ノラ猫カメラ店

ゆみすけ

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珍客到来

開店したカメラ店

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 とある、街なかの角の小さな古屋に開店したカメラ店。 商売をするでもなく、買い物客がいるのを観たことが無い。 どうやって、食ってるのかわからない店だ。 そんな、カメラ屋に、久しぶりの客だ。 近所の高校生の良太君が、祖父の遺品から古いカメラをもらった。 それが、どう使うのかわからない、それで近所のカメラ屋にやってきたのだ。 カンバンは木の板に ・ノラ猫カメラ店・ とある。 「ごめんください。」 声を掛ける。 だれも、いない。 もう一度、声を掛ける。 「どなたか、いませんか。」 今度は返事があった。 「なにか。」 ジジイが出てきた。 「じつは、カメラを貰ったのですが。」 といいつつカメラを出した。 「ほう、デジカメじゃないのか。」 「まあ、まあ、の1眼レフだな。」 「どう、見てやろうか。」 良太は言われるままにカメラを出した。 「オリンパスOM10のクロか。」 「マニュアルアダプターも付いてるな。」 「ちゃんと電池は外してあるな。」 「レンズはコバが禿げてるからゴミだな。」 「そうだな、3000円なら。」 あれ、このオヤジはカメラを売りに来たと勘違いしてるようだ。 「イヤ、これは、オジイの形見で、売りにきたんじゃ。」 「そうか、それは、早とちりだった、すまん、すまん。」 「で、なに用ですか。」 「ハイ、え、え、とこれはデジカメではないんでしょ。」 「そうだね、昔といっては失礼だが、フィルムで撮るカメラだよ。」 「フィルム?」 「これが、そうだよ。」 ジジイは小さな筒を出した。 「これは、見本だから撮影できないからね。」 といいながら筒から薄い膜のベロみたいなものを引き出した。 淵に小さい四角い穴が開いている。 けっこう長い垂れ幕みたいだ。 色はクロで、灰色の内面だ。 「君は写真が撮りたいのかね。」 「このカメラを1度使ってみたくて。」 「そうか、そうか。」 とジジイは感心したかのようにうなずいた。 「つまり、使い方を聞きにきたと。」 「そうです、近所に住んでるんで。」 「では、教えよう。」 ジジイはカメラをいじり、「バッテリーはないはな。」 といいつつ、机の引き出しからボタン電池を2個だしてきて、カメラの底板のプレートを10円で、取り、電池を入れた。 「電池は古いからヤルよ、まだ使えるからね。」 そうして、ひと通り使い方を教えてくれた。 良太君はフィルムを1本ジイサンから買った。 300円くらいだ。 スマフォや携帯で写真を撮影したことはあるが、フィルムカメラでは初めてである。 さあ、どんな事となるか。 
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