大東亜戦争を有利に

ゆみすけ

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ロンメロ将軍へのアポ

ハンナの従兄弟とは

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 「ハイ、海底軍艦基地、総理ですか、おひさしぶりです。」 
「あ、あ、まあ、他でもない話なのだが。」 
 「なんでしょうか。」 
「独逸帝国のベルリンまで、秘密裏にヒト、ひとり運んで欲しいのだが。」 
 「承知しました、亡命の引取りですか。」 
「イヤ、詳しい話は追ってつたえるが、用意を頼む。」 
「わかりました。」 総理は電話を切った。 

 「さあ、忙しくなるわ。」 ハンナは旅行カバンに服など詰めだした。 
「そうだわ、海底軍艦の施設は家とおなじかしら。」 
 「さあ、どうかな乗ったことがないんで、わからないが。」 
なんと総理は乗船したことがなかったのだ。 
 散々、自身の都合で使っていたが、己が乗ったことがないとは。  
 「では、洗面所が家と同じかわからないわね。」 
つまり、トイレが洗浄トイレかの件である。 
 現在の海上自衛隊潜水艦のトイレは洗浄トイレである。 
著者は、あるスジから聞いたのだ。 
 米海軍の原潜は、普通のトイレらしい。 
世界最高の、我が海上自衛隊潜水艦はトイレも世界最高なのである。 
 なんと、海底軍艦はトイレは洗浄トイレであり、女子用と男子用と別れてあるらしいのだ。 
なぜか、それは亡命者には婦女子が多かったからだ。 
 トイレは生活の上で重要であるのだ。 
至れりつくせりの海底軍艦である。 
 総理の妻のハンナは独逸帝国の従兄弟へアポを取る。 
独逸帝国とは仮想敵国同士ではあるが、国交が全く無いわけではない。 
 しかし、総理の妻として渡航するわけにはいかない。 
変に勘ぐられる恐れがあり、監視員でもつけられると、最悪である。 
 下手すると、シュリーマンへの謀略の暴露がジャマされる恐れがある。 
だから、海底軍艦で、独逸帝国へ密航するのである。 
 ただ、従兄弟にだけは、アポを取ったのだ。 
まあ、当然盗聴もあるから元気にしていますか、程度だが。 
 従兄弟からは、国際電話で、元気な声が聞けたのである。
総理の妻のハンナはシュリーマン謀略の書類の複写写真を身に隠して、独逸帝国行きの海底軍艦の客員になったのである。 
 だいたい、7日の船旅であった。 
そして、独逸帝国のベルリンまでは、海底軍艦のVTOLで、従兄弟の屋敷まで向かうこととなったのだ。 
 夜間、海底軍艦は静かに独逸帝国の沖合いに浮上した。 
レーダーで付近の飛行機を探る。 
 幸い、飛行物体は無かった。 
「VTOL飛翔許可OK。」 
 合図で、VTOLは超電導ペラ4基で、飛び上がった。 
風の音だけで、静かにVTOLは飛んでいく。 
 ステルス装置で、独逸帝国首都ベルリンの防空網を破り、ハンナの従兄弟の屋敷までは、安全な飛行であった。 「トン、トン。」 窓ガラスが風で鳴る。 
 家人がふと外を見る。 なんとハンナが窓の外に。 
「あれ、ハンナかえ。」と、びっくりだ。 
 「コンバンワ、ごきげんよう。」  
「ビックリした、どうやって。」 
 「まあ、積もる話もあるから。」 ハンナは窓から室内へ入った。 
その間、VTOLはホバリングして屋根の上空で待機である。 
 ハンナは、「旦那さんは?」 「今、呼ぶわ。」 
しばらくして、従兄弟のダンナが現われた。 
 「やあ、ハンナひさしぶり、元気だった。」 
「まあ、それなりには、ところでロンメロ将軍をご存知?」 
 「あ、あ、私の息子が世話になってるが。」 「ほんと?」 
「あ、あ、ロンメロ将軍は身内にユダヤがいても、分け隔てなく使ってくださるんだ。」  
 なんと、幸運なことだ、ツテはあったのだ。 
 「では、ロンメロ将軍にアポを取れるかしら。」とハンナはそれとなく聞いた。 
「出来ないことはないが、どうして?」 
 「これは、極秘の情報ですが・・・・」 
「なんと、まさか、本当か、イヤまさか。」 
 「これが、その書類を写した物よ。」 ハンナは複写写真を見せる。 (まだ、コピーは無いのだ。) 
従兄弟のダンナは覚悟の顔で、「わかった、明日にでもアポを取ろう。」 
 「では、また明日。」 ハンナは窓から出た。 
家人はビックリして窓へ寄る。 ハンナを待っていたVTOLにハンナは吸い込まれるように乗り込んだ。 
 やがて、VTOLは無音で飛んでいく。 
家人はポーとして見上げていた。 
 あれが、もしや伝説の海底軍艦の・・・これは、夢か幻か・・・・
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