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双眼鏡と望遠鏡
倍率が高ければいいものでもない。
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ノラ猫屋には、変態な趣味がある。 もちろん、違法行為では無い。 セクハラでも無い。 それに、オトコのひとり身だ。 レンズが好きなのだ。 それも、大きなヤツだ。 それで、特に望遠鏡の対物レンズが好きなのだ。 理由は無い。 個人の感情だ。 そして、双眼鏡も好きだった。 別世界を見ているようで好きなのだ。 それで、いままでに幾多の無駄な買い物をしたのだ。 使えないヤツを買うことも多々あった。 なぜなら、知識がなかったからだ。 誰も教えてくれなかった。 まあ、普通 誰も、どんな双眼鏡がいいのか教えてはくれない。 売る側は儲かればいいからだ。 現在のように、当時はクチコミなんてなかった。 インターネットは偉大である。 個人も情報を発信できるからだ。 いままでは、マスゴミとかウソつき新聞が情報を握っていたのだ。 まあ、ヨタ話はここまでだ。 今日は土曜だ。 そろそろ、あっ来た。 良太がやってきた。 「こんにちわ。」 「イラハイ。」 フィルムが3割ほど高くなり、なかなか写真を写せない良太だが。 それでも、カメラに興味がありノラ猫屋に足を運ぶのだ。 まあ、暇だからだが。 「そういえば、おじちゃん、レンズといえば。」 「ふむ。」 「6年のとき、親類のおじさんが天体望遠鏡セットを買ってくれたんだ。」 「ほう。」 「それで、お月様を見たんだ。」 「それで。」 「まあ、それで終わりだった。」 「なんで。」 「タンスの上に置いて、ホコリをかぶってるよ。」 「そのセットて、でかい箱かい。」 「うん。」 と良太は両手を広げてみせた。 「そうかい、それは三脚というか、足がマズかったんだな。」 「え、なぜ。」 「のぞいたら、ブレて使えなかったんだろ。」 「そう、いくら手で持ってもブレてダメだった。」 「そりゃ、手で持っても手が動くからだめだよ。」 「たぶん、ケンコーの子供用のセットで、1万円以上したはずだ。」 「倍率は?」 「100倍で、よく見えそうだと思ったんだ。」 「ふむ、先っぽのレンズの大きさは。」 「こんなものだよ。」 「たぶん、6センチか7センチの口径だな。」 「それは、せいぜい30倍から20倍、わしなら7倍をつかうけど。」 「でも、そんな倍率では。」 「まあ、倍率が高いと、良い望遠鏡とは思うなかれだ。」 「君は135ミリの望遠レンズを使うときはどうだい。」 「あっ。」 良太は気がついた。 写真がブレるから、しっかり構えるか、何かにカメラを置いてシャッターを切っていた。 「たぶん、そのセットの三脚ではダメだ。」 「まず、三脚が大切だ。」 「特に、星を観る望遠鏡は三脚が大事なんだ。」 「わしなら、10万円の予算なら、まず三脚に8万円ほど使う。」 「えーっ。」 「そして、望遠鏡本体に1、5万円、のぞく接眼レンズに5000円を使う。」 「望遠鏡のレンズは2枚のアクロマートのレンズで、6センチから7センチの大きさでいい。」 「接眼レンズは30ミリから20ミリのクラスを使う。」 「倍率は20倍前後と思う。」 「視界という、見える範囲は接眼レンズで決まることがおおい。」 「倍率は望遠鏡の長さで決まるからね。」 「なんか、むつかしいね。」 「20倍あれば木星の3衛星がよく見えるよ。」 「土星の輪も、わからないことはない。」 「大まかになら、望遠鏡の前のレンズの半分の倍率までが限界と思えばいいかな。」 「なら、6センチの口径なら30倍ということ。」 「そうさ、しかし30倍はギリだから、すこし落として20倍が、それなりに感動して観えると思うよ。」 「確か、彗星を発見したアマチュア天文学者が使ったのがニコンの20倍の双眼鏡と思ったが。」 重くて、まさにバケモノだ。 「これは、戦争中に海軍が艦橋で使った12センチと同じと聞いている。」 とノラ猫屋は木箱を開けた。
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