ノラ猫カメラ店

ゆみすけ

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写真器

昔の写真器とカメラ

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 ノラ猫屋と失礼にも呼んでいる、ノラ猫カメラ店へ足を運んだ良太君。 「こんにちは。」 とドアを開ける。 「やあ、お久しぶり。」とジイサンが答えた。 日本の軍事技術で作ったカメラに興味が湧いた良太はカメラに興味が出てきたのだ。 普通にテレビゲームを好きな、普通の青年だ。イヤ、がきであった。  「カメラは昔は写真器と呼んでいたんだ。」 「写真機?」 「イヤ、写真器だ。」 「うつわの器?」 「そうだよ。」 「それは、誰でも写真が撮れなかった頃の話だ。」 「もちろん、庶民が写真など記念の集合写真しかないころだ。」 「写真は、木の枠に蛇腹という革の光をさえぎる胴にレンズをはめた物だった。」 「シャッターなぞ、ギロチンみたいに金属板をバネで動かすだけだ。」 「それで、写真が撮れるの?」 「あ、あ、レンズと暗箱で、写真器はできているからね。」 「カンタンなんだ。」 「そうさ、電池や機械なぞ無かった時代さ。」 とノラ猫屋のじいさんは、木に革を張った箱を出してきた。 「これは、大正の頃の写真器だ。」 「名前は忘れた、わしは昭和生まれだからね。」 「フィルムは1枚の乾板という物だった。」 「もっと昔はガラス板で、さらに昔は・・・」 「まあ、一枚一枚大事に撮影してた。」 「使い方は、それなりに失敗を重ねて経験しなければ使えなかった。」 「そして、庶民には高額で買えなかった。」 「東京の銀座の土地くらいしたらしい。」 「数千万円ぐらい。」と良太は言ったが、「イヤ、もっとさ。」 「だから、写真師が仕事になったのさ。」 「カメラマンと違うの。」 「カメラマンはバシャ、バシャ撮るが、写真師は1枚撮影するのに何時間もかけたのだ。」 「それくらい、昔は写真は貴重で、普段撮れるものではなかったのさ。」 「この小さいカメラみたいな物はなに。」 「それは、戦後にでたスタート35という安いカメラだ。」 「わしが、最初に使ったヤツだ。」 「ヘー、古そうだね。」 「もう、フィルムは手に入らない、たしかベスト版という裏に紙を巻いて使ったんだ。」 「レンズは1枚で、シャッターは速度が1つあるだけだ。」 「それでも、それなりに写ったよ。」 
    ノラ猫屋のじいさんは、そういって小さなカメラを手のひらに乗せて見せてくれた。  じいさんの年が、だいたいわかった。  そして、安いカメラといっても当時の価値は現在のゲーム機のPS4より高い物であったのだ。 まだ、戦後で日本が貧しいころであった。 なんせ、学校のクラスで、スタート35を持ってるのは、じいさんだけだったらしいからだ。 
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