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これが、ドイツ帝国Ⅱ号改の弱点だ!
どんな敵にも弱点はあるものなのだ。
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西住戦車隊長へ戦車開発工廠の主任技師から返信のレポートが届いた。
「ほう、もう解析が終わったんだ。」と、レポートを観る。
① 敵戦車は非常脱出口が底部に無い。
② エンジンはガソリンで加熱して燃えやすい。
③ エンジンに消火装置があるようだが・・・信頼できない。
④ 速度は巡行が30キロで、それ以上だとエンジンが過熱して燃える危険がある。
⑤ 無線電話機だが、通話距離は10キロ程度と思われる。
⑥ 燃費が悪い、満タンで200キロが限界だ。
⑦ 砲塔はモーター駆動で、1周が45秒ほどかかる。(遅い)
⑧ 砲手と装填手と車長で砲塔は満杯だ。
そのほかにも、些細な事項が・・・
「なんだ、あまり弱点とは言えないものばかりだな。」と、西住少尉がつぶやく。
「我が、八八式の弱点に比べたら・・・少ないほうだぞ。」
「無線電話も八八式改も、10キロ程度だからな。」
「満州平原で障害物が無いからイイだけだ。」
「それに、我が八八式は砲塔を足こぎクランクで廻してるからな。」
電動モーターで試作したんだが、速度が遅くて人力に戻したくらいなのだ。
八八式は車長席が戦車の中央につくってある。
そして、砲塔は砲手が足で廻すのだ。
砲塔は廻るが、車長は廻らないのだ。
戦車が砲塔が廻りながら車台が動くと・・・空間失調症になる危険があるからだ。
車長が、その危険を避けるだけなのである。
車長は、あらゆる方向を観察できるように潜望鏡が4ケ取り付けられたハッチから全周を把握できるのだ。
座席は折りたたんで、中央手すり棒で直立して指揮することもできるのだ。
そして、最悪の場合は全隊員が底部の脱出口から脱出できるのだ。
トーションバー方式の緩衝装置ではできないことだ。
ドイツ帝国戦車には底部に脱出口が無いということだ。
八八式はシーソー式の日本独自のサスペンションである。
これは、初代八七式試作戦車からの伝統なのである。(九七式中戦車まで)
「なお、これは要望だが・・・鹵獲したⅡ号を工廠まで運ばれたい・・・と、書いてあった・・・のだ。
「仕方がない、あきつ丸で搬送するか・・・」
「おい、あきつ丸へ電信だ。」
こうして、鹵獲したⅡ号戦車の車台は内地へ搬送されることに・・・
「たぶん、試験中の戦車砲が抜けるか・・・試すんだろうな。」
「なら、部分的でも・・・」と、伍長が・・・
「いや、どこを攻撃すれば一番に破壊できるか検証する必要があるからな。」
「なるほど。」
そうなのだ、戦車は前面とブタの鼻(砲身カバー)が一番分厚いのだ。
そして、薄いのは底部や上面やラジエターなんかだろう。
満州戦車開発部が鹵獲したⅡ号改を貨車へ載せる・・・が、大きいので履帯を外して載せることになった。
これは、ドイツ戦車の特徴なのだそうだ。
貨車で運ぶときは幅が狭い履帯へ交換するのだそうだ。
戦車用のジャッキで上げて・・・半日かかるそうだ。
優秀な工兵や技師が居た、ドイツ軍ならではである。
確か、我が国の61式戦車は幅を国鉄貨車の限界で決めたそうだ。
戦車は長距離を移動するのはリスクが大きい。
それで、鉄道貨車で運ぶのがベストなのである。
現在の米国もそうだ。
米国は貨車湯輸送がメインの国だ。
旅客車より貨車優先だそうだ。
60トンを越える、米軍の主力戦車のエイブラヌスを何十両と繋いだジーゼル機関車が曳いて・・・マジで終わりが見えないほどだ。
奉天市から鉄道で大連港まで・・・鹵獲したⅡ号が運ばれた。
ついでに、ソ連軍のT-2型も研究の為に内地へ送られる。
あきつ丸へ貨車ごと入線だ。
でないと、大連港のショボイクレーンでは無理だからだそうだ。
それから、数日して大阪港にある陸軍専用埠頭で鉄道線路へ・・・
国鉄蒸気のD51重連型が大阪陸軍工廠まで・・・
「おう、やっと着いたか。」と、工廠の主任技師が出迎える。
「なになに、新田主任から・・・分解して、これが組み立て図か。」
「しかし、八八式改の主砲で抜けないなんて・・・」
矢田主任は、「ほう、鋳造ではないな。」「鍛造だぞ。」
「そこは、露スケとの差か!」
ソ連軍のTー2型は鋳造の装甲だ。
鋳造とは、流し込んで固めた鋼板だ。
ところが、鍛造は繰り返し叩いて鍛えて造った装甲だ。
それで、ドイツ戦車はカクカクしてるのだ。
鋳造のソ連軍戦車は・・・型にはめて造るから、丸っこいのだ。
もちろん、鍛造が優秀な装甲である。
我が皇軍のニャンニャン装甲とは、鍛造した鋼板と陶磁器の板と幾重にも重ねて・・・断面はダマスカス鋼の如く、年輪様なのである。
「まずは、ドイツ帝国の45ミリライフル砲を外して、試射できるように組み直すことからだな。」
矢田主任が部下へ指示を出す。
「いいか、八八式の40ミリ砲では敵戦車は抜けないそうだ。」
「いまのままでは、貴重な戦車隊員が殉職してしまいかねない。」(皇国の兵隊の命は高額なのだ。)
「我が皇国は、露スケやシナほど人口が多くない。」「つまり、兵隊が足りないのだ。」
「絶対にヤラれない戦車を造ることが、我が技術者としての使命である。」
「恐れ多くも・・・」と、矢田主任が始める・・・
あわてて、技師連中が宮城(皇居)方向へ直立不動だ。
「今上陛下にあらせられては・・・・」と、矢田主任の説教が・・・
やれ、やれ、また始まったわい・・・と、技師連中は不動の姿勢は崩さずに・・・内心は・・・
どうして、そうなってしまったのか?
満州国にて、ソ連軍やドイツ軍の侵攻を防いだ決めてとなった戦車は大阪工廠で設計されたものだ。
今上陛下からの、「戦車設計は、どこであるか?」との、問いが・・・
それで、大阪工廠が面目を爆上げしたのである。
陸軍内での発言力が上がったのは、間違いないのである。
海軍への予算が潤沢(軍艦は高額だから)なので、悔しい思いの陸軍だったのだ。
それが、今回の陛下の下知により予算倍増も見えてきたのだ。
矢田主任が舞い上がるのも、わからんでもないのである。
こうして、戦車開発予算は倍増してガチで戦える戦車開発へと・・・皇国は舵を切ったのである。
「ほう、もう解析が終わったんだ。」と、レポートを観る。
① 敵戦車は非常脱出口が底部に無い。
② エンジンはガソリンで加熱して燃えやすい。
③ エンジンに消火装置があるようだが・・・信頼できない。
④ 速度は巡行が30キロで、それ以上だとエンジンが過熱して燃える危険がある。
⑤ 無線電話機だが、通話距離は10キロ程度と思われる。
⑥ 燃費が悪い、満タンで200キロが限界だ。
⑦ 砲塔はモーター駆動で、1周が45秒ほどかかる。(遅い)
⑧ 砲手と装填手と車長で砲塔は満杯だ。
そのほかにも、些細な事項が・・・
「なんだ、あまり弱点とは言えないものばかりだな。」と、西住少尉がつぶやく。
「我が、八八式の弱点に比べたら・・・少ないほうだぞ。」
「無線電話も八八式改も、10キロ程度だからな。」
「満州平原で障害物が無いからイイだけだ。」
「それに、我が八八式は砲塔を足こぎクランクで廻してるからな。」
電動モーターで試作したんだが、速度が遅くて人力に戻したくらいなのだ。
八八式は車長席が戦車の中央につくってある。
そして、砲塔は砲手が足で廻すのだ。
砲塔は廻るが、車長は廻らないのだ。
戦車が砲塔が廻りながら車台が動くと・・・空間失調症になる危険があるからだ。
車長が、その危険を避けるだけなのである。
車長は、あらゆる方向を観察できるように潜望鏡が4ケ取り付けられたハッチから全周を把握できるのだ。
座席は折りたたんで、中央手すり棒で直立して指揮することもできるのだ。
そして、最悪の場合は全隊員が底部の脱出口から脱出できるのだ。
トーションバー方式の緩衝装置ではできないことだ。
ドイツ帝国戦車には底部に脱出口が無いということだ。
八八式はシーソー式の日本独自のサスペンションである。
これは、初代八七式試作戦車からの伝統なのである。(九七式中戦車まで)
「なお、これは要望だが・・・鹵獲したⅡ号を工廠まで運ばれたい・・・と、書いてあった・・・のだ。
「仕方がない、あきつ丸で搬送するか・・・」
「おい、あきつ丸へ電信だ。」
こうして、鹵獲したⅡ号戦車の車台は内地へ搬送されることに・・・
「たぶん、試験中の戦車砲が抜けるか・・・試すんだろうな。」
「なら、部分的でも・・・」と、伍長が・・・
「いや、どこを攻撃すれば一番に破壊できるか検証する必要があるからな。」
「なるほど。」
そうなのだ、戦車は前面とブタの鼻(砲身カバー)が一番分厚いのだ。
そして、薄いのは底部や上面やラジエターなんかだろう。
満州戦車開発部が鹵獲したⅡ号改を貨車へ載せる・・・が、大きいので履帯を外して載せることになった。
これは、ドイツ戦車の特徴なのだそうだ。
貨車で運ぶときは幅が狭い履帯へ交換するのだそうだ。
戦車用のジャッキで上げて・・・半日かかるそうだ。
優秀な工兵や技師が居た、ドイツ軍ならではである。
確か、我が国の61式戦車は幅を国鉄貨車の限界で決めたそうだ。
戦車は長距離を移動するのはリスクが大きい。
それで、鉄道貨車で運ぶのがベストなのである。
現在の米国もそうだ。
米国は貨車湯輸送がメインの国だ。
旅客車より貨車優先だそうだ。
60トンを越える、米軍の主力戦車のエイブラヌスを何十両と繋いだジーゼル機関車が曳いて・・・マジで終わりが見えないほどだ。
奉天市から鉄道で大連港まで・・・鹵獲したⅡ号が運ばれた。
ついでに、ソ連軍のT-2型も研究の為に内地へ送られる。
あきつ丸へ貨車ごと入線だ。
でないと、大連港のショボイクレーンでは無理だからだそうだ。
それから、数日して大阪港にある陸軍専用埠頭で鉄道線路へ・・・
国鉄蒸気のD51重連型が大阪陸軍工廠まで・・・
「おう、やっと着いたか。」と、工廠の主任技師が出迎える。
「なになに、新田主任から・・・分解して、これが組み立て図か。」
「しかし、八八式改の主砲で抜けないなんて・・・」
矢田主任は、「ほう、鋳造ではないな。」「鍛造だぞ。」
「そこは、露スケとの差か!」
ソ連軍のTー2型は鋳造の装甲だ。
鋳造とは、流し込んで固めた鋼板だ。
ところが、鍛造は繰り返し叩いて鍛えて造った装甲だ。
それで、ドイツ戦車はカクカクしてるのだ。
鋳造のソ連軍戦車は・・・型にはめて造るから、丸っこいのだ。
もちろん、鍛造が優秀な装甲である。
我が皇軍のニャンニャン装甲とは、鍛造した鋼板と陶磁器の板と幾重にも重ねて・・・断面はダマスカス鋼の如く、年輪様なのである。
「まずは、ドイツ帝国の45ミリライフル砲を外して、試射できるように組み直すことからだな。」
矢田主任が部下へ指示を出す。
「いいか、八八式の40ミリ砲では敵戦車は抜けないそうだ。」
「いまのままでは、貴重な戦車隊員が殉職してしまいかねない。」(皇国の兵隊の命は高額なのだ。)
「我が皇国は、露スケやシナほど人口が多くない。」「つまり、兵隊が足りないのだ。」
「絶対にヤラれない戦車を造ることが、我が技術者としての使命である。」
「恐れ多くも・・・」と、矢田主任が始める・・・
あわてて、技師連中が宮城(皇居)方向へ直立不動だ。
「今上陛下にあらせられては・・・・」と、矢田主任の説教が・・・
やれ、やれ、また始まったわい・・・と、技師連中は不動の姿勢は崩さずに・・・内心は・・・
どうして、そうなってしまったのか?
満州国にて、ソ連軍やドイツ軍の侵攻を防いだ決めてとなった戦車は大阪工廠で設計されたものだ。
今上陛下からの、「戦車設計は、どこであるか?」との、問いが・・・
それで、大阪工廠が面目を爆上げしたのである。
陸軍内での発言力が上がったのは、間違いないのである。
海軍への予算が潤沢(軍艦は高額だから)なので、悔しい思いの陸軍だったのだ。
それが、今回の陛下の下知により予算倍増も見えてきたのだ。
矢田主任が舞い上がるのも、わからんでもないのである。
こうして、戦車開発予算は倍増してガチで戦える戦車開発へと・・・皇国は舵を切ったのである。
応援ありがとうございます!
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