満州国、戦車開発会社

ゆみすけ

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町内へ誘い込み作戦だ。

糞でこさえた焼きレンガの家だ。

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 満州国の女真族の家は、遊牧民は羊毛織り布のテントか糞を焼き固めたレンガの小屋だ。
草原で材木が少ないから・・・建築資材は木材ではないのだ。(ハゲ山しかない。)
 羊の糞を天日で乾燥させて焼きを入れたレンガである。
羊の糞は草原の草が原料である。
 それで、人糞より臭みは少ないのだ。
乾燥させれば、それなりのレンガになるんだ。
 つまり、原材料がロハなのである。
だから、糞のレンガの小屋なぞ・・・放っておいて住民は避難である。
 壊されれば、また糞でこさえるだけなのだ。
それで、ソ連軍が攻めてくると聞いて・・・あっという間に、住民は逃げ出したのである。
 もちろん、財産や家畜は同伴である。(遊牧民は身軽なのだ。)
糞の小屋が残ってるだけなのである。
 ちなみに、町の真ん中には井戸が掘ってある。
日本の技師が深くボーリングして地下水を汲み上げたのである。
 満州国は雪解け水の河川があるから・・・地下水は、それなりに深く掘れば出るのだ。
ただ、深く掘る技術が、今までなかっただけなのである。
 満州国内で用水路や井戸が日本の援助で掘られて・・・インフラが整備されつつある満州国なのだ。
「軍曹殿、住民から小屋は自由に使っていいと。」と、満州騎馬隊長からで伝言である。
 「ほう、それは助かるな。」
「八七式を小屋に隠せるな。」と、日本軍得意の待ち伏せ攻撃を立案する。
 攻めてくる軍より、人員が少ないときは待ち伏せ攻撃しか無いのである。
もちろん、敵も予想してるだろうから・・・バレないように隠れないと・・・効果は無い。
 待ち伏せは、絶対にバレないことが勝利条件なのである。

 町全体を調べ上げた、我が皇軍戦車隊は9ヶ所の隠れ場所を選別したのだ。
そこは、背後の壁を壊して自由に戦車が出入りできるように即席で改造した小屋である。
 そして、ソ連軍の動きに合わせて隠れ場所を移動するのである。
我が戦車隊は3両だ。
 それで、隠れ場所を移動させて・・・あたかも、数が多いかのように思わせる作戦なのである。
「いいか、露スケの動きに合わせて、無線で指示をだすからな、敵戦車の履帯を狙うんだ。」
 「どうやら、露スケの戦車は装甲が分厚いらしい。」と、軍曹がいう。
「えっ、ウワサは本当だったんですか。」と、新兵が・・・
 「うむ、我が軍は15ミリだが、露スケは30ミリもあるらしい。」(技官からの助言だ。)
「倍じゃないですか。」と、茫然とする新兵だ。
 「我が軍の戦車砲は40ミリ野砲だ。」
「敵の履帯のピンなら、なんとか破壊できるそうだ。」
 「・・・・・」
「それで、初弾で履帯を破壊しないと敵を足止めできないからな。」
 「履帯を切断すれば、修理に数時間はかかるだろう。」
確か、総火演(富士総合火力大演習)で、74式戦車の履帯が切れたことが・・・
 工作車両を手配して・・・何時間もかかってたような・・・(ヨウツベに動画が・・)
普段、あまり無いことなので、めずらしい見せ場だったような・・・
 戦場で履帯が切れたら、脱出して逃げないと・・・動かない標的は・・・棺桶なのだ。
「しかし、軍曹殿。」「ん、なんだ。」
 「履帯は車台の下部なので、なかなか当たらないんじゃあ。」
「うむ、それで考えたんだが・・・」
 と、砲撃のやり方を指示する軍曹である。
「砲弾は訓練用の鉛砲弾を使うんだ。」
 「鉛砲弾は飛散して鉛が飛び散るヤツだ。」
「その飛び散った鉛が履帯のピンに詰まるんだ。」
 「さすれば、無理な力が履帯のピンに加わり、折れるらしい。」と、技官から聞いた話である。
「そんな、うまいこといきますかね?」と、伍長がいぶかるが・・・
 「鉛砲弾を積んでおくように。」
鉛砲弾は鉛色だから、見ればわかるからね。
 欠点は、特注で重さが7キロもあることだ。
それに、遠距離砲撃だと通常弾より3キロも重いから弾道が下がることだ。
 まあ、近接攻撃だから問題ないが・・・

 「軍曹殿、着たアルヨ。」と、斥候の騎馬隊が知らせてきた。
「よし、散開して隠れるぞ。」と、各戦車へ指示する軍曹である。
 「なお、砲撃の合図は各戦車へ任せる。」
「無線電信は受信状態でだぞ。」「了解しました。」
 つまり、無線を切らないようにである。
各戦車は各自に隠匿できる小屋へ納まる。
 そして、エンジンを切った。
なぜって、ソ連軍にエンジン音で感ずかれないようにである。
 エンジンはクランクを廻して起動するんだが・・・車長と砲手兼装填手が2名で廻せば、なんとか起動できるからだ。
 そのためのエンジン始動訓練も、手に豆ができるまでやったのである。

 「ガ、ガ、ガ。」と、エンジン音が満州平原にコダマする。
ソ連軍のT-2型戦車が10両、チチハルの町の入り口へ迫ってきた。
 停止の合図をして、イワン司令が叫ぶ。
「いいか、チャンコロ野郎を殲滅するぞ。」「前進だ。」
 合図とともに、ソ連軍戦車は1列に並んでチチハルの町へ・・・・
なぜ、1列かって・・・それは、街道が馬車道で狭いからだ。
 満州族の馬車は、ほとんどが1頭立である。(複数だとケンカする。)
それで、御者は1名で馬車は幅も狭い小型なのだ。(当時の満州国の写真でわかる。)
 それで、馬車道も欧州ほどは広くないのだ。
戦車の行軍で1列は最悪なのである。
 本来なら、並んで行軍するヤツはバカである。
ところが、ソ連軍は満州国がロクな抵抗も無いから・・・油断したのである。
 ここに、日本陸軍の9名、八七式戦車3両VSソ連軍戦車兵30名、T-2型戦車10両の血で血を洗う激闘の幕が・・・・切って降ろされたのである・・・


 

 





 
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