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シベリア収容所Ⅱ
ヒトが住むところではない。
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7日かかって、やっと5両のシュリーマン討伐隊はシベリア収容所へ到着した。 早速に、現場の検分だ。 すでに、ステルヒンの遺骸は埋葬されていた。 仕方がない、墓荒らしはしたくないが、使われた拳銃の特定ができていなかった。 それで、部屋を検分したが、銃弾の跡は見当たらない。 それで、遺骸を掘り出すことにしたのだ。 シベリアの凍土のおかげで、ステルヒンの遺骸は、まあまあ検分できる状態であった。 胸の奥のアバラ骨に銃弾が残っていた。 それで、22口径とわかった。 おそらくワルサーPPKか。 身に隠して持ち歩ける拳銃だ。 しかし、独逸帝国戦車隊員は思った、仮にもソ連書記長だったオトコの墓だ。 ソ連で、没落すると、悲惨なありさまだと。 ロシア正教の十字架が地面に刺してあるだけの墓だからだ。 独逸帝国戦車隊員は墓を暴いたからか、全員でステルヒンに黙祷をささげたのだ。 それを見ていたソ連戦車の案内人も、あわてて黙祷にくわわった。 状況からシュリーマンの仕業に間違いない。 討伐隊の面々は手配写真を持って、付近の聞き込みだ。 ソ連軍の案内人が1人つき、5班の聞き込みを実施したが、有力情報は受け取れなかった。 しかし、歩いて移動など、この寒さのシベリアだ。 なにか、移動手段がないと。 それで、付近の馬車屋に聞き込みだ。 クレムリンの捜査許可証を馬車屋に見せると、馬車屋は、「へい、なんでも聞いてくださいまし。」 とシベリアなまりで答えた。 「最近、こんなオトコが馬車を借りにこなかったか。」 とシュリーマンの写真を見せる。 「え、え、と、馬車を馬ごと買ってくれたヒトに似てますだ。」 「なんと、詳しく教えてくれ。」 「まあ、まあ、いま思い出しますだ。」 「うむ。」 「その、お客さんは自動車に乗ってきたんで。」 「ほう。」 「しかし、ここは、シベリアの地ですだ、自動車なんて道が凍って、すべって、満足にうごきませんですだ。」 (我らは戦車で、よかった。)「まあ、そうだな。」 「それで、自動車を置いていくから、追金で馬車と馬を売ってくれと。」 「それで。」 「あっしは悪路で、自動車なんてシベリアでは使えない、よほど金を積んでくれるならと。」 「それで。」 「そのお客は、金貨で払うと。」 「ほう。」 「それで、金貨30枚と馬つき馬車と交換したんでさあ。」 「ほう。」 なんと強欲な馬車屋だ。 相場の3倍だ。 まあ、いい。 「それで、馬で行った方向は。」 「さあ、どこへ行きなさるだ、と聞いたんですだ。」 「それで。」 「なんでも・・・・」 「なんと、いったか。」 馬車屋の返事が煮え切らないので、金貨を握らせた。 「確か、シナがどうとかいっていたですだ。」 なんとゲンキンな馬車屋だ。 しかし、やはりシナ方面へ逃走しているのは確実だ。・・「燃料の手配の追加だ。」 「それで。」 「無線でヤツはシナ方面と送れ。」 「了解。」 「やつは、クルマを捨てた。」 この時代は、スノータイヤなんて無い。 せいぜいチェーンを巻くくらいだ。 インフラの整備されていない、シベリアは馬が移動手段なのだ。 しかし、我らは無限軌道の戦車だ。 それも、独逸帝国の技術の粋を集めたV型の独逸国内仕様だ。 凍った道や荒地なぞ、物の数ではないのだ。 ふだんの訓練に比べれば、荒地なぞ平地と同様であるのだ。 「パンッアーフォー。」4両の独逸帝国ロンメロ戦車隊は、エンコしたソ連軍V型戦車(手入れが、なってない。)を牽引しながら出発した。
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