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赤外線探知カメラを監視員に!
高速演算機の回答は、いかに?
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チーーーーンと演算機から音がやっと出た。 爆発するんじゃないかと心配で逃げ出しそうだった係員は、何事もなかったかのように計算した紙を見る。 回答は、夜間は赤外線カメラを使え、とあった。 万物は絶対零度のモノではないなら、赤外線を発してるのだ。 赤外線は、赤外線カメラで見ると緑色の濃淡に見えるやつである。 しかし、ここで問題が出た、赤外線カメラが高額で、数もそんなには用意できないのである。 衛星などは、予算をそれなりに使えるから、赤外線監視カメラをつかっているが、海岸監視員に配るほど用意なぞ出来ないのである。 何万台と必要になるのである。 それほど大量生産するほどの設備がない。 赤外線を感知する光電管など、モロ手造りであるのだ。 装置も複雑であり、とてもオイソレと使える代物ではなかった。 はっきり言って研究段階であったのだ。 再び、赤外線カメラを除いて再検索である。 回答は水上戦車は日本の水陸両用舟艇と違い、欠点がある。 なだらかな浜にしか上陸できない。 そうだ、岩場に弱いのである。 日本の水陸両用は日本の岩場が多い海岸で鍛えられているのだ。 特殊なオムスビ型無限軌道により、少しくらいな岩場は乗り越えて進めるのだ。 ソ連やシナの水上戦車にはできない芸当である。 回答は、今までどうりしかない。 それが、結論であった。 小まめなヒトの眼しかないのであった。 なお、ソ連やシナの水上戦車の情報は満州国の米軍にも情報は共有しているのである。 ソ連の進攻に警戒する米軍は、トヨスの戦車マークⅢの追加注文をトヨスに入れたらしい。 北満にも米軍基地を作る計画もでたらしいが、現在の状況を、すこしでも良くするため、戦車発注となったらしい。 高速演算機も欠点があることが、判明した。 無理難題な質問は機械は受け付けないのである。 シナの水上戦車は岩場以外のところから進攻してくるしかないのだ。 場所はかぎられるのである。 そうなると発見には、日本の進んだ水中聴音器を使うこととなった。 音である。 水中は空中と違い、音の伝わる範囲が違うのだ。 とんでもない遠方にも届くのである。 もちろん、音にはクジラやイルカ、魚の音が混じる。 そこで、音の帯域を制限してエンジンとスクリュー音を餞別することとしたのである。 当然、一般漁船も感知するが、普通の一般漁船は航海灯を夜間は点けている。 暗黒の闇で、真っ暗な灯りをつけない舟のエンジン音やスクリュー音は敵と思っていいのである。 水上戦車の上陸できる海岸沖に水中聴音器が備えられた。 予算的にもOKであったのだ。(所詮、防水マイクだから。) 海岸監視員は昼は望遠カメラを見て、夜間はヘッドフォンによりエンジン音の監視となったのである。 この、警戒は副産物を生み出した。 密猟者の摘発である。 密漁者はボートなどで、夜間、海上の生け簀の魚などを失敬するのだが、オールや櫂で漕ぐやつなんていない。 川とは海は違うのである。 思わぬ副産物で、漁民らは喜んだのであった。 海の生け簀で飼うのは高級魚ばかりだから、根こそぎ奪う密漁は、ある意味おいしい商売であったのだ。 ・・・・ ここは、ウワサの満州国の米軍基地である。 トヨスのセールスマンが新型の試乗会を盛大に催していた。 なんせ、シナとソ連が新型を入れた、との情報から米軍もうかうかしては、居られないのである。 米国本土にとって満州国の商売はオイシイ利益があがっていたのだ。 満州鉄道や満鉄百貨店、満鉄病院そして満州製鉄など、すべて日本から米国が買ったものである。 満州皇帝は野心もなく、米国には従順であり、まさに傀儡政権であった。 しかし、シナやソ連と違い、自由の民主主義を旗印の米国である。 あまり、眼に見えるアコギな政策はしなかったのだ。 三権分立や選挙による議会、基本的人権を認めているから、独裁ではないのである。 早い話が、米国のひとつの州と思えばいいのである。 制限は外交や安全保障などであり、軍隊も米軍の指揮下であるが、満州国軍もあるのだ。 トヨス新型お披露目会の話であった。 米軍はコーヒーが大好きである。 それでトヨス本社が、闇市で法外な代金を払って手に入れたブルマンのホンモノを接待コーヒーとして使うのである。 米軍は驚く、満州でブルマンが飲めるからだ。 米国、本国でも、一部のセレブしか飲めない世界最高のコーヒーである。 著者もモノホンのブルマンは飲んだことはないのだ。 恨めしい、イヤうらやましい限りである。 専属メイドが注いで廻る、モノホンのブルマンを飲みながら基地司令のガートランド小将は、トヨスのセールスマンに聞いた。 「今度の新型はマークⅢと、どう違うのかね。」 飲み干したカップにメイドがブルマンを注いでいる。 「今度の新型は、シナとソ連の水上戦車に対抗するための戦車です。」 「ほう、どんな?」 「トヨスT34装甲に替えて、トヨスマルチ装甲を採用しています。」 「そのトヨスマルチ装甲とは?」 「詳しくはもうせませんが、装甲が以前より軽くなりました。」 つづけて 「それで、車体が軽いので運動性が抜群です、水面にも浮きます。」 「なんと、水上戦車と同じなのか。」 「まあ、そうです。」 「なんでも、セラミックとチタンとトヨス合金を重ねたモノで、以前より格段に軽いのです、それでいて対砲弾防御は無敵です。」 「試験では、わが社の最大口径の砲の正面直撃にも耐えました。」 「え、最大口径の砲、そんな砲があるのか。」 「米軍では40サンチが最大であるのだが。」 「すんません、社内機密ですので、忘れてください。」 「オーケーだ。」 日本は戦艦大和(武蔵もナイ)は建造してはいない。 その代わりに空母(信濃はあるが、別名)を建造したのだ。 最大口径砲(口径は社内機密である。)はトヨス自動車が装甲テストのため鋳造したのである。 「まあ、新型を見てください。」 とセールスマンが合図だ。 メイドらが、布で覆った新型戦車の布をひっぱる。 さあ、新型のお披露目だ。 思わず、でかい商談にセールスマンが武者震いであった。・・・・・
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