269 / 380
水上戦車対策
訓練の結果、わかったこと。
しおりを挟む
訓練は対馬ではやらなかった。 訓練を半島のヤカラの教える必要はないのである。 場所は沖縄県の石垣島である。 確か、島の海岸を牛の引いた車で、渡る観光事業があるのだ。 つまり、遠浅の海岸があり、水陸両用舟艇には、うってつけの海岸であった。 実際は岩場であれ、すこしぐらいの岩場なら乗り越えて上陸できる能力があった。 しかし、なにも訓練であるから訓練内容を検証できなければ意味がないのだ。 それで、仮想敵の水上戦車が上陸する想定にするため、遠浅の浜を選んだのである。 観測ヘリが上空で画像を撮影する用意はできた。 事故に備えて救援用のヘリも待機OKである。 長時間、一定の空中で停止できる、飛行船までが、空に浮かんでいた。 飛行船が全体の指揮をする場所である。 少ない予算で、よくコレだけの用意ができたものだ。 実は英国のやんごとなき女王陛下より、わが国の今上陛下に独逸帝国ドーバー越え阻止の礼金が・・・まあ、その一部を投入したのである。 浜辺から水陸両用舟艇が沖の開始地点まで動きだした。 とりあえず、20両である。 陸軍戦車も松原の影に隠れて用意は出来た。 飛行軍のヘリ部隊も準備完了である。 訓練開始の合図だ。 沖から水陸両用舟艇が20両、波を蹴立てて進んでくる。 15ノットで、見た目は派手だが、速度は・・・・である。 当然、訓練であり。 実弾ではない。 火薬を減らしたプラの砲弾に黄色い蛍光水溶液を入れたものである。 派手な音がして、当たるとハジけて、派手な黄色い色が付着する。 独逸帝国と同じような模擬砲弾である。 訓練後、車両を洗車するのだが、それが少し大変になるだけである。 もろ、黄色い色に染まった車両では、戦死判定であるし、洗車も大変だし、からかわれるだけであるのだが。 さて、訓練を観戦することとする。 水陸両用舟艇が波打ち際から上陸してきた。 対する陸軍戦車隊は砂浜に退避壕を造り、そこに隠れて待っていたのだ。 水陸両用舟艇は砂浜を無限軌道で進む。 しかし、フロートが前後にあり、動きは陸上戦車に比べるまでもなく鈍感である。 独逸帝国の水上戦車はフロートをはずす間にヤラれたが、日本の水陸両用舟艇は動きが鈍であるから、満足に対抗する前に全車が黄色く染まり全滅したのである。 浜辺で待ちうけ作戦では、陸側が圧勝であった。 ここで、訓練は夜間まで休憩で、ソレまでに黄色い色は洗車で落とされた。 今度は、待ちウケではない、突然の夜間上陸作戦となる。 波間を進んでくる水陸両用舟艇は、車高も低く浜辺から発見がされにくい。 そしてエンジン音も排気を海中へ排出するから排気音は大きくないのだ。 そして、想定であるが、水陸両用舟艇の発見は上陸してから、一般人に発見されて、通報があり。 それから陸軍が対応することとなる。 水陸両用舟艇が全車上陸して、市内へ展開すれば、水陸両用舟艇側の勝利であり、それを阻止すれば、陸軍の勝利である。 なお、飛行軍やヘリは、別の想定であり、作戦には参加してはいない。 夜間、水陸両用舟艇は音もなく上陸する。 浜辺で散歩する一般人に扮した訓練員が水陸両用舟艇を発見するまで、かなりの時間がかかったのである。 それから、電話のあるところまで、(ケイタイなんて無い。)訓練員が走る。 そして、警察へ連絡だ。 一般人は軍隊の電話番号なぞ知らない、よって警察の110番となるのである。 そして、警察から陸軍基地へ電話がある。 基地でサイレンと共に出動である。 しかし、陸軍基地の門を戦車が出始めたところで、水陸両用舟艇は市内展開を終えた。 水陸両用舟艇側の勝利となった。 訓練で判明したことは、夜間に上陸されれば負けだ、ということであった。 観戦していた、幹部は黙ってしまった。 ヤバイぞ、対馬どころか、九州も危うい。 夜間の水陸両用舟艇が発見されにくい事実が判明したのである。 しかし、長い海岸線を24時間くまなく監視など無理である。 オタクの引き篭もりや、身体障害者の監視網は、まだ完全ではないのだ。 思わぬところで、日本軍に迷いが生じたのである。 どうすれば、海を渡ってくるシナの水上戦車を発見できるのか、高速光演算機にデーターを入れてスイッチ オンだ。 ウイーーーーンとうなる演算機。 なかなか、チンと出来上がらない。 どうした、日本の最新、先端技術のカタマリの演算機。 係員は、演算機がどうなるのか、うなり音からしてヤバイかな、と思ったのである。
0
お気に入りに追加
299
あなたにおすすめの小説
満州国馬賊討伐飛行隊
ゆみすけ
歴史・時代
満州国は、日本が作った対ソ連の干渉となる国であった。 未開の不毛の地であった。 無法の馬賊どもが闊歩する草原が広がる地だ。 そこに、農業開発開墾団が入植してくる。 とうぜん、馬賊と激しい勢力争いとなる。 馬賊は機動性を武器に、なかなか殲滅できなかった。 それで、入植者保護のため満州政府が宗主国である日本国へ馬賊討伐を要請したのである。 それに答えたのが馬賊専門の討伐飛行隊である。
零式輸送機、満州の空を飛ぶ。
ゆみすけ
歴史・時代
ダクラスDC-3輸送機を米国からライセンスを買って製造した大日本帝国。 ソ連の侵攻を防ぐ防壁として建国した満州国。 しかし、南はシナの軍閥が・・・ソ連の脅威は深まるばかりだ。 開拓村も馬賊に襲われて・・・東北出身の開拓団は風前の灯だった・・・
出撃!特殊戦略潜水艦隊
ノデミチ
歴史・時代
海の狩人、潜水艦。
大国アメリカと短期決戦を挑む為に、連合艦隊司令山本五十六の肝入りで創設された秘匿潜水艦。
戦略潜水戦艦 伊号第500型潜水艦〜2隻。
潜水空母 伊号第400型潜水艦〜4隻。
広大な太平洋を舞台に大暴れする連合艦隊の秘密兵器。
一度書いてみたかったIF戦記物。
この機会に挑戦してみます。
西涼女侠伝
水城洋臣
歴史・時代
無敵の剣術を会得した男装の女剣士。立ち塞がるは三国志に名を刻む猛将馬超
舞台は三國志のハイライトとも言える時代、建安年間。曹操に敗れ関中を追われた馬超率いる反乱軍が涼州を襲う。正史に残る涼州動乱を、官位無き在野の侠客たちの視点で描く武侠譚。
役人の娘でありながら剣の道を選んだ男装の麗人・趙英。
家族の仇を追っている騎馬民族の少年・呼狐澹。
ふらりと現れた目的の分からぬ胡散臭い道士・緑風子。
荒野で出会った在野の流れ者たちの視点から描く、錦馬超の実態とは……。
主に正史を参考としていますが、随所で意図的に演義要素も残しており、また武侠小説としてのテイストも強く、一見重そうに見えて雰囲気は割とライトです。
三國志好きな人ならニヤニヤ出来る要素は散らしてますが、世界観説明のノリで注釈も多めなので、知らなくても楽しめるかと思います(多分)
涼州動乱と言えば馬超と王異ですが、ゲームやサブカル系でこの2人が好きな人はご注意。何せ基本正史ベースだもんで、2人とも現代人の感覚としちゃアレでして……。
土方歳三ら、西南戦争に参戦す
山家
歴史・時代
榎本艦隊北上せず。
それによって、戊辰戦争の流れが変わり、五稜郭の戦いは起こらず、土方歳三は戊辰戦争の戦野を生き延びることになった。
生き延びた土方歳三は、北の大地に屯田兵として赴き、明治初期を生き抜く。
また、五稜郭の戦い等で散った他の多くの男達も、史実と違えた人生を送ることになった。
そして、台湾出兵に土方歳三は赴いた後、西南戦争が勃発する。
土方歳三は屯田兵として、そして幕府歩兵隊の末裔といえる海兵隊の一員として、西南戦争に赴く。
そして、北の大地で再生された誠の旗を掲げる土方歳三の周囲には、かつての新選組の仲間、永倉新八、斎藤一、島田魁らが集い、共に戦おうとしており、他にも男達が集っていた。
(「小説家になろう」に投稿している「新選組、西南戦争へ」の加筆修正版です)
架空戦記 旭日旗の元に
葉山宗次郎
歴史・時代
国力で遙かに勝るアメリカを相手にするべく日本は様々な手を打ってきた。各地で善戦してきたが、国力の差の前には敗退を重ねる。
そして決戦と挑んだマリアナ沖海戦に敗北。日本は終わりかと思われた。
だが、それでも起死回生のチャンスを、日本を存続させるために男達は奮闘する。
カクヨムでも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる