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クレーマー
カメラ会社専門クレーマー
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良太は暇だから、またノラ猫屋へ足を運ぶ。 ただ、写真を撮影するだけの道具にドラマがあるからだ。 「こんにちは。」 「おう、おひさ。」 ジジイと若者の会話とも思えないが、ジジイも暇だからか相手をして喜んでいる。 「そういえば、オリンパスのOM10を使ってるんだよね。」 「うん。」 「その会社には特徴があって。」 「どんな。」 「カメラの露出計の電池に昔は水銀電池をつかっていた。」 「ヘー、しらなかった。」 「それで、公害とか環境によくないので、普通の環境にやさしい電池(アルカリかマンガン)に替えることとなった。」 「じゃ、そのカメラは。」 「よくわかるね、そうさ電池がなくなると使い勝手がわるくなるんだ。」 「では、どうしたんさ。」 「ある、会社は言い訳に別の会社の作ったアダプターを使えばいいといった。」 「えらく、責任転嫁だね。」 「ところが、オリンパスは、カメラを送ってくれれば改造します、とやった。」 「えらく親切だね。」 「もちろん、改造の期間はあるんだが、OMー1というカメラを送ったら改造してくれたんだ。」 「新しい電池が使えるように改造してくれる会社は少なかった、ワシの記憶ではオリンパスだけだ。」」 「どうして。」 「古いカメラしか、水銀電池はつかっていなかったからさ。」 「「水銀電池をなくそうと、かなり期間をおいて水銀電池をなくしたからね。」 「だから、古いカメラまでは、年月がすぎているからと企業も、改造しない言い訳ができたのさ。」 「でも、オリンパスは違った。」 「どうして。」 「クレーマー対策らしい。」 「カメラ会社へ専門にクレームをするオヤジがいたらしい。」 「そのオヤジは新聞社を味方につけて、クレームに対処しないと記事にして会社の攻撃するんだ。」 「また、やっかいなクレーマーだね。」 「しかし、考え方によっては違うんだ。」 「そのクレーマーはカメラの宣伝文なんかに難癖をつけるんだが、スジが通っていたから、ある意味はやっかいだったんだ。」 「実際に週刊誌なぞに書かれて痛い目をみた会社もあった。」 「それで、クレーマーに、こう改良しましたと対処したのさ。」 「それで、クレーマーは納得したのさ。」 「ある意味、会社にとり、いいクレーマーだったかもしれない。」 「新しい方式のレンズが出ると、以前のレンズは新しいカメラに使えなかった、しかしオリンパスは使えるようにするんだ。」 「そのクレーマーのおかげだね。」 「それが、いいことか何ともいえないが。」 「いまはデジカメだが、わしが若い頃のレンズもオリンパスは使えるように会社が考えるんさ。」 「それで、こうなった。」 ジジイはオリンパスのデシカメに古いレンズをはめて見せた。 「今、はやりらしい。」 「ヘー。」 「昔のレンズは人間味があるから味がでるんだ。」 「今のレンズは優等生だから、おもしろくないんだ。」 「そのクレーマーは?」 「もう、すでに死んでいるよ。」 「え、そうなの。」 「永遠の命なんて無い。」 「だが、クレーマーの葬式にはたくさんのカメラ会社から重役が多数参加したらしい。」 なんか複雑な気持ちの良太だった。 そのクレーマーは中小企業のオヤジだったらしい。 今、世界中のカメラのほぼ全部を席巻している日本のカメラを観たら、オヤジはどう思うだろうか。 (一部、例外でドイツのライカがあるが、べらぼうに高いし中身は日本のOEMだ。)画像はOMのレンズにフォーサーズアダプタとマイクロフォーサーズアダプタで、デジカメに取り付けたもの。
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