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まさに、戦車の試験に向いてるのだ。
ソ連軍新型T-3型対八九式中戦車、試作1号
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奉天女学校の校庭へ全女子生徒が集まる。
「皆さん、またソ連軍の侵攻です。」と、危機感を煽る校長だ。
「でも、安心してください。」「我が、戦車隊が殲滅してくれますわ。」と、安心の一言だ。
「それで、戦車隊員さんには命を賭けて、がんばってもらわねばなりません。」
「そうなるように、できるだけ声援を出して見送りましょう。」と、校長が激を飛ばす。
全女子生徒が紺色セーラで校門から、戦車隊の正面門の両脇に並ぶ。
そして、黄色い声で声援を送るのだ。
可憐で清楚な、満州娘の声援ほど効果的な応援はこの世に存在しないのである。
戦車隊々員にとり、はるばる満州の地で兵隊をやってることの生きがいが感じられる、少ない瞬間なのだ。
現在、在校生は300名余り、1学年100名ほどで3年間の就学であるそうだ。
派遣軍は、先頭を八九式試作戦車が・・・そのあとを八八式改の3両が続く。
隊員は現在14名ほどなので、4両がギリといったとことか・・・
派遣軍から満州軍騎馬隊へ、敵の数の偵察依頼が・・・
それで、発見騎馬隊のウルムチらが斥候へ・・・
もちろん、ウルムチらには携帯無線機なる新兵器を馬の鞍へ括り付けてあるのだ。
それは、戦車用の超短波無線電話機を小型化したモノである。
通話時間が短いが、使えないことは無いからだ。
携帯無線機で、1番の問題は真空管のヒーター用電池が重たいことだ。
歩兵では、背中に担ぐのだが・・・10キロ近くあるから、行軍には向かない。
それで、騎馬だと馬が・・・疲れてしまい、長距離は使えない。
しかし、どうしても真空管用のヒーター用電池は数時間しかもたないのだ。
それで、短時間で、休み休み使うことになる。
無線機で1番、電池を使うのは送信時だ。
受信時は、それほどでもないのだ。
「見つけたぞ。」と、ウルムチが双眼鏡を観る。
「数は・・・・」「ウ~、ル~、チィ~、パァ~。」と、数えて・・・
「15両も・・・」
我が派遣軍が4両なのは、騎馬隊も当然知ってるのだ。
「おい、ウルムチ。」「なんだ。」
「敵は、3倍もいるぞ。」
「派遣軍は、勝てるかな?」と、不安げだ。
「こちら、チンテム聞こえるか。」
「こちら、テムチン聞こえるアルヨ。」と、前線駐屯地から返信だ。
チンテムは斥候隊の符丁だ。
反対が駐屯地だ。
「モモは15個アルヨ。」
「15了解アルヨ。」
モモとは、敵の符丁だ。
満州騎馬隊の前線駐屯地から奉天市の騎馬隊本部へ無線が飛ぶ。
そして、騎馬隊本部から派遣戦車隊本部へ・・・
戦車隊本部から超短波で無線が藤川軍曹へ・・・
ちなみに、騎馬隊の騎馬用無線機は短波帯だ。
なんせ、超短波は日本軍の最高軍事機密だ、おいそれとは渡せないからだ。
「藤川隊、聞こえるか。」「こちら、藤川。」「どうぞ・」
「こちら、奉天だ。」「敵の数は1(ひと)5(ご)と判明した。」「敵はひとごだ。」
「ひとごう、了解。」「通信終わる。」
東丸伍長から、「隊長、15ですって!」
「あ、あ、そうらしい。」
「それも、T-2型では無いと・・・」「そうだな。」
「・・・・・・」と、不安げな伍長だ。
なんせ、皇軍戦車隊は新型が1両だけだ。
それに、3両の八八式が・・・
「なんだ、伍長。」「ハイ。」
「心配するな。」「オレには作戦があるからな。」
「また、待ち伏せですか?」と、伍長が・・・
「そう、何度も待ち伏せは使えないぞ。」と、藤川君だ。
いくら、露スケがバカなイワンでも・・・だ。
「もちろん、対戦車地雷も使うさ。」
「当方には、この良好な通話ができる無線電話機があるからな。」
以前の無線電話は変調(電波に音声を乗せる方法)は振幅変調(周波数の上下で変調する方法、AMのことだ。)
だったが、周波数変調(上下ではなく、電波の波の幅が狭い広いで変調するFMのことだ。)になり、明瞭な通話ができるようになっていた。
それで、通常の会話での交信ができるのだ。
これは、皇軍(日本軍)に大きなアドバンテージを与えたのである。
各戦車が瞬時の命令を理解できるようになったのだ。
そして、相互音声同時通話という夢のような技術なのだ。
ドイツ帝国は機械の精度に関しては世界イチの技術であるが・・・我が皇国(日本)は、真空管などの電子管やダイオードなどの電子素子、半導体の応用科学回路構築など・・・が、あるのだ。
最近になり、超短波無線の応用で電波に指向性を持たせることが・・・
超短波帯を指向性を持たせて発振して、その反射電波を受信して往復の時間から距離を判断する試験をくりかえしているとか・・・
つまり、砲撃の照準に使えそうだからだ。(電波計測)
そうなれば、光学ガラスの振動で壊れやすいレンジ・ファインダーなぞ無用になる。
ヒトの眼での計測より、数十倍精度がイイのだそうだ。
ウワサでは、ミリ単位の計測が・・・まあ、そこまでは、いらない・・・
その、砲撃用の照準器が八九式試作戦車にテスト用に搭載されているそうなのだ。
欠点は砲塔内が狭くなることだが、ガマンできないほどでもない。
いままでは、砲手の長年の訓練が・・・それが、電波計測照準器で解決されるのである。
藤川軍曹が、なんら不安が無いのは・・・その、照準器があるからかも、しれない。
「皆さん、またソ連軍の侵攻です。」と、危機感を煽る校長だ。
「でも、安心してください。」「我が、戦車隊が殲滅してくれますわ。」と、安心の一言だ。
「それで、戦車隊員さんには命を賭けて、がんばってもらわねばなりません。」
「そうなるように、できるだけ声援を出して見送りましょう。」と、校長が激を飛ばす。
全女子生徒が紺色セーラで校門から、戦車隊の正面門の両脇に並ぶ。
そして、黄色い声で声援を送るのだ。
可憐で清楚な、満州娘の声援ほど効果的な応援はこの世に存在しないのである。
戦車隊々員にとり、はるばる満州の地で兵隊をやってることの生きがいが感じられる、少ない瞬間なのだ。
現在、在校生は300名余り、1学年100名ほどで3年間の就学であるそうだ。
派遣軍は、先頭を八九式試作戦車が・・・そのあとを八八式改の3両が続く。
隊員は現在14名ほどなので、4両がギリといったとことか・・・
派遣軍から満州軍騎馬隊へ、敵の数の偵察依頼が・・・
それで、発見騎馬隊のウルムチらが斥候へ・・・
もちろん、ウルムチらには携帯無線機なる新兵器を馬の鞍へ括り付けてあるのだ。
それは、戦車用の超短波無線電話機を小型化したモノである。
通話時間が短いが、使えないことは無いからだ。
携帯無線機で、1番の問題は真空管のヒーター用電池が重たいことだ。
歩兵では、背中に担ぐのだが・・・10キロ近くあるから、行軍には向かない。
それで、騎馬だと馬が・・・疲れてしまい、長距離は使えない。
しかし、どうしても真空管用のヒーター用電池は数時間しかもたないのだ。
それで、短時間で、休み休み使うことになる。
無線機で1番、電池を使うのは送信時だ。
受信時は、それほどでもないのだ。
「見つけたぞ。」と、ウルムチが双眼鏡を観る。
「数は・・・・」「ウ~、ル~、チィ~、パァ~。」と、数えて・・・
「15両も・・・」
我が派遣軍が4両なのは、騎馬隊も当然知ってるのだ。
「おい、ウルムチ。」「なんだ。」
「敵は、3倍もいるぞ。」
「派遣軍は、勝てるかな?」と、不安げだ。
「こちら、チンテム聞こえるか。」
「こちら、テムチン聞こえるアルヨ。」と、前線駐屯地から返信だ。
チンテムは斥候隊の符丁だ。
反対が駐屯地だ。
「モモは15個アルヨ。」
「15了解アルヨ。」
モモとは、敵の符丁だ。
満州騎馬隊の前線駐屯地から奉天市の騎馬隊本部へ無線が飛ぶ。
そして、騎馬隊本部から派遣戦車隊本部へ・・・
戦車隊本部から超短波で無線が藤川軍曹へ・・・
ちなみに、騎馬隊の騎馬用無線機は短波帯だ。
なんせ、超短波は日本軍の最高軍事機密だ、おいそれとは渡せないからだ。
「藤川隊、聞こえるか。」「こちら、藤川。」「どうぞ・」
「こちら、奉天だ。」「敵の数は1(ひと)5(ご)と判明した。」「敵はひとごだ。」
「ひとごう、了解。」「通信終わる。」
東丸伍長から、「隊長、15ですって!」
「あ、あ、そうらしい。」
「それも、T-2型では無いと・・・」「そうだな。」
「・・・・・・」と、不安げな伍長だ。
なんせ、皇軍戦車隊は新型が1両だけだ。
それに、3両の八八式が・・・
「なんだ、伍長。」「ハイ。」
「心配するな。」「オレには作戦があるからな。」
「また、待ち伏せですか?」と、伍長が・・・
「そう、何度も待ち伏せは使えないぞ。」と、藤川君だ。
いくら、露スケがバカなイワンでも・・・だ。
「もちろん、対戦車地雷も使うさ。」
「当方には、この良好な通話ができる無線電話機があるからな。」
以前の無線電話は変調(電波に音声を乗せる方法)は振幅変調(周波数の上下で変調する方法、AMのことだ。)
だったが、周波数変調(上下ではなく、電波の波の幅が狭い広いで変調するFMのことだ。)になり、明瞭な通話ができるようになっていた。
それで、通常の会話での交信ができるのだ。
これは、皇軍(日本軍)に大きなアドバンテージを与えたのである。
各戦車が瞬時の命令を理解できるようになったのだ。
そして、相互音声同時通話という夢のような技術なのだ。
ドイツ帝国は機械の精度に関しては世界イチの技術であるが・・・我が皇国(日本)は、真空管などの電子管やダイオードなどの電子素子、半導体の応用科学回路構築など・・・が、あるのだ。
最近になり、超短波無線の応用で電波に指向性を持たせることが・・・
超短波帯を指向性を持たせて発振して、その反射電波を受信して往復の時間から距離を判断する試験をくりかえしているとか・・・
つまり、砲撃の照準に使えそうだからだ。(電波計測)
そうなれば、光学ガラスの振動で壊れやすいレンジ・ファインダーなぞ無用になる。
ヒトの眼での計測より、数十倍精度がイイのだそうだ。
ウワサでは、ミリ単位の計測が・・・まあ、そこまでは、いらない・・・
その、砲撃用の照準器が八九式試作戦車にテスト用に搭載されているそうなのだ。
欠点は砲塔内が狭くなることだが、ガマンできないほどでもない。
いままでは、砲手の長年の訓練が・・・それが、電波計測照準器で解決されるのである。
藤川軍曹が、なんら不安が無いのは・・・その、照準器があるからかも、しれない。
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