満州国馬賊討伐飛行隊

甘み所

奉天の新名所

　満州国には、日本の甘み、あの金時とか　あんみつ　がない。　もちろん、お菓子はあるのだが。　どうしても中華の要素が入り、おやつではないのだ。　おやつは、贅沢な文化なのだ。　国に余裕ができて、ヒトが自由な時間を持てるようにならないと店が成り立たない。　満州国は、大豆とか穀物の大量生産が軌道にのり、かなり豊かな国となりつつあった。　それで、奉天の日本資本のデパートが屋上にレストランだ。　それが、評判が上々なのだ。　それで、ならばと甘みの店を開いたのだ。　茶店風だが、お茶に、お菓子つまり金時とかあんみつを安価に提供したのだ。　これに、女学生が飛びついた。　昔からオナゴは甘みに弱いのだ。　それも、集団で、おしかけるのである。　だから、店も学校の前にある。　その店に、皆で、今度の休日にとの話となった。　面子は鈴麗（リンリー）と、取り巻きだ。　６人の生娘だ。　これでは、コオリ村の生娘全員ではないか。　リンリーは取り巻きに差別はしなかった。　もちろん、序列はあるが。　それで、リンリー派閥に入りたい生娘を差別なく入れたのだ。　だから、コオリ村の生娘の集団ができたのである。　まあ、他に幼児とか卒業したお姉さんは省いたのだ。　つまり、女学校の通学者全員である。　普段は馬車の護衛つきだから、馬賊も手を出さなかった。　そして、ひとりで、村を出るのは誘拐の危険があり、それは無かったのだ。　そして、放課後では、甘みを楽しむ時間も限られる。　それで、休日の奉天甘みツアーとなったのだ。　女学校には校則がある。　日本の真似だが、取り入れていた。　その第五条、学生は外出時は制服着用、例外はない。　セーラーは可憐で、清楚な満州娘を引き立てるだけだから、イヤだ、なんて無かった。　それで、６人のセーラ集団が、ランランで甘み所へ出撃となった。　そして、リンリーのセーラーは白線２本、他の子は１本、どうしてか。　それは、リンリーが生徒会役員だからだ。　生徒会長が３本の白線だ。　べつに、美人だからではないのだ。　そして、村を６人はキャキャと黄色い声を上げて出かける。　村のはずれの工事現場だ。　数人の人夫がモッコや麻袋から砂を出して、ぬかるみをなおしている。　もちろん、柵はしてある。　立てカンバンには、いつもの定番の、工事でご迷惑ですがご理解を、との文字だ。　「あれ、休日でも作業あるんだ。」　とリンリーちゃん。　いままでは、休日は、作業休みなのに。　まあ、いいか、と甘みの魅力に警戒心が薄れていた。　そこに、朝鮮馬賊が付け入ったのだ。　「それ、いまだ。」　と作業員は麻袋をセーラー生娘にかぶせる。　「キャア。」ともがくが、袋をかぶせられて、もがくだけだ。　そして、トロッコに６人全員が放りこまれて、道路工事の現場から、朝鮮馬賊が獲物を盗ったから退散だ。　思いがけなく作戦が成功して、ニンマリするが、油断はできない、「娘らに、猿ぐつわだ。」　とキャア、キャアの黄色い声を黙らせた。　そして・・・・