冒険者の学校。

ゆみすけ

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教本が、できあがる。

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 この世界には新聞がない。 ウソ報道の朝日新聞がないから、その点は良いが。 
代わりに役所の前に掲示板があるのだ。 
その掲示板に墨で、政府というか、新たな規則などがあると書かれるのだ。 
そして、討伐などは印刷みたいな、つまり版画である。 
1枚の板に彫ってあるのだ。 活字で、1個1個独立したモノを組み立ててはいない。 
どうしてか、それは字が、流れるような字で、個別にできないからである。 
筆で、線を引く字なのだ。 もちろん、漢字や仮名の区別はない。 
英語ではないが、筆記体の英語に似ている。  アラビア文字でもない。 
ライラに古代文字なる字を見せてもらったが、なんと日本語の仮名だった。 
遺跡からの宝箱の文字らしい。 
「オレの故郷の文字だといったら、ライラは驚いた顔だったが・・・ 
そして、「ユミスケさんは、古代人なのですか?」と聞いたのだ。 
「オレは古代人ではない、いま生きてるからな。」と、答えた。 
「なんとか、教本を印刷できないかと考えてるんだ。」と加える。 
「ライラの冊子は役にたったからな。」「それは、ありがとうございます。」
「あれは、いままでの討伐人の反省やら、失敗やらのメモをまとめたモノですわ。」 
「とても、参考になったよ。」 と、正直に感想を述べる。 
「オレより、ライラの方が、教師として向いてるんじゃないか?」 
「そうでしょうか。」 「そうだよ、君は最高のセンセイだよ。」と、お世辞ではない気持ちだ。
 「しかし、ユミスケさんは、さすがですわね、もう字を教える必要がありませんわ。」 と、ライラだ。 
7日で、おおむね活字はおぼえてしまったのだ。 
漢字がないので、ひらがなを書くようなものだ。 
「では、教本をどうしたらいいか、相談したいので、また来てくださいませんか。」と、ライラがいう。 
「なんなら、夕食を一緒にどうですか。」と、誘うのだ。 
「教本は原案をまとめたいし、ライラの参考図も、なかなかのものだ。」 
「ありがとうございます。」 「それで、打ち合わせは必要だな。」 
「では、今日にでもお待ちしてますわ。」と、笑顔で返すライラであった。 
そこに、急報だ。 「ライラ様、隣の街からです。」と、役所の伝令がメモを持参する。 
なんでも、早馬らしい。 
「これは、大変だわ。」 「どうしたのだ?」 
「ユミスケさん、討伐依頼ですが。」 「何を、討伐なんだ?」 
「それが、これは一人では無理ですわ。」 「それで、なんなんだ?」 
「古代のゴーレムですわ。」 「ゴーレム?」 
「え、え、動く石像ですわ。」
 メモを見ながら、ライラが、「古代の遺跡を掘ってたら、トビラが出土して、そこを開けたららしいですわ。」 「これは、街を捨てて逃げ延びるしか・・・」 
「まあ、待てライラ、まだ街へくるまで時間があるだろう。」 
「隣街に出たのなら、馬で2日ですから、ゴーレムだと3日というところかしら。」 
「なら、なんとかなると思う。」 
「ユミスケさんなら、どうにかできるんですか?」 
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