満州国、戦車開発会社

ゆみすけ

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ソ連軍の猛攻だ!

満州国騎馬隊、奮戦す!

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 派遣戦車隊が長春の町からチチハル方面へ移動を開始していたころ・・・
モンモンハンから西方のモンゴル人民共和国との国境から・・・
 以前のT-2型とは違う、新たな戦車でモンゴル軍の国旗を掲げたソ連軍が満州国へ・・・
越境行為で再度の紛争を・・・
 まだ、派遣日本軍は・・・かなりの遠方なのだ。
それで、越境してきたモンゴル軍(ソ連軍)へ満州国として対抗する姿勢は見せなければならない。
 「カンジン隊長。」と、騎馬隊の伝令であるチムデンが・・・
「志願騎馬兵を集めました。」と、敬礼だ。
 「うむ、ごくろう。」と、カンジン騎馬隊長が答礼する。
数頭の騎馬兵が並んでいる。
 「諸君、志願してくれて感謝に耐えない。」と、激励する隊長だ。
「いまから、対戦車地雷の使い方を説明する。」
 「朝倉君、お願いできるか。」
「ハイ。」と、日本軍の工兵が前へ出る。
 「先のソ連軍の侵攻で、我が派遣軍が敵を追い払ったことは知ってるでしょう。」
「うむ、さすが日本の戦車だ。」と、騎馬兵らがいう。
 「いや。」「それは、少し違うのだ。」と、朝倉君がいう。
「戦車ではないのだ。」と、明かす朝倉君だ。
 「この対戦車地雷で敵戦車を破壊したのだ。」と、地面の地雷を示す。
対戦車地雷は対人地雷より重く大きいから、片手では持てない。
 「この地雷を君らに仕掛けてきてもらいたいのだ。」と、朝倉君がいう。
不安な顔が志願兵に漂う・・・
 騎馬で突撃かと、思ってたからだ。
折り畳みの軍用スコップを全員へ渡す。
 そして、「このように、穴を掘るんだ。」と、地面に30センチ四方の浅い穴を・・・
「そして、これが感知器だ。」と、2メートルくらいの長細い棒を差し出した。
 「この、棒を地雷のココに繋いで・・・地面へ浅く埋める。」
「そして、砂をかけて隠すのだ。」
 「その隠した棒の上を敵戦車が通過すれば、ドカンだ。」と、爆発することを伝える。
「地雷を仕掛けるところは、敵の戦車が通りそうな所だ。」
 「まずは、敵の動きを偵察すれば、どこを戦車が通るかわかるはずだ。」と、カンタンに言う朝倉君だ。
「あの~ぅ。」「なんでしょう。」 騎馬隊員が質問だ。
 「触って、爆発は?」と、もっともな質問である。
「ほう、なかなか良い質問だ。」と、とりあえず誉める朝倉君だ。
 「戦車は重いんだ。」「馬より、遥かに重いんだ。」
「馬が踏んでも爆発はしない。」「試してみるぞ。」 
 と、馬の手綱を取り・・・地雷の棒へ馬のあんよを・・・
あわてて、逃げ回る騎馬隊員らだ。
 馬が地雷の感知棒を踏むが・・・馬の体重では、爆発はしない。
そこは、日本の地雷だ。
 民間人が踏んで、爆死して・・・国際的な非難を受けることがないように製造してあるのだ。
「お~い。」「逃げなくても、爆発なんかしないぞ。」と、騎馬隊員らへ知らせる朝倉技師だ。
 「いいか、我が日本軍が駆けつけるには時間が少しかかるんだ。」
「その間、ソ連軍を足止めしなければならない。」と、力説する朝倉君だ。
 「君らも、露スケ野郎に国を荒らされたくはないだろう。」
「あたりまえですよ。」「あいつら、牧草地を戦車であらすからな。」
 「熊のイワンなぞ、死ねばいいのだ。」「そうだ、抹殺だ。」
おおいに盛り上がる騎馬隊員らである。

 「今から、対戦車地雷を配るからな。」
「1騎に1個、渡すからな。」「どこに、仕掛けたかわすれるなよ。」
 「露スケを追い払ったら、爆発してない地雷は回収するからな。」
対戦車地雷には番号が符ってある。
 そして、誰がどこに仕掛けたかを明らかにしておく朝倉君だ。
ヒトが踏んでも爆発は無いが・・・万が1ということも、無いことはないからだ。
 地雷は製造コストが安価だから・・・貧者の兵器とも言われるんだが・・・誤爆事故も少なくないのだ。
戦争が終わっても、埋められた地雷で爆死する民間人が・・・
 ソ連邦のような無法国家なら、文句も言われないが・・・常任理事国の日本には法外な文句を・・・
そうならないために、地雷1個でも回収が鉄則な日本陸軍なのである。
 ちなみに、騎馬隊へ渡してる対戦車地雷は2型で、Tー2型戦車をひっくり返した地雷とは違うモノなのである。
以前の対戦車地雷は感知棒が無く、戦車の重みが加わると押しボタンスイッチが入り爆発する方式に金属の磁気を感知して爆発する方式を加えたモノだった。
 しかし、金属の磁気を感知する回路の誤動作の可能性が捨てきれなかったのだ。(バスやトラックで感知するかも・・・)
 それで、金属感知方式は廃止して、感知棒での履帯を感知する方式へ改めたのである。
何度も、テストを繰り返してバスやトラックでは感知しないことを確認してる対戦車地雷であるのだ。
 万が一でも誤爆すれば・・・ヒトの命にかかわるからである。
安全装置の、2重や3重は当たり前田のクラッカーなのだ。

 「では、ソ連軍が侵攻してくる場所へ仕掛けを・・・」と、朝倉技師が騎馬隊長へ・・・
「うむ、任されよ。」と、騎馬隊はモンモンハンの草原へ散っていった。
 満州平原は平原とは言っても荒れ地なのである。
凹凸は、それなりの激しさがあるのだ。
 山間部ほどではないが・・・馬でないと通行は難しいだろう。
つまり、自動車なら四輪駆動だけではダメで、それなりの車高が必要だということだ。
 普通の4輪馬車は無理で、前輪が小さい荒れ地用でないと・・・
戦車なら、それなりの荒れ地でもOKなんだが・・・荒れ地だと燃費が最悪になる。
 下手すると、エンジンがオーバーヒートしかねないのだ。
それで、なるべく平坦な箇所を選んで侵攻してくるソ連軍なのである。
 それで、以前にソ連軍が侵攻してきた場所を重点に対戦車地雷を仕掛ける騎馬隊だ。
騎馬隊員は遊牧民のころのカンというか、本能みたいな土地感があるそうだ。
 でないと、広大な満州平原を騎馬で駆けれないからだ。
現在のGPSや電波方向探知機なんて、皆無だからね。
 日本軍は夜間の星を六分儀で計測して、正確な位置を測り行軍してるくらいなのだ。
水平線はあるんだが、目標物(山脈など)が無いからだ。
 ソ連軍は、どうしてるか?知りたい朝倉君だった。
内地(日本本土)なら、目標物がないことはないからね。
 軍用の羅針儀(かなり詳細な方位を測れる)だけでは、行軍なんて無理だ。
距離を測りつつ、方位を正確に計測して行軍しても数キロの誤差が生じるからである。
 その点、野生のカンというか本能みたいな騎馬隊連中が羨ましいこともあるのだ。
「こちら、朝倉。」「チチハル局、どうぞ。」
 しばらくして、「こちら、チチハル。」「アサクラ、どうぞ。」
「いま、地雷を配った。」「今から、帰隊する。」
 「では、帰投無線電波を放射する。」「よろしく頼む。」「以上。」
「通信、終わる。」
 しばらくして、無線機の方位盤が方位を示しはじめた。
「よし、あの方向だな。」
 日本陸軍の特科機動車のジーゼル・エンジンが唸りをあげる。
地上高を調整できる、荒れ地走行用の特務車両だ。
 さあ、なんとか満州軍騎馬隊はソ連軍へ対抗できるのだろうか?





 
 

 
 
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