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シュリーマンの逃走劇
どこから、バレたのだ。
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シュリーマンは、つい寝すごしてしまった。
眼が覚めると、もう10時すぎだ。
いつも、秘書が7時には起こしてくれるのにと思い、窓を開ける。
「ん、ん、どうしたんだ。」 どうも様子がおかしい。
シュリーマン総帥は雰囲気の違いに敏感であった。
それは、ゲッペルン総帥の暗殺という、独逸帝国の裏切りとも思える行為に手を染めてからだ。
多くの独逸国民や軍人、はてはフランスの国鉄職員まで巻き込んだ暗殺劇だ。
ゆうに、殺した数は100名は、越えるのである。
そして、独逸帝国で、その事実を知るものを、時間をかけて毒殺なり、事故を装い殺してきたのだ。
もう、独逸帝国内には、暗殺の証人は皆無と言ってもいいほど、粛清したのに。
近衛連隊の隊員の動きが、窓から見ておかしいのだ。
いつもどうりでは無い。 遠くで戒厳令の発動を知らせるサイレンを聞いて、シュリーマンは自身の身に危険を悟ったのだ。
あわてて、ドアを開けようとして、止まった。
ヤバイ、ドアの外に、誰か数人の気配がする。
そーっとドアのカギ穴をのぞいた。
アサルトライフルを抱えた軍人が見えた。
総帥官邸内では、武器の所持はできない規則だ。
シュリーマン総帥は悟った。
バレたのだ。
ゲッペルン総帥暗殺計画に自身が関わっていたことがバレたに違いない。
周りを固めてから、ワシが逮捕されるに違いない。
これは、逃げるしかない。
今は、逃走して、再起を図るのだ。
シュリーマンは決心した。
さいわい、逃走用の逃げ口は秘書にも、わからないはずだ。
作らせた作業員は粛清して、生きてはいないからだ。
暖炉に近づくと秘密のブロックを外した。
そこから、ボコボコと壁が崩れて、逃走口が現われた。
シュリーマンは現金、拳銃などを掴むと、逃げ口に消えた。
そして、しばらくすると逃げ口が崩れて、追いかけることを防いだ。
総帥官邸の地下に出ると、逃走用の自動車が置いてあった。
普通の目立たないセダンだ。
平均的労働者の服装に着替えて、メガネと口ひげで変装したシュリーマンは地下通路をセダンで走った。
だいたい、500メートルほどだ。
出口は農家の倉庫内である。
その倉庫のトビラを開けて、一般道へセダンは出た。
シュリーマンはソ連へ逃走するため、ローランド国境を目指した。
おそらく、その間に検問があるだろう。
それくらいは、シュリーマンも予想していた。
しかし、今はローランド経由のソ連しかないのだ。
独逸帝国の国民はゲッペルン総帥暗殺の張本人を、誰も許してはくれないだろう。
それほど、ゲッペルン総帥は国民から尊敬と人望を得ていた、その事実はシュリーマンも十分理解していたのだ。
四面楚歌の中を、変装したシュリーマンはソ連を目指した。
しかし、どこからバレたのだ。
すべて、口封じしたし、書類は無いはずだ。
シュリーマンはソ連の国内から、ゲッペルン総帥暗殺の機密書類が偶然発見されて。
その書類が英国へ運ばれて、さらに複写写真が山田総理の妻ハンナからロンメロ将軍の手に渡った、なんて夢にも思わなかったのである。
シュリーマンは、どこからバレたんだと怒りがこみ上げて自身が想像できないほどの顔となっていた。
「くっそ、くっそ、くっそ、くっそ。」
まさに、独裁者の末路の顔であった。
逃走のセダン型自動車は、ローランド国境を目指して速度を上げた。
眼が覚めると、もう10時すぎだ。
いつも、秘書が7時には起こしてくれるのにと思い、窓を開ける。
「ん、ん、どうしたんだ。」 どうも様子がおかしい。
シュリーマン総帥は雰囲気の違いに敏感であった。
それは、ゲッペルン総帥の暗殺という、独逸帝国の裏切りとも思える行為に手を染めてからだ。
多くの独逸国民や軍人、はてはフランスの国鉄職員まで巻き込んだ暗殺劇だ。
ゆうに、殺した数は100名は、越えるのである。
そして、独逸帝国で、その事実を知るものを、時間をかけて毒殺なり、事故を装い殺してきたのだ。
もう、独逸帝国内には、暗殺の証人は皆無と言ってもいいほど、粛清したのに。
近衛連隊の隊員の動きが、窓から見ておかしいのだ。
いつもどうりでは無い。 遠くで戒厳令の発動を知らせるサイレンを聞いて、シュリーマンは自身の身に危険を悟ったのだ。
あわてて、ドアを開けようとして、止まった。
ヤバイ、ドアの外に、誰か数人の気配がする。
そーっとドアのカギ穴をのぞいた。
アサルトライフルを抱えた軍人が見えた。
総帥官邸内では、武器の所持はできない規則だ。
シュリーマン総帥は悟った。
バレたのだ。
ゲッペルン総帥暗殺計画に自身が関わっていたことがバレたに違いない。
周りを固めてから、ワシが逮捕されるに違いない。
これは、逃げるしかない。
今は、逃走して、再起を図るのだ。
シュリーマンは決心した。
さいわい、逃走用の逃げ口は秘書にも、わからないはずだ。
作らせた作業員は粛清して、生きてはいないからだ。
暖炉に近づくと秘密のブロックを外した。
そこから、ボコボコと壁が崩れて、逃走口が現われた。
シュリーマンは現金、拳銃などを掴むと、逃げ口に消えた。
そして、しばらくすると逃げ口が崩れて、追いかけることを防いだ。
総帥官邸の地下に出ると、逃走用の自動車が置いてあった。
普通の目立たないセダンだ。
平均的労働者の服装に着替えて、メガネと口ひげで変装したシュリーマンは地下通路をセダンで走った。
だいたい、500メートルほどだ。
出口は農家の倉庫内である。
その倉庫のトビラを開けて、一般道へセダンは出た。
シュリーマンはソ連へ逃走するため、ローランド国境を目指した。
おそらく、その間に検問があるだろう。
それくらいは、シュリーマンも予想していた。
しかし、今はローランド経由のソ連しかないのだ。
独逸帝国の国民はゲッペルン総帥暗殺の張本人を、誰も許してはくれないだろう。
それほど、ゲッペルン総帥は国民から尊敬と人望を得ていた、その事実はシュリーマンも十分理解していたのだ。
四面楚歌の中を、変装したシュリーマンはソ連を目指した。
しかし、どこからバレたのだ。
すべて、口封じしたし、書類は無いはずだ。
シュリーマンはソ連の国内から、ゲッペルン総帥暗殺の機密書類が偶然発見されて。
その書類が英国へ運ばれて、さらに複写写真が山田総理の妻ハンナからロンメロ将軍の手に渡った、なんて夢にも思わなかったのである。
シュリーマンは、どこからバレたんだと怒りがこみ上げて自身が想像できないほどの顔となっていた。
「くっそ、くっそ、くっそ、くっそ。」
まさに、独裁者の末路の顔であった。
逃走のセダン型自動車は、ローランド国境を目指して速度を上げた。
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