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対魚雷戦兵器
空母の守り
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また、話が少し戻ります。 (またかよ。) 英国へ空母を譲渡することとなった。 ここは、例の(裏金疑惑の。)鎌倉造船だ。 進水した新型空母へ、艤装の最中である。 政府から海軍大臣の山野閣下の来訪である。 社長みずから、玄関で、待っていた。 「うむ、待たせたかな。」 「いえ、本日はわが社にとり・・・」 「まあ、挨拶はいいから、話は他でもない空母のことだ。」 「まさか、延期などは・・・」 「なにを勘ぐっておる、違うわ、今度の空母を英国への譲渡に当てるつもりだ。」 「ちなみに、英国では、艦名をマーガレットとするらしい。」 「え、現、英国の王女殿下ではないですか。」 「そうだ、それで、絶対に撃沈されては・・・」 「そうですね、わが国のコケンに関わりますね。」 「わかってるじゃないか。」 「それでだ、沈まない空母にしてくれ。」 社長は、この場から逐電しようかと、沈まないフネなど無いわ! 「では、よろしく頼む。」 と言い残して海軍大臣閣下様はお帰りになったのである。 あとには、途方にくれたハゲ頭が、いや失礼した。 社長はショボンと人生を振り返っていた。 他にも、造船所はあるのに、なんでウチにきたんだ。 悔やんでみても終わらない。 毎度のことながら、社員に激を飛ばす社長である。 「いいか、諸君、密命は下った、英国の王女の名前が、わが社の新造空母につくらしい。」 「おーーーーっ。」 「それでは、空母のマスコットフィギァはマーガレット王女殿下ですね。」 「造型師はだれに?」 「これは、売れるぞ。」 「なんせ、本物プリンセスだもんな。」 「限定何個にする。」 「5000はいけるぞ。」 もう、社員は空母の艦首に書くマスコットから、併売するフィギァの話で夢中である。 なぜなら、現実の人間の名前が艦名になるのは、初めてだからだ。 それも、ロイヤルプリンセスのマーガレットの名前である。 興奮しないはずはないのだ。 話がウマすぎるので、部下が社長に、「で、条件は?」 「うむ、沈まない空母にしてくれだ。」 社員全員が、途端に静かになった。 絶対に無理だ、技術者ならわかるのだ、浮いているものは必ず沈むのだ。 「おい、笹野君。」 「ハイ?」 「君、以前に対魚雷装甲を提案したな。」 「え、イヤ、え、まあ。」 「それを、頼む。」 「今からですか?」 「そうだ。」 「それは、とても無理・・・・」 「君はわが社の社訓をしっとるか。」 「無理とはいってはならない。」 「そうだ、では頼む。」 ・・・・・・ もう、進水して艤装中なのだ、今から対魚雷装甲は・・・・ 笹野はマジで、逐電先を考えていた。 お袋の田舎の奥飛騨は、それとも台湾の・・・・
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