満州国馬賊討伐飛行隊

ゆみすけ

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警報、鳴る!

緊急招集だ。

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 討伐隊のサイレンが鳴る。 ブザーではない、サイレンだ。 消防車のウ~だ。 めったに鳴らないサイレンだ。 「どうしたんですか。」 討伐隊員が宿舎から、居るモノが飛んできた。 外出している者は、さすがに即応対は無理だ。 続々、と参集する。 その数、15人だ。 まあ、女にモテない面々だ。 だから、昼間っから宿舎で、ゴロゴロしてるんだが。 しかし、この参集に集まって事の意味は大きかった。 (それは、のちに判明するが・・・)  隊長は会議で、不在だ。 それで、副隊長である、長峰副長が、「風船の通報が届いた。」 「だれか、渡した者がいたんだが。」 「今回は、それが役にたった。」 「ニャン、ニャン、祭りだ。」 「えっ、でも祭りは鉄虎隊が・・・」 「イヤ、送迎馬車の御者が、スリ替わったらしい。」 「ヤツらも、考えましたね。」 「そうだ、今回の相手は、並みではないぞ。」 「とりあえず、通報のあった方向に偵察機を飛ばす。」 「2機編隊で、増槽を忘れるな。」 「無線に注意してろ、追って、連絡するから。」 「では、ここに居る全員が出動だ。」 「おうっ!」 離陸シークエンスは省略する。 そして、副隊長を除く、14人が飛び立ったのだ。 無線係や庶務は軍人ではない。 あくまで、事務員の軍属である。 管制塔職員もである。 そして、数時間して、残りの隊員が参集した。 隊長が、あわてて戻ってきたのは、3時間後だ。 副隊長から引き継ぎを受け、「うむ、おおむね指図はOKだ。」 と返事をもらい、ほっとした副隊長だ。 「ところで、本来の御者は?」 「あ、あ、鉄虎隊からの連絡では、林の中で殺されていたらしい。」  「なんと、口封じか。」 「そうだ、今度の相手は、朝鮮馬賊でも毛色が違うようだ。」 「しかし、ヤツらも風船連絡までは、防げなかったようだ。 「で、誰が、渡していたんだ。」 「倉田飛曹らしい、養女にしたから、だと。」 「何人の、養い親になるんだか?」 「まあ、いいが。」 「ヤツも女子高生には甘いからな。」 「しかし、これで、風船が実用になるとわかったんだ。」 「そうだな、女子全員に渡すか。」 「まあ、今回の件が解決してからだが・・・」 「ところで、馬車の屋根の印は全員に知らせたろうな。」 (空から、見えるように馬車には番号が書いてあるのだ、つい最近、書かれるようになったのだ。) 「もちろんさ、番号は64番とね。」 (日本警察のパトの屋根にも、現在は書いてあるらしい。) 「ヤツらは、番号には感ずいてないだろうな。」 「なんとも言えんが。」 「まあ、発見されればわかることだ。」 97式から逃げるなら、誘拐された子女の馬車だからだ。 「それに、しても、そろそろ見つかっても・・・」 「ふむ、まだだが、やけに遅いな。」 「そうだな、7編隊も偵察に出したからな。」 どうしたんだ、偵察隊の14機は、眼が節穴か? 2機編隊としたのは、1機が連絡で、あとの1機が追跡のためだ。  今回の朝鮮馬賊は手ごわいらしいが、どうなんだ?  
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