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グルップ重工のサイモン博士。
マッド・サイエンテストとはオレのことだ!
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ドイツ帝国の皇帝の、おもちゃ箱の異名を持つ、グルップ重工。
そこの、ドイツ帝国グルップ重工エッセン支部戦車開発研究課という、長ったらしい組織内の研究棟にサイモン博士は篭っていた。
ドイツ帝国御用達の戦車であるⅡ号戦車を開発した博士である。
鍛鉄博士(鍛えた鋼鉄)との二つ名がある男である。
ここで、読者諸君へグルップ重工たる大企業の説明をしよう。
当時、大砲を造る技術は英国の独断場であった。
当然、仮想敵国のドイツ帝国には英国は大砲を売ってはくれない。
それで、皇帝がギルド(職人組合)へ、「誰か、大砲を造り献上する者は?」と、下知したのだ。
あまたの職人たちが、その課題へ取り組んだんだが・・・なかなか、できなかったそうだ。
現在のグルップ重工も、はじまりはライン河のほとりの小さな水車小屋の工場なのだ。
ライン河の流れで水車を廻して・・・鉄を鍛えて鍛鉄を造り出す工房を開いたのが、グルップ重工のはじまりだそうだ。
初代は鍛鉄を造れなかった、そして貧しい内に死んでいったのである。
それを引き継いだのが、初代の息子であるアルフレード・グルップである。
アルフレードには技術者魂が沁み込んでいたのである。
それで、アルフレードの元には、我こそはと思う技師連中が集まりだしたのだ。
その中に、Drサイモンが居たのだった。
サイモン博士は職人ではなく、ドイツ帝国大学の卒業生であり、いわゆる学士様である。
普通、学士ともなると・・・汚れ仕事(現場で鋳造する。)などは、やらないで論文や学術的な論争に明け暮れるものなんだが・・・
サイモン博士は、熱い反射炉で流れてくる銑鉄を叩いて鍛錬する、欲に言う変わり者だった。
それで、大砲を鋳造して・・・それを、皇帝へ献上したのが、グルップ重工の繁栄のはじまりだったのである。
大砲は砲金という合金でできている。
大砲には、砲弾が直進するように砲弾を回転させるライフリングと呼ばれる溝が彫ってある。
つまり、砲身内へ砲弾を回転させる溝を彫らないといけない。
そう、硬すぎてもいけない・・・そして、柔らか過ぎてもいけないのだ。
そして、砲撃のショックに耐える粘りのある合金でなければならない。
もちろん、砲身には寿命がある。
何発撃ったら交換しなければならないのだ。
それは、すべての重火器にあてはまる。
もちろん、その寿命は大砲を造る金属で決まるのだ。
だから、鋳造する企業で差がでるのは当然なのだ。
そして、サイモン博士は大砲の合金専門の技師なのだ。
「何だって、我がⅡ号が黄色い猿に・・・」と、軍電報を伝令から受けとるサイモン博士だ。
「まさか、敵に抜かれたのか!」と、陸軍司令部へ架電する博士だ。
「こちら、帝国作戦本部です。」と、交換のお姉さんが・・・
「おい、派遣軍課へつないでくれ。」と、意気込む博士だ。
「わかりました、それで派遣課のどこへ・・・」
「グーテリアン将軍だ。」
「アポは?」と、いちいち聞く交換嬢である。
「いいから・・・サイモンからだと伝えろ。」と、わめく博士である。
やがて、「クーテリアンだ。」と、陸軍機甲課のトップが・・・出たっ!
「Ⅱ号が破れたって、本当かっ!」と、慌てて聞く博士だ。
「君は、誰だ。」と、いぶかる将軍だ。
もちろん、交換からサイモン博士と聞いてるのだが・・・いきなり、だからか・・・
「あ、失礼した。」「グルップのサイモンだ。」
「あ、あ、サイモン博士ですか。」「いきなり、どうしたんですか。」
「いま、伝令からだが・・・Ⅱ号が負けたって・・・」
「いや、それは・・・違う。」
「対戦車地雷で戦車が、ひっくり返って動けなくなったらしい。」
「それで、自爆させて隊員は脱出したそうだ。」
「つまり、装甲が抜けられたんだは、ないんだということですか。」
「そう、聞いている。」と、答える将軍だ。
「ふう、安心しましたよ。」「まさか、黄色い猿の兵器に抜かれたとは思えなかったので・・・」
「サイモン博士、そこは安心してくれ。」
「わかりました。」
「追って、詳細なレポートを軍事逓送で送るから。」
「わかりました、いきなり失礼しました。」
「うむ。」
静かに受話器を降ろす博士だ。
「しかし、1両が敵の手に渡ってしまったのは間違いないぞ。」
「これは、Ⅲ号を急がせねばならないぞ。」
兵器というものは常に開発をしているのである。
敵国も、開発の手を緩めることはないからだ。
それは、開戦してなくても同じである。
そして、兵器は戦ってナンボなのだ。
だから、ドイツ帝国は日本と開戦してないが、シナへ戦車を秘密裡に送り・・・戦える戦車になるようにしてるのである。
Ⅱ号戦車の次は、当然にⅢ号戦車となる。
鹵獲したソ連軍のTー2型への対策研究から設計されたⅢ号戦車である。
ところが、シナと地域紛争の満州国で日本の戦車が出てきたということなのだ。
そして、戦車戦ではなく対戦車地雷でドイツ帝国のⅡ号はヤラれてしまったのだ。
「これは、対地雷をⅢ号へ加えねばならんな。」と、Ⅲ号戦車を再設計する考えの博士である。
そこの、ドイツ帝国グルップ重工エッセン支部戦車開発研究課という、長ったらしい組織内の研究棟にサイモン博士は篭っていた。
ドイツ帝国御用達の戦車であるⅡ号戦車を開発した博士である。
鍛鉄博士(鍛えた鋼鉄)との二つ名がある男である。
ここで、読者諸君へグルップ重工たる大企業の説明をしよう。
当時、大砲を造る技術は英国の独断場であった。
当然、仮想敵国のドイツ帝国には英国は大砲を売ってはくれない。
それで、皇帝がギルド(職人組合)へ、「誰か、大砲を造り献上する者は?」と、下知したのだ。
あまたの職人たちが、その課題へ取り組んだんだが・・・なかなか、できなかったそうだ。
現在のグルップ重工も、はじまりはライン河のほとりの小さな水車小屋の工場なのだ。
ライン河の流れで水車を廻して・・・鉄を鍛えて鍛鉄を造り出す工房を開いたのが、グルップ重工のはじまりだそうだ。
初代は鍛鉄を造れなかった、そして貧しい内に死んでいったのである。
それを引き継いだのが、初代の息子であるアルフレード・グルップである。
アルフレードには技術者魂が沁み込んでいたのである。
それで、アルフレードの元には、我こそはと思う技師連中が集まりだしたのだ。
その中に、Drサイモンが居たのだった。
サイモン博士は職人ではなく、ドイツ帝国大学の卒業生であり、いわゆる学士様である。
普通、学士ともなると・・・汚れ仕事(現場で鋳造する。)などは、やらないで論文や学術的な論争に明け暮れるものなんだが・・・
サイモン博士は、熱い反射炉で流れてくる銑鉄を叩いて鍛錬する、欲に言う変わり者だった。
それで、大砲を鋳造して・・・それを、皇帝へ献上したのが、グルップ重工の繁栄のはじまりだったのである。
大砲は砲金という合金でできている。
大砲には、砲弾が直進するように砲弾を回転させるライフリングと呼ばれる溝が彫ってある。
つまり、砲身内へ砲弾を回転させる溝を彫らないといけない。
そう、硬すぎてもいけない・・・そして、柔らか過ぎてもいけないのだ。
そして、砲撃のショックに耐える粘りのある合金でなければならない。
もちろん、砲身には寿命がある。
何発撃ったら交換しなければならないのだ。
それは、すべての重火器にあてはまる。
もちろん、その寿命は大砲を造る金属で決まるのだ。
だから、鋳造する企業で差がでるのは当然なのだ。
そして、サイモン博士は大砲の合金専門の技師なのだ。
「何だって、我がⅡ号が黄色い猿に・・・」と、軍電報を伝令から受けとるサイモン博士だ。
「まさか、敵に抜かれたのか!」と、陸軍司令部へ架電する博士だ。
「こちら、帝国作戦本部です。」と、交換のお姉さんが・・・
「おい、派遣軍課へつないでくれ。」と、意気込む博士だ。
「わかりました、それで派遣課のどこへ・・・」
「グーテリアン将軍だ。」
「アポは?」と、いちいち聞く交換嬢である。
「いいから・・・サイモンからだと伝えろ。」と、わめく博士である。
やがて、「クーテリアンだ。」と、陸軍機甲課のトップが・・・出たっ!
「Ⅱ号が破れたって、本当かっ!」と、慌てて聞く博士だ。
「君は、誰だ。」と、いぶかる将軍だ。
もちろん、交換からサイモン博士と聞いてるのだが・・・いきなり、だからか・・・
「あ、失礼した。」「グルップのサイモンだ。」
「あ、あ、サイモン博士ですか。」「いきなり、どうしたんですか。」
「いま、伝令からだが・・・Ⅱ号が負けたって・・・」
「いや、それは・・・違う。」
「対戦車地雷で戦車が、ひっくり返って動けなくなったらしい。」
「それで、自爆させて隊員は脱出したそうだ。」
「つまり、装甲が抜けられたんだは、ないんだということですか。」
「そう、聞いている。」と、答える将軍だ。
「ふう、安心しましたよ。」「まさか、黄色い猿の兵器に抜かれたとは思えなかったので・・・」
「サイモン博士、そこは安心してくれ。」
「わかりました。」
「追って、詳細なレポートを軍事逓送で送るから。」
「わかりました、いきなり失礼しました。」
「うむ。」
静かに受話器を降ろす博士だ。
「しかし、1両が敵の手に渡ってしまったのは間違いないぞ。」
「これは、Ⅲ号を急がせねばならないぞ。」
兵器というものは常に開発をしているのである。
敵国も、開発の手を緩めることはないからだ。
それは、開戦してなくても同じである。
そして、兵器は戦ってナンボなのだ。
だから、ドイツ帝国は日本と開戦してないが、シナへ戦車を秘密裡に送り・・・戦える戦車になるようにしてるのである。
Ⅱ号戦車の次は、当然にⅢ号戦車となる。
鹵獲したソ連軍のTー2型への対策研究から設計されたⅢ号戦車である。
ところが、シナと地域紛争の満州国で日本の戦車が出てきたということなのだ。
そして、戦車戦ではなく対戦車地雷でドイツ帝国のⅡ号はヤラれてしまったのだ。
「これは、対地雷をⅢ号へ加えねばならんな。」と、Ⅲ号戦車を再設計する考えの博士である。
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