満州国馬賊討伐飛行隊

ゆみすけ

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こんなモノで、どうすんだ。

今さら言っても・・・

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 そこで、戦車の車長を含めた全員4名、(車長、操縦手、砲手、装填手。)が持ち物を出した。 まず、酒のビンだ。 まあ、寒いから気付だ。 まあ、わからんでもない。 そして、え、それで終わりかよ。 酒のビンが4本だ。 それも、飲みかけのだ。 酒といってもドブロクだ。 「おい、非常食糧を開けろ。」 車長がいう。 装填手が、なんやら奥の箱を開ける。 「なんも無いですが。」 「え、やられた。」 誰かが、酒のつまみで食ったんだ。 よくある話だ。 日本海軍でも、航空機の非常食糧なんぞ、替わりに石が入れてあったりしたらしい。 コンビーフの缶詰なんかが入っているのだが・・・ まあ、目の前の食い物は、食うやつが多いのだ。 今さら言っても始まらない。 誰が食った詮議は帰ってからだ。 「燃料は。」 メーターを見る。 操縦手が、「あと、動かなければ12時間だな。」 「そうだ、お茶のタンクは。」 そうだ、飲み水のタンクだ。 「まだ、半分はあるぞ。」 希望が見えてきた。 人間、飲み水があれば7日はもつ。 なんとか無線が通じればオンの字だ。 時計を見る。 「そろそろ、天候はどうかな。」 車長が砲塔から顔を出す。 曇った空だ。 まだ、夜まで時間はある。 戦車内は、ライトが薄暗い。 なぜなら、光が漏れると狙われるからだ。 それで、車内は白い色で塗装してある。  無線係り、専門はいない。 操縦席の隣に機械があるから、操縦手が操作することが多い。 しかし、車長も操作するのだ。 無線機は、真空菅で温かい。 つまり、真空菅はヒーターが(ニクロム線だ。)ついていて温かいのだ。 常に受信状態だ。 まだ、「ガー、スー、ピー。」だった。 定時連絡がしてないから隊は、そろそろ捜索隊を・・・ と期待する車長だ。 「まあ、無駄に動いて燃料を使うより、捜索隊を待とう。」 「それに、夜に天測で位置を知りたいからな。」 現在地が不明なら動かないことだ。 「さて、外は。」 「だめだ、空に星が見えん。」 まあ、吹雪が収まっただけでもいいが。 「軍曹、腹が。」 「オレもだ。」 残った酒は、みなで飲んでしまった。 なんも、無い。 「どうする、ウサギでも狩るか。」 「やったことあるか。」 「無い。」 「この季節だ、木の実も無い。」 「動くと腹が減る、まあ捜索隊を待とう。」 「わかりやした。」 車長の軍曹は、捜索隊に賭けることに判断したようだ。 「ここが、わかりやすかねえ。」 装填手がポツリという。 そうだ、信号を出さないと、位置がわからないだろう。 どうする、なんで位置を知らせる。 悪くするとソ連との国境付近だ。 ソ連のヤツラには見つかりたくは無い。 互いに戦争はしてはいないが、国境紛争は解決していないのだ。 見つかれば、最悪は殺されかねん。 だから、大きな音や声は出せない。 まあ、砲弾はあるから、つかまることは無いが。 「そうだ、ビーコンが・・・」 車長は無線機のフタを開ける。 以前、無線機の教養訓練で、ビーコンの話を聞いたことを思い出したのだ。 ビーコンとは・・・
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