」と、双眼鏡で観る藤川君だ。
「さて、どう料理してやろうか・・・」と、思案に暮れる。
そのころ、前進していたソ連軍のT-3型の隊員が隊長からの指示がでなくなったことに、やっと気が付いたようだ。
「なんか、急に静かになったな。」「こちら、2号車。」「ラスプーチン隊長、聞こえますか。」と、無線マイクで騒いだ。
やっと、短波帯だが無線機が搭載されたT-3型だ。(T-2型までは、隊長車しか無線機が無かったのだ。)
まだ、試験運用だから電波も弱く聞き取りにくいのだが・・・
「こちら、2号車。」「聞こえますか。」と、繰り返すが・・・音通は無い。
まさか、逃げやがったな・・・と、思う部下連中だ。(いつのもことだ。)
そこは、シナや朝鮮軍と同等のソ連軍幹部だ。
逃げ足だけは、天下一品なのである。
まさか、とっくに隊長が逃げ出したとは・・・さすがに、思わなかったんだが・・・
「いや、まさか。」と、不安になる隊員らだ。
そこで、隊長車をさがすが・・・履帯が切れた隊長の戦車を発見する!
戦車は鎮座しているが・・・誰もいないようだ。
さすがに、そうなると理解できない兵卒らも・・・理解するようである。
「しまった、さては先にトンズラしやがったな!」
「おい、どうする。」
「敵は?」と、周囲を見廻すが・・・敵である日本軍は、遥か遠い3キロほど遠方だ。(つまり、見えない。)
「おい、伍長。」「なんだよ。」
「隊長がいないんだ、君が指揮をとれ。」と、平隊員から言われるピーマン伍長だ。
「えっ、オレかよ。」
「とりあえず、モンモンハンまで後退するぞ。」と、皆の賛同を得そうな指示を出す。
でないと、ここで突撃なんて言ったら・・・皆から突き上げをくらいかねないからだ。
こうして、10両のT-3型新型ソ連軍の戦車は満足に戦いもしないで・・・後退という惨めな侵攻結果となってしまったのである。
さすが、1発の砲弾でソ連軍が後退したなんて夢にも思わない藤川軍曹は・・・
ソ連軍を探し求めて、かなり無駄な時間と徒労を・・・
「くそっ、どこへいきやがったんだ。」「いい加減に、でてこいよ。」と、空しい叫びがコダマするだけだったのだ。
実際のところ、騎馬隊が数週間にわたり探し回って・・・ソ連軍は撤退したことが判明したのは30日後だった。
さすがに、広大な満州平原だ。
そして、チチハルとモンモンハンの間の草原に5両のソ連軍戦車の残骸が残ることに・・・
その5両の内、比較的状態が良い1両、(それはラスプーチン隊長の隊長車だったが)その1両を内地へ搬送することとなった。
残りの4両を戦車開発会社の技師が検分したんだが・・・
「砲身が50ミリになったこと以外は、以前のヤツと同じだと思われる。」との判断だった。
外観上は、砲身が長く太くなっただけのようだ。
「ふむ。」「見どころは、砲身だけのようだな。」と、奉天市郊外の射場で試し撃ちされることに・・・
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