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列車強盗団
まるで、西部劇だ。
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満州鉄道は、日本が利権を米国へ譲渡して、米国の鉄道王ハリスが経営していた。 最大の強みはシベリア鉄道との連絡だ。 そして、遠く欧州までつながっているのだ。 そして、それを使って満州の農家は穀物を欧州に販売していた。 また、船便より速く移動できる鉄道は、東京から博多までの鉄道、そして連絡船を乗り継いで大連港。 そこから、遠く欧州までの鉄道がつながっていた。 飛行機より安全で、船より速い。 鉄道の大陸横断は軌道に乗ってきたのだ。 金持ちが、豪華列車での旅だ。 ウエイトレスはロシア美人だ。 空調完備の当時は最新の客車だ。 機関車は動輪が2メートルを越える大陸型パシナだ。 最高速度80キロで、爆走する機関車だ。 オリエント急行の向こうを張って、満州鉄道のカンバン列車だ。・・・・ 「おい、本当に狙うのか。」 「あたぼうよ、金持ちから、ガッポと有り金をふんだくるんだ。」 「計画は?」 「待避線へ誘導して、強制的に」止めるんだ。」 「あとは、仲間の15人で、客車を占拠する。」 「マシンガンが10丁とレボルバーが15丁あるんだ、武器はあるんだ。」 「よく、マシンガンを手に入れたな。」 「そうよ、仲間が米軍基地でネコババしたんさ。」 「よく、盗めたな。」 「まあ、武器はあるんだ。」 「なら、信用できそうな仲間を集めよう。」 「わけまえは、均等にわけるぞ。」 「でないと、命がけの仕事はできねえからな。」 「オレらは朝鮮馬賊じゃねえ、正統な満州馬賊だ」 「そうだ、そうだ、シナの下っ端に負けるもんか。」 どちらも、大して違いなどない賊だが。・・・ここは、満州の首都の奉天駅だ。 パリ行き、特別急行の発車の時間だ。 冷暖房が完備された、世界最高級の客車に電源車を牽引して、でかい機関車が動き出した。 日本の鉄道省が威信をかけて開発したパシナ型蒸気機関車だ。 最後尾に展望車をつないだ豪華国際急行列車だ。 欧州へ帰るパリジャンや独逸の役人や華僑の金持ちら多数が乗り込んだ。 見送りのヒトの手を振るなか、列車は走り出した。 奉天で、日本の東京からの客車をつないだ。 そして、7両の客車と1両の電源車をつないで、3000馬力の蒸気機関が牽引するのだ。 日本最大のC62が1000馬力くらいだから、いかに大陸型が馬力があるかだ。 3000馬力ないと、8両の客車なぞ牽引できない。 まして、電源車は重いのだ。 蒸気発電で、客車の空調や電灯、食堂車のレンジや冷蔵庫を動かしているのだ。 特別急行は奉天を出ると、ハルピンからソ連へ入り、一気にモスクワまでノンストップだ。 そして、終点がフランスのパリ駅だ。 そこから、ドーバーを渡りロンドンまでの汽車もある。 奉天からパリまで、7日で行くのだ。 途中、機関車の交換や補給などあるが、ハルピンからモスクワまでは、ノンストップが自慢のパシナだった。 とうぜんに、客車には警備員が同乗している、米国生まれのガンマンを高給で雇っているのだ。 いずれも、米国の保安官経験者で、銃の腕は自慢の者達だった。 各自が自分の銃は選んで肩やベルトに隠して吊るしていた。 それで、拳銃が主だった。 果たして、馬賊のマシンガンに太刀打ちできるだろうか。 列車は、ワナが仕掛けられた分岐点に差し掛かっていた・・・・・・・
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