満州国、戦車開発会社

ゆみすけ

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無双、皇軍戦車隊だっ!!!

敵の新型なぞ、蚊ほども感じないぞ!

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 「うむ、さすが新型は違うな。」と、感心するラスプーチン隊長だ。
「これがTー2型だと、ここまでは来れないからな。」と、チチハルへ迫る露スケ戦車隊の11両だ。
 ソ連軍はTー2型の対ドイツ戦の反省から・・・新型50ミリライフル砲のT-3型を開発したのだ。
ところが、対ドイツ戦線が膠着状態で互いに休戦状態へ・・・いつ、なんどき動き出すかわからないんだが・・・
 それで、新型戦車の試験運用が・・・できない・・・
それで、極東の満州国との国境紛争に眼をつけたのだ。
 表向きはモンゴル共和国VS満州国なんだが・・・
裏では、ソ連軍VS日本陸軍だったのだ。
 話を戻して、ソ連軍の新型戦車の件なんだが・・・
50ミリライフル砲、以外は旧型のT-2型となんら替わった点は無かったのだ。
 対ドイツ帝国のⅡ型戦車と主砲がトントンだったから、その反省から主砲を増し云々して・・・
より、威力が大きい50ミリライフル砲に・・・
 まあ、主砲の重さが重くなったが・・・首から下はT-2型と同じである。
つまり、重くなっても馬力は同じだ・・・ということは、最高速度が40キロも出ないのだ。
 もちろん、これは中央政府(コミンテルン)には内緒だ。
政府からは、ドイツ軍に勝てる戦車と言う命令だったのだ。
 ドイツ軍は45ミリ砲、我がソ連軍は50ミリ砲だ。
つまり、先に砲撃したら勝てるのだ。

 「最高巡行速度を維持できそうか?」と、藤川軍曹が聞く。
運転士は、「なんとも、いえませんが・・・」「この、トルクなら重い八九式も60キロを維持できそうです。」
 「わかった。」「無理は承知で言ってるから、ソ連軍の好きにさせたくはないからな。」
「わかってます。」「なんとか、もたせてみせます。」
 「頼んだぞ。」と、音声通話する軍曹だ。
さすが、草原での無理な最高巡行速度だ。
 ものすごい騒音と履帯の地面を咬む音が満州原野に響くのだ。
かなり、エンジン温度も上昇している。
 運転席のエンジンパネルの水温計が・・・90度を・・・
「いかん、90度を越えると・・・」と、運転士が速度を50キロ毎時で落とす。
 水温計が90度で安定する。
「そうだ、変速をオーバードライブへ・・・」と、まだ使ったことが無い変速段へ・・・
 八八式には無かった変速段へ・・・初めて、いれた・・・
エンジン回転は2500prmから2300prmへ・・・
 速度は60キロへ・・・さらに、あがるようだ。
65キロ、さらに上がる・・・70キロだって・・・
 運転士である斎藤上等兵卒は冷や冷やだ。
なんせ、70キロ毎時なんて日本製戦車では初めてじゃないかな?
 それも、平坦な舗装路では無いのだ。
凹凸はそんなにないが・・・満州平原なのだ。
 凹凸は少ないが速度が速度だからか、かなり揺れるのだ。
軍曹なんかは、砲塔から身を乗り出してるから・・・今にも、ハッチか飛び出しそうだ。
 
 「うわぁ。」「おい、これは・・・かなり酷いぞ・・・」
舌を噛むから、しゃべらない方が・・・
 まだ、チチハルの住民が避難したとは聞いてない戦車隊なのだ。
それで、緊急速度でチチハルへ・・・
 なんとか、露スケが町へ侵攻する前に・・・
やがて、水平線に町の影が見えてきた。
 まだ、町から噴煙は上がっていないようだ。
ということは、ソ連軍が町へまだ侵攻していないということだろう。
 「なんとか、間に合ったようだ。」と、チチハルの町へ侵入する八九式中戦車だ。
町の中では・・・住民が避難の真っ最中だ。
 「ふう。」「間に合ったぞ。」と、安堵の藤川軍曹だ。
民間人への攻撃を防ぐのが派遣軍の役目だからだ。
 町の西方の入り口でソ連軍を待ち構えるために、戦車を道路の真ん中に配置する。
「内地の技師が心血を注いだ・・・八九式新型戦車だ。」
 「初弾から、当てていくぞ。」と、砲手へ注文を付ける軍曹だ。
「わかりました。」「新型電波照準機の操作は理解できました。」
 「初めてで、なんとも言えませんが。」「初弾から当てていきます。」
最高巡行速度は、かなりの振動を戦車内の電子機器へ・・・
 しかし、しかしだ。
振動に弱い部品は光学照準器の光学ガラスだったのだ。
 それが、八九式はガラスが無くなり、金属部品の電波照準機へ・・・
あとは、砲塔に付いている潜望鏡のガラスとか運転士席の潜望鏡だったのだ。
 あまりの振動に、潜望鏡のガラスにはヒビが・・・
潜望鏡は敵の銃弾が命中すると、ガラスが割れてしまいかねない。
 それで、交換できるようになっているのだ。
それで、軍曹や運転士は潜望鏡の交換を戦闘になる前に交換したのだった。
 交換は、容易いのだ。
ネジを外して、付け替えるだけだからだ。(著者でも、カンタンだ。)
 確か、米軍のM4シャーマンの戦車兵も予備の潜望鏡を持参して戦車へ搭乗していたのだ。

 「おお、見えるぞ。」と、東京光学製6倍の双眼鏡から西方を狙う藤川軍曹だ。
砲手が、「どれを、狙いますか?」と、電波式照準機で狙う。
 「そうだな。」「あの、砲塔からフンぞり返ってる偉そうなヤツを狙えるか?」と、ソ連軍、最後尾の戦車を示す。
その最後尾の戦車には、ラスプーチン隊長が砲塔にフンぞり返ってるのだ。
 まさか、一番後ろは狙われないと・・・そこまで正確な砲撃なぞ無理だと思っているのだ。
まあ、電波式照準機が開発される以前ならだが・・・
 「どこを狙いますか。」「なんなら、あいつでも狙えますが・・・」と、ラスプーチンを指す。
「そうだな、いや戦車の履帯を狙え。」「正面装甲は、この距離だから抜くのは無理だろう。」
 「わかりました。」
「では、行きます。」「うむ。」
 我が皇軍の新型戦車である八九式の電波式照準機が距離を割り出す。
砲身の方向は光学式照準器で定める。
 正面からだから・・・敵が動いていても方向は変わらない。
「バウン。」と、45ミリライフル砲が吠える。
 数秒後、「着弾いまっ!」と、砲手が叫ぶ。(初弾から当てだのだ。)
双眼鏡の視野で敵の戦車の右側の履帯が、切れたようだ。
 爆発の噴煙で敵戦車が見えない。

 「なんだ。」「どうしたんだ。」「敵の攻撃かっ!」と、ラスプーチン隊長が騒ぐ。
あわてて、双眼鏡で周囲を見廻すが・・・敵影は見えない。
 かなりの距離があるからだ。
そうなのだ。
 我が皇軍の砲手いわく、「距離3432メートル、撃っていいですか?」
藤川君が、「いつでも、いいぞ。」だ。
 それで、距離があるから弱い履帯を狙わせたのだ。
もちろん、戦車は停止していて砲身は安定装置で固定されて・・・電波式照準機で正確な距離を割り出して、東京光学の光学照準器で正確に方位を測ったからの戦果である。
 正確に目標へ砲弾を当てるには、安定した足まわりが必要である。
天体望遠鏡の鏡胴より懸架する赤道儀に金をかけると同じである。
 視界がブレては、正確な照準は無理だからだ。
「おい、隊長らしいヤツが逃げ出したぞ。」と、藤川君がバカにする。
 そして、ラスプーチン隊長の跡を追って残りの戦車兵も履帯が切れた戦車から・・・遁走だ。
10両のソ連軍戦車は、気ずいていないようだ。
 なんせ、隊長車は1番後ろだったから。
ソ連軍の隊長もシナや朝鮮と同じなようである。
 なぜなら、現、ウクライナ戦争でも・・・ソ連軍は、幹部が先に遁走することが多々あるようだからだ。


 

 
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