ノラ猫カメラ店

中古カメラの話。

フィルムカメラ。

　「また、お邪魔します。」　とお邪魔虫の良太だ。　場所はノラ猫屋だ。　お客が居たことが無い、暇な店だ。　しかし、開店はしている。　ドアが開くからだ。　「よお、お久。」　と店主も慣れたものだ。　ふと、思ったのかノラ猫屋が、「君は、カメラが好きなのかい。」　と聞いた。　「そうだね、金属の機械的なところが好きだよ。」　と答えた。　「ほう、いまどき珍しいねえ。」　まあ、そうだ、古いカメラが好きで、この店に遊びにきてるんだから。　「しかし、フィルムカメラも廃れたね。」　とノラ猫屋だ。　「確か、今から２０年以上前かな、デジカメが安くなってきた。」　「いくらくらいに。」　「そうだね、5万円くらい。」　「5万、タカー。」　「それでも、出始めは１００万円くらいだった。」　「今の貨幣価値なら３００万くらいか。」　「つまり、ブンヤとかプロ、会社の道具だ。」　「それでも、フィルム現像しなくていいからな。」　「そのころ、知ってるカメラ屋が、フィルムが将来無くなるぞと言っていたのさ。」　「そうなりつつ、あるね。」　「フランスで、写真が発明されて、１００年以上だが、そろそろ終わるかな。」　「そのようだね。」と良太だ。　「しかし、わしは、デジカメの耐久性が疑問だ。」　「耐久性。」　「そうさ、デジカメは長年使えない、壊れたらオブジェにもならん。」　そういって、棚のジャンクのメカカメを見た。　

　　壊れて、胴体のみや、曇ったレンズのカメラが並んでる。　使えないが、置物にはなっているのだ。　これが、デジカメでは、無理だろう。