満州国馬賊討伐飛行隊

ゆみすけ

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政府えの肩入れだ。

忖度するのだ。

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 休憩室で、本日の待機員がだべっていると、「たいへんだ、新京のハク大臣の屋敷からSOSだ。」 「なんだと。」 思わず仰け反る隊員たちだ。 ハク大臣とは、政府高官の白 東英のことだ。 満州国でも日本のシンパの顔役だ。 討伐隊への便宜を図ってくれたのだ。 それで、無線機を屋敷に配備したばかりだ。 それが、もう役にたったのか。 いや、急がなければ、救助は、間に合わないだろうか? 「待機の2機は、出発だ。」 「追って、さらに2機応援を送るから。」 「わかりました、おいエンジンは?」 「いま、起動車がエンジンを廻しています。」 よし、行くぞ。 隊舎からエプロンに飛び出した。 97戦のエンジンを整備係りが廻していてくれた。 「おう、ごくろう。」 「燃料も満タンです。」 といいつつ、操縦席を整備士と替わる。 すでに、車輪止めは外してある。 スロットを上げて、ラダーを操舵して滑走路へ。 2番機も付いてくる。 準備完了だ。 無線機のヘッドセットをつけて、「1番機行きます。」 「ブーストは15分ならOKだ。」 「了解です。」 スロットを全開にする。 中島製9気筒ターボ星型エンジンは、「キーーーーーーーーン。」と甲高い音を残して高度3000まで上がる。 ハク大臣の屋敷までは、新京だから近い。 全速にブーストをかけて500キロで、20分だ。 すでに、連絡を受けてから10分過ぎている。 なんとか耐えてくれ。 満州国、唯一の低翼単葉戦闘機(複葉機ではない。)が翼の日の丸もあでやかに空気を引き裂いて飛ぶ。 ・・・・ そのころ、白の新京の屋敷だ。 馬賊どもが、火矢を用意して、「もう、30分は待ったぞ。」 「イヤ、まだ25分だ、もうすこしで銭があつめられるのだ。」 「そうか、早くしろよ。」 馬賊は腕時計なぞもってない。 だから、ヤマカンで、時間を言ったのだ。 まあ、腹時計だ。 なかなか正確な腹時計だ。 そして、馬賊どもは馬で、屋敷を囲んで廻りだした。 よく、インディアンが幌馬車隊を囲んで攻める場面と同じだ。 「アワワワワワ。」と叫んでいないだけだ。 「ん、なんか聞えないか。」 「え、なにか?」 馬賊の頭目が側近に聞いた。 聞いたことが無い音をが聞えたような。 なんかな、と空を見上げた。 その瞬間! 「ダ、ダ、ダ、ダ。」 と機関砲の音が聞えた。 そのときは、馬賊の頭目も側近も馬ごと穴だらけの・・・・・・ 「なんだ、どうした、お頭!」 お頭は、すでにあの世のヒトだ。 「え、なんだ、どうした。」 うろうろしか出来ない馬賊どもだ。 そして、さらに、「ダ、ダ、ダ、ダ、ダ、ダ。」 それで、馬賊どもは全滅していた。 16人の賊の死骸が屋敷の周りを血に染めていた。 屋敷の中で、震えていたハク大臣は、恐る恐る窓から外を。 馬賊どもは全滅だ。 数分もかからずに馬賊どもは全滅していた。 ハク大臣は日本軍の強さを身にしみて悟ったのである。 敵ではなく味方でよかったと。
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