15 / 22
ピジョンとコンテッサ
伯爵夫人と鳩
しおりを挟む
「この前の、水中カメラみたいなヤツはおもしろかったよ。」 良太が爺さんのご機嫌取りのお愛想を言う。 なかなか、出来ることではないが、年寄りの話でお愛想が言える若者は少ない。 「そういえば、カメラの名前で、鳩の英語読みのピジョンと言うのがあった。」 「はと?」 「平和の象徴の飛ぶ鳥の鳩さ。」 「まだ、戦争のキズあとがあったころさ。」 「ヘー。」 「だから、平和ぽい名前にしたんだろう。」 「カメラは信濃光機という会社が作って、レンズは別の会社のをつけたのだ。」 「どんな、レンズ?」 「富岡光学の3枚玉で、トリ・ルーサだったかな。」 「レンズは3枚の古い形式だが、写りは最高さ。」 「あの、ドイツのツアィスがイチモク置くほどの会社さ。」 「ニコンやキャノンじゃないんだ。」 「まあ、ニコンやキャノンは面白みがないからね。」 「どんな?」 「個性がない。」 まあ、老人のたわごとだ。 「人物の名前のカメラもあるぞ。」 「それは、どんな?」 「ドイツのツアィスのカメラで、伯爵夫人という。」 「伯爵夫人?」 「英語ではコンテッサという。」 「日野自動車がトヨタに身売りするまで、乗用車を造っていたが。」 「うん。」 「その乗用車の名前がコンテッサだった。」 「いまでも、通用する、優雅なデザインだった。」 「ヘーっ。」 実は良太はミニカーのコンテッサを持ってるから知ってたが、それは言わない。 なぜなら、感心したほうがジジイの放言を聞けるからだ。 話の腰を折らない良太だ。 「そのドイツのカメラのコンテッサは以外に小さくて、高級感がハンパなくて、まさに伯爵夫人が持って絵になるカメラだった。」 「確か、宣伝パンフも優雅なご夫人が手にしていた。」 「もちろん、キンパツだ。」 「日本人はキンパツに眼がない。」 「髪はカラスの濡れ羽色がわからんのか。」 爺さんは、なぜか主義主張があるようだ。 まあ、どうでもいいが。 「個人的にはコンテッサは前玉回転で、ピントを合わせるから近距離に弱い。」 「どうして?」 「レンズは基本、無限遠で最高のピントになるように設計されているからだ、例外としてマクロ(近くを撮るレンズだ。)があるが。」 「それで、近距離になると、レンズのピントを補正する、高性能なレンズもある。」 「まあ、ほとんどの人は、せいぜい90センチくらいまでしか寄らないから必要ないが。」 良太も仲間や家族の写真は、せいぜい1メートルくらいまでだ。 あまり、クローズアップは、いやがる人が多いからだが。 では、どんなカメラなのか。 左のカメラがピジョンで、右のカメラの前が開いてレンズが顔をだしてるのがコンテッサだ。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
荷車尼僧の回顧録
石田空
大衆娯楽
戦国時代。
密偵と疑われて牢屋に閉じ込められた尼僧を気の毒に思った百合姫。
座敷牢に食事を持っていったら、尼僧に体を入れ替えられた挙句、尼僧になってしまった百合姫は処刑されてしまう。
しかし。
尼僧になった百合姫は何故か生きていた。
生きていることがばれたらまた処刑されてしまうかもしれないと逃げるしかなかった百合姫は、尼寺に辿り着き、僧に泣きつく。
「あなたはおそらく、八百比丘尼に体を奪われてしまったのでしょう。不死の体を持っていては、いずれ心も人からかけ離れていきます。人に戻るには人魚を探しなさい」
僧の連れてきてくれた人形職人に義体をつくってもらい、日頃は人形の姿で人らしく生き、有事の際には八百比丘尼の体で人助けをする。
旅の道連れを伴い、彼女は戦国時代を生きていく。
和風ファンタジー。
カクヨム、エブリスタにて先行掲載中です。
ドSでキュートな後輩においしくいただかれちゃいました!?
春音優月
恋愛
いつも失敗ばかりの美優は、少し前まで同じ部署だった四つ年下のドSな後輩のことが苦手だった。いつも辛辣なことばかり言われるし、なんだか完璧過ぎて隙がないし、後輩なのに美優よりも早く出世しそうだったから。
しかし、そんなドSな後輩が美優の仕事を手伝うために自宅にくることになり、さらにはずっと好きだったと告白されて———。
美優は彼のことを恋愛対象として見たことは一度もなかったはずなのに、意外とキュートな一面のある後輩になんだか絆されてしまって……?
2021.08.13
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる