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ドイツ帝国の戦車のレポート
西住隊長殿へ、藤川より
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「ふう、なんとか凌いだな。」と、敵が撤退したことで一息つく藤川軍曹だ。
シナ軍やソ連軍と違って・・・初めて、ドイツ帝国軍と戦った派遣戦車隊員らであった。
先の大戦(第1次)では、シナのチンタオ要塞(ドイツ軍要塞)を攻略したのは、日本海軍だった。
それで、日本陸軍としての対ドイツ帝国との戦いは初回なのである。
それで、いままでの露スケやシナ・朝鮮兵とは・・・まったく違う、マジな戦闘だったのだ。
それで思わず、ため息を吐いてしまった藤川軍曹だったのだ。
戦車内の狭い空間で互いに顔を観る・・・
沈黙が・・・続く・・・
少しして、「こちら、2号車です。」と、無線が入る。
「オレだ。」と、答える藤川君。
「ヤツら2両のドイツ戦車は承徳の町から撤退しました。」「いま、確認しました。」
「うむ、ごくろう。」「2号、通信終わり。」
・・・・思わず、笑みがこぼれる隊員らの顔だ。
マジで命拾いしたって顔だ。
「さすが、無双陸軍のドイツ帝国だったな。」と、軍曹がいう。
「軍曹殿。」「ん、なんだ?」
「敵戦車を、どうしますか?」
「そうだった、自爆したんだな。」
「トラップが仕掛けてあるやもしれん。」「オレが観てみよう。」
アンテナ柱を竿代わりに外して、軍曹が自爆した戦車へ・・・・
アンテナ柱(アンテナを上げる支柱)で、戦車をツンツンする・・・
自爆装置が働いて、爆弾が車内で爆発したんだが・・・戦車の外観は、壊れていない。
砲塔の後ろの砲弾庫が吹き飛んでいるようだ。(ソ連のヤツなら砲塔ごと飛んでる。)
エンジンなどの後部は壊れていないようだ。
履帯や車輪も折れたりしていない。
恐る恐る・・・ハッチから内部を覗く、軍曹だ。
そして、アンテナ柱で車内をツツイタ・・・
「うむ、なんともないようだな。」
「車内の装備品が爆発で壊れているだけだな。」
「これは、牽引して帰隊できそうだな。」と、軍曹がつぶやく。
どうやら、自爆装置の爆弾が不足か足りなかったようだ。
それとも、内部の機器だけ破壊できればという算段だったかも・・・
無線で2・3号車を呼んで・・・
3両の八八式改をワイヤーで繋いで・・・ドイツ帝国軍のⅡ号改を牽引することとしたのだ。
そのころには、満州軍の騎馬隊が承徳の町の防衛に戻ってきていたのだ。
騎馬隊長のハルハル少尉が、「敵戦車を追い払っていただき、感謝に耐えません。」と、感謝の言葉だ。
「いえ、対戦車となると我が隊しか対処できないから、当然のことですよ。」と、謙遜する軍曹だ。
「しかし、シナが戦車まで・・・」と、絶望の顔のハルハル少尉だ。
「いや、これは秘密ですが・・・シナでは無く、ドイツですよ。」と、明かす。
「・・・・・・」と、顔が引きつるハルハル少尉だ。
「我が皇軍も増援を要請するつもりです。」「ご安心を・・・」と、加える軍曹だ。
「要求ばかりで、すまないが・・・お願いするアルヨ。」と、懇願するハルハル隊長だった。
シナの北京にあるドイツ帝国租借地へボルト少尉の戦車隊が帰隊した。
「1両、足りないぞ。」と、驚くサイモン技師だ。
「あ、あ、敵の地雷にヤラれたんだ。」と、ボルトが答える。
「なんだって、対戦車用か?」
「そう、思う。」「感知地雷だった。」と、ボルトが答える。
「・・・まさか・・・」「感知地雷は、まだオレ達でも試作段階なんだぞ。」
「黄色い猿は実戦配備してるようだ。」
「・・・」と、茫然のサイモン技師だ。
「ところで、戦車は破壊してきたろうな。」
「あ、あ、自爆を確認した。」「だが、あまり壊れなかったぞ。」と、ボルト君だ。
「それは、万が一にも誤爆したときの為だ。」と、サイモン技師だ。
「内部の機器は破壊されるから、軍事機密は漏れないと思うが。」と、答えた。
サイモン技師がいう軍事機密とは、無線電話機や照準器などなんだが・・・
日本人技師いわく、そんなもの我が国が数十年進んでら・・・なのだ。
超短波無線通信機・砲身のスタビライザー装置・真空管式直噴ジーゼルエンジンなどの電子装置は日本陸軍工廠の独断場なのだ。
そして、現在は超短波で敵との距離を測る電子距離測定装置を試作中なのだから・・・
そうなれば、光学式照準器は不要だからである。
機械の精度はドイツ帝国が上だが・・・電子装置に関しては、負けてたまるかの皇軍なのである。
数日後、奉天市の派遣戦車隊から通信文が伝送されてきた。
これは、通信文を暗号に変換して電波に変調して送り、その電波を平文に変換して受信できる装置を陸軍工廠で開発して配備したからである。(あきつ丸で搬送するよりはやい。)
「西住隊長殿。」と、伝令が印刷されたレポートを渡す。
「おお、もう着いたのか。」「え、え、電信送信ですから。」「うむ。」
「おお、ドイツ帝国の戦車のレポートか!」と、眼を通す隊長だ。
「なになに・・・・
① 敵の45ミリライフル砲では、我が八八式の積層装甲は抜けない。
② 当方の40ミリ砲では、敵戦車の装甲は抜けない。
③ 敵はガソリンV型12気筒12000ccで、速度は40キロが限度と思われる。
④ 照準器や無線機は破壊されて不明でした。
⑤ 敵のアンテナから周波数は短波帯と思われる。
⑥ 敵の装甲は鋼鉄鍛造で、5センチから最大で8センチでした。
⑦ 戦車の緩衝装置はトーションバー式と判明しました。
⑧ 砲身の安定装置は機械式で順応性に欠ける。
・・・・ふむ、なかなか詳細に解析できてるじゃないか。」と、感心する西住少佐だ。
「これを、大阪の陸軍戦車工廠へ渡してくれ。」と、伝令へ・・・
こうして、対ドイツ軍兵器の開発が加速するのである。
シナ軍やソ連軍と違って・・・初めて、ドイツ帝国軍と戦った派遣戦車隊員らであった。
先の大戦(第1次)では、シナのチンタオ要塞(ドイツ軍要塞)を攻略したのは、日本海軍だった。
それで、日本陸軍としての対ドイツ帝国との戦いは初回なのである。
それで、いままでの露スケやシナ・朝鮮兵とは・・・まったく違う、マジな戦闘だったのだ。
それで思わず、ため息を吐いてしまった藤川軍曹だったのだ。
戦車内の狭い空間で互いに顔を観る・・・
沈黙が・・・続く・・・
少しして、「こちら、2号車です。」と、無線が入る。
「オレだ。」と、答える藤川君。
「ヤツら2両のドイツ戦車は承徳の町から撤退しました。」「いま、確認しました。」
「うむ、ごくろう。」「2号、通信終わり。」
・・・・思わず、笑みがこぼれる隊員らの顔だ。
マジで命拾いしたって顔だ。
「さすが、無双陸軍のドイツ帝国だったな。」と、軍曹がいう。
「軍曹殿。」「ん、なんだ?」
「敵戦車を、どうしますか?」
「そうだった、自爆したんだな。」
「トラップが仕掛けてあるやもしれん。」「オレが観てみよう。」
アンテナ柱を竿代わりに外して、軍曹が自爆した戦車へ・・・・
アンテナ柱(アンテナを上げる支柱)で、戦車をツンツンする・・・
自爆装置が働いて、爆弾が車内で爆発したんだが・・・戦車の外観は、壊れていない。
砲塔の後ろの砲弾庫が吹き飛んでいるようだ。(ソ連のヤツなら砲塔ごと飛んでる。)
エンジンなどの後部は壊れていないようだ。
履帯や車輪も折れたりしていない。
恐る恐る・・・ハッチから内部を覗く、軍曹だ。
そして、アンテナ柱で車内をツツイタ・・・
「うむ、なんともないようだな。」
「車内の装備品が爆発で壊れているだけだな。」
「これは、牽引して帰隊できそうだな。」と、軍曹がつぶやく。
どうやら、自爆装置の爆弾が不足か足りなかったようだ。
それとも、内部の機器だけ破壊できればという算段だったかも・・・
無線で2・3号車を呼んで・・・
3両の八八式改をワイヤーで繋いで・・・ドイツ帝国軍のⅡ号改を牽引することとしたのだ。
そのころには、満州軍の騎馬隊が承徳の町の防衛に戻ってきていたのだ。
騎馬隊長のハルハル少尉が、「敵戦車を追い払っていただき、感謝に耐えません。」と、感謝の言葉だ。
「いえ、対戦車となると我が隊しか対処できないから、当然のことですよ。」と、謙遜する軍曹だ。
「しかし、シナが戦車まで・・・」と、絶望の顔のハルハル少尉だ。
「いや、これは秘密ですが・・・シナでは無く、ドイツですよ。」と、明かす。
「・・・・・・」と、顔が引きつるハルハル少尉だ。
「我が皇軍も増援を要請するつもりです。」「ご安心を・・・」と、加える軍曹だ。
「要求ばかりで、すまないが・・・お願いするアルヨ。」と、懇願するハルハル隊長だった。
シナの北京にあるドイツ帝国租借地へボルト少尉の戦車隊が帰隊した。
「1両、足りないぞ。」と、驚くサイモン技師だ。
「あ、あ、敵の地雷にヤラれたんだ。」と、ボルトが答える。
「なんだって、対戦車用か?」
「そう、思う。」「感知地雷だった。」と、ボルトが答える。
「・・・まさか・・・」「感知地雷は、まだオレ達でも試作段階なんだぞ。」
「黄色い猿は実戦配備してるようだ。」
「・・・」と、茫然のサイモン技師だ。
「ところで、戦車は破壊してきたろうな。」
「あ、あ、自爆を確認した。」「だが、あまり壊れなかったぞ。」と、ボルト君だ。
「それは、万が一にも誤爆したときの為だ。」と、サイモン技師だ。
「内部の機器は破壊されるから、軍事機密は漏れないと思うが。」と、答えた。
サイモン技師がいう軍事機密とは、無線電話機や照準器などなんだが・・・
日本人技師いわく、そんなもの我が国が数十年進んでら・・・なのだ。
超短波無線通信機・砲身のスタビライザー装置・真空管式直噴ジーゼルエンジンなどの電子装置は日本陸軍工廠の独断場なのだ。
そして、現在は超短波で敵との距離を測る電子距離測定装置を試作中なのだから・・・
そうなれば、光学式照準器は不要だからである。
機械の精度はドイツ帝国が上だが・・・電子装置に関しては、負けてたまるかの皇軍なのである。
数日後、奉天市の派遣戦車隊から通信文が伝送されてきた。
これは、通信文を暗号に変換して電波に変調して送り、その電波を平文に変換して受信できる装置を陸軍工廠で開発して配備したからである。(あきつ丸で搬送するよりはやい。)
「西住隊長殿。」と、伝令が印刷されたレポートを渡す。
「おお、もう着いたのか。」「え、え、電信送信ですから。」「うむ。」
「おお、ドイツ帝国の戦車のレポートか!」と、眼を通す隊長だ。
「なになに・・・・
① 敵の45ミリライフル砲では、我が八八式の積層装甲は抜けない。
② 当方の40ミリ砲では、敵戦車の装甲は抜けない。
③ 敵はガソリンV型12気筒12000ccで、速度は40キロが限度と思われる。
④ 照準器や無線機は破壊されて不明でした。
⑤ 敵のアンテナから周波数は短波帯と思われる。
⑥ 敵の装甲は鋼鉄鍛造で、5センチから最大で8センチでした。
⑦ 戦車の緩衝装置はトーションバー式と判明しました。
⑧ 砲身の安定装置は機械式で順応性に欠ける。
・・・・ふむ、なかなか詳細に解析できてるじゃないか。」と、感心する西住少佐だ。
「これを、大阪の陸軍戦車工廠へ渡してくれ。」と、伝令へ・・・
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