満州国馬賊討伐飛行隊

ゆみすけ

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間に合うのか。

あの、馬車を止めろ!

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 そのころ、ヘイジョウの両班の座敷牢では。 シナ様からの、手配の馬車が到着していた。 8人の朝鮮娘と6人の満州娘らは馬車へ詰め込まれる。 それぞれに見張りがつく。 馬車は2台だ。 前の馬車に朝鮮娘が。 後ろの馬車に満州娘が追い立てられて乗せられた。 馬賊が前と後ろから献女らが逃げ出さないか見張る。 シナ様からの役人も同行するらしい。 「早くしろ。」 シナからの役人が焦る。 いつ、満州軍が奪還にくるかわからないからだ。 「おい、馬賊ども準備はいいか。」 「ヘイ、お役人様。」 「では、逃げられないように見張ってろよ。」 「出発だ。」 献女の一行は2台の馬車と7騎の役人や馬賊で固めて出発だ。 シナのペキンまで、3日の旅だ。 馬車は外から厳重に戸締りがしてあり、とてもにげだせはしない。 どうする、娘らは途方にくれる。 前の馬車はアイゴー、アイゴーと朝鮮娘が泣いて。 後ろの馬車はえーん、えーん、と満州娘の泣く声が聞えた。 日本軍の97式はどうしたんだ。 神も仏も無いものか。 夏果は、今度こそダメだ、と涙も枯れていた。 あの、私を助けてくれた戦闘機は・・・・ ん、ん、あの音は。 夏果は馬車の窓に顔を近づける。 「キーーーーーン。」 あれは、12気筒エンジンのターボ音だ。 馬賊どもが、どこからか、聞えるターボ音に、「なんだ、なんの音だ。」 と馬のクツワを廻して空を見上げるが、わからない。 上空には、見上げてもなんにも居ないのだ。 「なんの音だ。」 「さあ、なんでげすか。」 と、ダダダ、ダダダ、ダダ、と機銃音だ。  馬賊が2騎、もんどりうって倒れる。 そして、また、ダダダ、ダダダ、と今度は反対側の馬賊が2騎、瞬殺だ。 シナの役人はあわてて、馬を駆け出す。 残りの馬賊も逃げ出した。 馬車の御者はムチ入れて、馬車が走り出した。 すると、低空で、日本軍の97式が馬車の上をすれ違う。 来た、見た、撃った。 「3番、4番、機は逃げたヤツをヤレ、オレと2番機で、馬車を止める。」 「了解。」 無線機の調子は、なかなかだ。 「2番機馬車の行く先に回り込め、オレは御者をヤル。」 「了解した。」 機銃を単発に切り替える。 あやまって馬車を撃ちぬくと大変だ。 2重反転ペラだ、安定は抜群だ。 慎重に狙いを定めた。 まず、後ろの馬車からだ。 御者の馬賊は立ち上がって馬にムチだ。 アタマがよく見える。 狙いを定めて、「ダ。」 同時に御者は地面に転がる。 2番機が馬車に回り込んで、馬を牽制すると、馬はイナナキ馬車は止まった。 やはり、戦闘機にはかなわないようだ。 そして、前の馬車の御者も狙いたがわず地面に落ちた。 3番機と4番機が戻ってきた。 「こちら、3番機、すまない、1騎のがした。」 どうやら、最初に逃げ出したシナの役人をにがしてしまったようだ。 さすがに、逃げるのはすばやいシナだ。 深追いは禁物だ。 「こちら、倉田、かまわない、付近を偵察よろし。」 「3番と4番、了解した。」 そして、倉田と2番機が馬車付近に着陸する。 倉田は馬車に近づく。 厳重にカンヌキで扉が固定してある。 南部拳銃で、カンヌキを破壊する。 扉を開けた。 「うわーん。」 少女らが泣いてだきついた。 「まあ、落ち着け、もう心配するな。」 といっても泣き止まない。 2番機の操縦者が、「もう、1台の馬車は朝鮮娘だ。」 「それなら、ここは朝鮮だから、開放すればいいか。」 となる。 朝鮮娘らは、とりあえず村へ帰るそうだ。 倉田飛曹も、それ以上の義理はないと判断した。 そして、1機に3人、で2機へ6人乗せて、朝鮮の平原を飛び立った。 4機の97式は意気揚々と帰途についた。 
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