満州国馬賊討伐飛行隊

ゆみすけ

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人数は関係ない。

ひとりでも出撃だ。

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 討伐隊の庶務が渋い顔だ。 「予算が不足です、あまり航空燃料を・・・」 「しかし、呼ばれれば飛んでいかねばならん。」 「無い袖は、振れません。」 もう、水掛論だ。 討伐隊の航空燃料は満州政府と日本本土からの資金で購入している。 オクタン価が高いガソリンで、米国製だ。 日本のガソリンでは、97式が馬力不足であるからだ。 「まあ、予算は、なんとかしよう。」 と隊長が庶務を黙らせた。 「写真が出来ました。」 と数枚のプリントが討伐隊に届いた。 「よし、解析するぞ。」 ホンダと倉田飛曹などが、ルーペで写真を調べ始めた。 写真は白黒だ。 まだ、カラーの写真は手間がかかり使っていない。 「しかし、禿げ山ばかりだな。」 「まあ、それで解析ができるんだが。」 「そうだな、樹木で隠されてはダメだからな。」 「ん、これは。」 と建物の所を示す。 「なんだ?」 「うむ、これは再度の偵察が必要だ。」 騎馬のヤツが小屋に入ろうとしている。 後ろに、袋を乗せた馬を引いている。 「これは、娘を詰めた袋に違いない。」 「おい、早急に助けるぞ。」 本郷隊長に意見具申だ。 「ぜひ、行かせてください。」 「休暇は?」 「シナへ運ばれては。」 「うむ、許可しょう。」 97式の飛行準備ができるまでに、写真から場所を特定した。 降りれそうな空き地もある。 いける! なぜか、いけると浮かぶ。 こんなときは、行動あるのみだ。 勢いが運を呼ぶのだ。 モーゼルをホックにぶち込んだ。 馬賊を殲滅して、娘を助ける、それが討伐隊である。 2機の97式は、朝鮮馬賊の砦と思われる禿げ山を目指した。 今回の出動は、例外だ。 ひとりと思われる娘の救出に動いたのだ。 いままでは、送迎中とか遠足とか、複数の娘の救出ばかりだった。 それが、今回はひとりだ。 ひとりでも、予算が無くても行動せねばならない。 無い袖を振る討伐隊だ。 しかし、いままでの誘拐とは形を変えてきた朝鮮馬賊だ。 討伐隊の行動が、ヤツらに効いているのだ。 ん、山が禿げてきた、朝鮮に入ったな。 地図を確認する。 討伐隊から遠方であるから、無線誘導装置は使えない。 それで、古典的な地図航法である。 夜間では、とても無理だ。 天測など、やってられるかだ。 夜間に星で、現在地を計測はできるが、計算なぞしてる内に移動したしまうからだ。 それに、曇りの日は無理だ。 ここは、長年の訓練しか無いのだ。 「あの山だ。」 頂上に枯れた木が数本ある。 それが、目印だ。 「では、降りるぞ。」 近くの空き地に2機とも降りた。 ホンダが、「偵察してくる、機の番を頼む。」 そうなんだ、2人では機の番と救出と、ひとりでやらねばならない。 しかし、行けるとの感覚は消えてはいない。 行けるときは、行くしか無い。 ホンダはモーゼル銃をかまえて進んだ。 
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