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一瞬の判断。
考える時間がない。
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3機の旧型97式戦闘機は、限界が近くなってきた。 それは、ブザー音が大きくなったからだ。 倉田飛曹は、即 判断した。 そして、「2番機、廻り込んで、馬車の足止めだ。」 「了解した。」 「3番機は、オレが失敗したときの、控えだ。」 「3番機、了解。」 そして、2番機は高度を上げて、急降下に移る。 そして倉田飛曹は右旋回して、7ミリ機銃の軸線を馬車の御者に向ける。 機銃は単発にする。 複数の射撃で、馬車内の娘らを撃つおそれがあるからだ。 「1発で、決めるぞ。」 倉田は照準器を夜間に切り替えた。 薄っすらと赤い十字が浮かぶ。 馬車の速度と97戦の速度と計算する。 そして、馬車から前を定めた。 日本軍の戦闘機、97式のあだ名は空の狙撃兵だ。 名人なら、空の上から、飛びながら、地上のスイカを1発で、割ることが出来る。 スイカとヒトの頭は、ほぼ同じ大きさだ。 日本軍の97式戦闘機の拡大照準器に全面的信頼を置いているのだ。 距離は、700、600,500,400,300、「いまだっ。」 「ドゥン。」 と7ミリ機銃が1発吼える。 97式戦闘機が馬車の上を越える、同時に馬車の御者のアタマが破裂した。 胴体だけの御者は座ったままだ。 馬車は真っ直ぐ駆けている。 「やったぞ。」 さすが、97式戦闘機だ、空の狙撃兵は伊達ではない。 そうしている内に、2番機が馬車の周りにいた馬賊を銃撃して追い払った。 草原の凹凸で、馬車がゆれて首なし御者は転落する。 「こちら、1番機だ、降りるぞ。」 馬車の前方を予想して降りる。 上空を3番機が警戒する。 2番機は馬車を引く馬を牽制する。 ようは、低空飛行で、馬の走る速度を落とすのだ。 怖がらせない程度にやる。 そして、1番機はタキシングして、馬車に廻り込んだ。 馬車を引いていた馬はイナナキと共に止まった。 馬車の扉から、ドンドン叩く音がする。 まあ、外からカギだ、出られないからだ。 倉田飛曹は、「オレは日本軍だ、扉を破るから扉から離れなさい。」 と警告し、扉のカギを拳銃で破壊した。 カギを取り払う。 扉が開いた。 「わああああああ。」 と泣いて娘らが12人飛び出した。 セーラー少女12人に囲まれて倉田飛曹は満更でもない役得だ。 2番機、3番機も降りてきた。 「4人にわかれて、それぞれ機に乗りなさい。」 と少女らに指示する。 「あたいは、1番機。」とリンリーだ。 リンリーは瞬時に察した。 このヒトは、あの留学の満州娘に関わるヒトに違いない。 ここで、気に入られれば、あたいも・・・ なんとも計算高いオナゴだが。 それくらいでないと女優はできない。 そうだ、後を追跡して撃たれた鉄虎隊員は・・・ 安心して欲しい、追尾は1騎ではない。 後続の騎馬に助けられて大丈夫そうだ。 「ここは、半島だ、急いで帰るぞ。」 倉田飛曹がいう。 そうだ、うかうか出来ない。 ここは、朝鮮族の領地だからだ。 追跡の鉄虎隊も急いで満州側に、97式戦闘機3機は満州国、奉天飛行場をめざして離陸する。 もう、朝日が昇り本日も快晴のようだ。
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