満州国、戦車開発会社

これが、八九式試作戦車かっ！

とうとう、Ⅱ号に勝てる戦車ができたんだっ！

　伝令が奉天市の戦車開発会社へ・・・
「新田主任あて、矢田主任からです。」と、電報を渡す。
　「ご苦労さん。」と、電報を・・・
「おい、八九式が・・・」と、喜びの表情だ。
　「これで、Ⅱ号に勝てるやもしれんぞ。」
「すぐに、大連港へ・・・」と、社用車へ飛び乗る新田主任だ。
　社用車で駅まで・・・そこから、大連行きの汽車へ・・・
そこから、特急亜細亜号で・・・いや、まだ亜細亜号の機関車パシナ型は開発されていないから・・・
　内地から運んだ蒸気機関車の9600型で・・・４時間ほどかかるのだ。
戦車開発会社からは搬送用に長物運搬用のトレーラーが出発してるのだが・・・新田主任として搬送の打合せもあるから、先に鉄道で急ぐわけである。
　まあ、本音は新型試作戦車を早く観たいだけなんだが・・・
大連港内の日本陸軍の専用桟橋に投錨してる、正規空母あきつ丸の勇姿を客車の窓から発見する。
　新田主任は陸軍の正規空母を初めて観るのだ。
「・・・・なんて、大きいんだ。」
　「海軍の大和が小舟に見えるぞ。」と、感想だ。
正規空母の勇姿は観えたんだが・・・なかなか、駅へ汽車が入線しない・・・まあ、距離があるからだ。
　それほど、陸軍の正規空母は巨大なのだろう。
まあ、海軍の正規空母の赤城より長い飛行甲板だからだが・・・
　陸軍としては、海軍の正規空母より飛行甲板が長くないと・・・まあ、海軍と常に争っている陸軍だからね。
それで、海軍は陸軍のあきつ丸より飛行甲板が長い空母を建造中とか？
　大連駅で桟橋までの人力車へ・・・乗り換える・・・
満州は建国されて、まだ数年だ。　
　市内の交通は人力車がまかなってるのである。
陸軍御用達の名札で検問を通過して、専用桟橋へ・・・
　そこには、有田艦長が待っていてくれたのである。
なんせ、陸軍の最高軍事機密の試作戦車だ。
　満州国内には、シナや朝鮮スパイも多々紛れ込んでるからである。
満州人とシナや朝鮮人とは見分けがつかないからね。
　もちろん、内地からの矢田主任と加藤主査も・・・
「おひさしぶりです。」「あ、あ、元気にしてたか？」
　互いに労う、技師同士だ。
戦車はカバーが掛けられて、周りを陸軍の憲兵隊が囲んでいる。
　憲兵とは軍隊警察のことだ。
思想犯を取り締まる、特高とは別の組織である。
　特高は内地の警察省内の組織だが・・・憲兵は米軍のＭＰのことである。
市内で兵隊が酒場で酔って暴れたら・・・急行して、泥酔した兵をブタ箱へぶち込むのが仕事だ。
　酔っぱらいの兵隊は、ブタ箱で酔いがさめるまで・・・それで、懲りて二度と、やらないそうだ。
それほど、憲兵は恐れられる存在なのだそうだ。
　酒場に迷惑をかけた損害は日本軍が払うこととなっている。（もちろん、後日給金から・・・）
そして、満州国では日本兵は治外法権で満州国の刑吏には逮捕されない。
　その代わりに、刑罰は憲兵隊が執行するのだ。
満州娘を強姦したら、機関砲で銃殺の刑だそうだ。
　まあ、日本兵は内地でも海外でも軍規に忠実で現地住民とトラブルなんて皆無なのだそうだ。
それは、現実の自衛隊の海外派遣でも・・・脱走兵なんて、聞いたことが無いのは事実である。（他国の軍には、よくあることだそうだ。）
　皇軍々人が罪を犯せば・・恐れ多くも・・・今上陛下へご迷惑となるやもしれないからだ。
日本軍は皇軍である。
　つまり、日本軍は今上陛下の軍なのだ。
その日本軍の兵隊が罪を犯せば・・・考えるだけで、恐ろしいことなのだ。
　だから、占領した現地で略奪とか婦女暴行なんてする日本兵は皆無なのである。
それは、先の大戦のシナ戦線でも同様だったのだ。
　７３１部隊の人体実験とかは、パヨクのプロパガンタと言われるが・・・あれは、パヨクや在日朝鮮人のデマである。
日清戦争で日本兵は現地で戦闘で戦死した兵より、感染症で病死した兵が余りに多いから・・・日本軍は、それに懲りて・・・医療衛生部隊を創立したのだ、それが７３１部隊と思われているのだ。
　シナ人を人体実験なぞしていない、病気のシナ人を治療しただけなのである。
もちろん、治療のかいも無く病死したことも少なくないかもしれないが・・・
　現地での保健部隊である。
現地のシナ人へ無料で種痘を施したり、病気のシナ人を多数、無償で治療してるのである。
　人体実験なぞ、日本人の価値観に全く無いからだ。
民間人を日本軍が攻撃しないのも、戦国時代からの日本人の常識なのである。
　だから、南京市民２０万人虐殺なんてシナ共産党のプロパガンタなのである。（シナ人は朝鮮人と同じくらい嘘つきだ。）
話がソレまくりで・・・謝罪を・・・
　「これが、新型試作ですか？」と、カバーのかかった巨大なモノを観る新田主任だ。
「すいぶん、大きいですね。」と、感想だ。（八八式と比して）
　「まあ、ドイツ帝国のⅡ号に勝てるというと、どうしても大きめになるんだ。」と、矢田主任だ。
「おい、君。」「はい。」と、憲兵が答える。
　「カバーを外してくれ。」「了解です。」
数人の憲兵が戦車のカバーを取り去る。
　「お、おっ。」「これは、八九式になるんですね。」と、矢田主任が期待を膨らませる。
「いや、まだ試作段階だから・・・」「それで、ここまで運んできたんだ。」と、矢田主任が答える。
　「なら、いつソ連軍が再度侵攻してくるかもしれないですから。」
「満州はうってつけですよ。」と、新田主任だ。
　「あ、あ、これが仕様書と整備記録書だ。」と、分厚い取り扱いマニュアルを受け取る。
「ずいぶん、分厚いですね。」と、新田主任だ。
　八八式取扱書の倍くらいあるからだ。
戦車整備には資格があるのだ。
　それは、整備する形式の取り扱い仕様書をマスターしてるか、ということなのだ。
それは、航空機の操縦や整備と同じだ。
　戦車の設計した性能を発揮できるかは・・・正確な整備がしてあることが条件なのと同様なのだ。
その日から、矢田主任は分厚い整備仕様書を覚えるべく、八九式試作戦車と悪戦苦闘を・・・するのだった。
　いつ、またソ連軍が戦車で越境してくるかわからんからである。
それは、意外に早くやってくるかも・・・