冒険者の学校。

ゆみすけ

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アンナの治癒魔法の初仕事。

あたいしか、いないんだ。

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 アンナも治癒魔法子女として、ある村へ派遣された。 街ではない、村である。 
どうして、村なのか。 治癒魔法子女の派遣は王都の王立治療院が取り仕切っていた。
 これは、アンナが辺境の村へ派遣される前のことである。

  「いかん、いかん、村などへ、大切な治癒魔法使を派遣して駐在するなど、無理な相談だ。」と、役人が嘆願者へ返答していた。
 嘆願の案件は、村の近くに魔物の巣ができて、冒険者や農民がケガや喰われる被害が増えたことによる。
「このままでは、村が全滅じゃ。」と、村長が嘆く。 「なんとか、できんだか。」と、相談役が・・・
 村の行政は村長と相談役が数人で取り仕切っている。 まあ、村長は村の尊敬される長老が指名される。
相談役は、村の有力者の上位数人だ。 むろん、選挙なんて、無い。 たいてい、親分肌の老人が村長だ。 まあ、世話好きな老人が多いんだが。
 「ここは、貴殿にぜひ、王都の役所へ嘆願に・・・」 こうして、相談役が、はるばると王都まで足を延ばしたのである。 

 しかし、治癒魔法子女は、王都でも10人もいないのだ。 
それほど、貴重な治癒魔法子女を辺境の寒村なんかに・・・・廻せる、わけはないのだ。
 自身の無力に力なく、相談役は遠路を帰るのだった。

 そして、半年後である。 朗報が・・・ 王都に朗報である。 治癒魔法女子なる、50名におよぶ少女が世にでたのだ。 ルイザが50名の子女を連れて、王都の王立治療院へ出向いてきたのだ。 10台に及ぶ馬車列を連ねてである。  ルイザは飛竜討伐で、王都で知らぬ者はいない。 治癒魔法女子としても有名であるのだ。     「なんと、50名もの治癒魔法子女じゃと・・・」と、治療院の院長(ババァの治療魔法子女)は驚きで・・・固まった。
 ルイザが、「しかし、全員が魔法を授かる替わりに妊娠しています。」と、注意事項だ。
「治癒魔法も子を産むことが条件ですわ。」と、ルイザだ。 「ううむ、魔法もいろいろと・・・」と、複雑な顔の院長だ。
「わかった、それなりの介護ができる施設(助産婦)があるところへ、派遣するから。」と、院長が加える。
 それを聞いて、ルイザは、「くれぐれも、よろしくお願いいたします。」と、50名の卒業生を頼んで帰っていった。
 さて、引く手あまたの治癒魔法女子を、どう配分するのか・・・
もちろん、利権やコネや賄賂が、からんでくるのである。 この異世界は、それが当然の異世界なのである。
王都へ税金を多額に収めている街から優先的に、治癒魔法女子は派遣されたのである。 
 しかし、である。 「全員が、賄賂やコネや税金つながりだと、万が一の言い訳が・・・」「そうじゃ、ひとりくらい、嘆願があった村へ派遣すれば、言い訳にはなるだろうて・・・」と、ひどい話である。 
 そして、運が悪いのかアンナが、その人身御供となっていたのだ。 なんせ、アンナは貴族とも役人とも関係がなかったからである。

 「おい、聞いただか。」「あ、あ。」「こんど、この村へ治癒魔法子女様が派遣になるらしいだぞ。」「しかし、あれほど渋っていたのに信じられんだがや。」「まあ、そんなことより治療院の建設は、まだ終わらないだか。」「いま、突貫工事でやらせてはいるだがや・・・」「早くせんと、魔法使い様が到着してしまうぞい。」 
 村の受け入れ側も大変なようである。 (治療院といっても、治癒魔法子女の住むための小屋である。)
迎えの馬車は、すでに王都を出ているころだ。  あと、数日しか時間がない・・・




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