大東亜戦争を有利に

ゆみすけ

文字の大きさ
上 下
264 / 380
水陸両用戦車の開発

総帥の決断!

しおりを挟む
 総帥は、日本の正規空母視察から軍司令部に戻った。 「幹部を集めてくれ。」 言われたことしかやらない、使えない女性秘書に伝える。 「ドーバー越えの会議だ。」 「了解しました。」秘書はビックリした。 いままで、会議の題目なんて言わなかったのに。 総帥は、余程あわてているようだ。 秘書は駆け足で退出した。 総帥は大会議室へ急ぐ。 数分で、主だった幹部が集まった。 さすが、独逸帝国である、遊んでいるヤツはいないのだ。 総帥は全員に、「この中で日本軍の空母視察へ行ってないヤツはいるか?」 「もし、いたら本日中に行ってくること。」 「話はそれからだ。」 総帥は退出した。 実は、陸軍の幹部らは、ひとりも空母視察には行っていなかった。 なぜなら独逸帝国の幹たる陸軍だからだ、海軍なんてクソだ。 独逸帝国陸軍は世界最強であると自負していた。 事実、独逸帝国陸軍の実力は、侮りがたい。 現在、欧州は独逸帝国の天下である。 ラィツランドとローランドの2国以外は独逸帝国領か独逸帝国傀儡政権の国であるのだ。 ゲッペルン総帥が選挙で選ばれてから、ドイツは隣国を併合していった。 オーストリアやフランスなどだ。 電撃戦で、数日で落としていた。 やり方は、ドイツ移民を入れる、そうして現地人との争いが発生する。 現地政府では、テロ行為に対処ができない。 仕方なくドイツ政府が自国民を守るために介入する。 そして実効支配地域を拡げてきた。 そして独逸帝国の元が誕生したのである。 細かいところは違うが、おおむねがそうである。 強力な軍事力で、他国の民衆を黙らせてきたのだ。 そして、圧制を・・・・総帥は圧制はしなかったのだ。 でないと、ドイツ国民の人気などはないであろう。 かの、半島の将軍様のような悪の権化ではないのだ。 気に入らない幹部(それも叔父さん)を高射砲で撃つような総帥ではないのだ。 まして、銃殺した叔父を犬のエサなどにはしない。 共産党は言論弾圧と粛清の嵐で国を治めるが、総帥は違うのだ。  帝国主義的独裁政権ではあるのだが、選挙で選ばれた総帥である。 さて、総帥は翌日、グルップ重工業の実験場に幹部連中を集めた。 そして、自ら計画した実験を幹部連中に見せたのだ。 実験場は広大で、人工の河もある。 そこに数台の水上戦車だ。 そして対岸には、独逸帝国自慢のV型が、これも数台並べてある。 どれにも実験を実演する兵士が搭乗していた。  総帥が配下に合図する。 すると部下が無線機に向かって、「模擬戦開始。」と叫んだ。 キュル、キュルと水上戦車が河に入り、スクリューで河を渡り始めた。 対岸のV型は、砲撃せずに、砲塔が動くだけだ。 やがて、河を渡り、上陸した水上戦車がフロートをはずすため立ち止まり・・・・そこを、いままで、沈黙していたV型戦車が模擬弾を撃つ。 バシュン、バシュン、バシュン、と模擬弾が水上戦車に当たる。 模擬弾とは、砲弾に爆薬の替わりに水性塗料を混ぜたものだ。 そこで、総帥が部下に合図だ。 「想定訓練終わり。」 と無線で叫んだ。 戦車や水上戦車はエンジンを止めた。 「では、検分する。」 総帥自ら検分である。 あわてて、技師らが付き従う。 どれも、水上戦車の砲塔の側面や無限軌道の上など弱点にヒットしている。  装甲の厚い前面はフロートもあり、ヒットしてはいない。 技師らが、検分して赤い×点をヒットしたところに貼っていく。 どうみても水上戦車は全滅だ。 陸軍幹部は冷汗で、誰も何も言わない。 総帥は全員を見回していう。 「皆の意見が聞きたい、結果を見て意見して欲しい。」 誰も・・・・・総帥は日本の空母の、あのお局士官を、今ほど欲しいと思ったことはなかった。 総帥は、「ドーバー越えは無期限に延期だ。」 誰も、何も言わなかった、イヤ言えなかった。 
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

大東亜戦争を回避する方法

ゆみすけ
歴史・時代
 大東亜戦争よ有利にの2期創作のつもりです。 時代は昭和20年ころです。 開戦を回避してからのラノベです。

土方歳三ら、西南戦争に参戦す

山家
歴史・時代
 榎本艦隊北上せず。  それによって、戊辰戦争の流れが変わり、五稜郭の戦いは起こらず、土方歳三は戊辰戦争の戦野を生き延びることになった。  生き延びた土方歳三は、北の大地に屯田兵として赴き、明治初期を生き抜く。  また、五稜郭の戦い等で散った他の多くの男達も、史実と違えた人生を送ることになった。  そして、台湾出兵に土方歳三は赴いた後、西南戦争が勃発する。  土方歳三は屯田兵として、そして幕府歩兵隊の末裔といえる海兵隊の一員として、西南戦争に赴く。  そして、北の大地で再生された誠の旗を掲げる土方歳三の周囲には、かつての新選組の仲間、永倉新八、斎藤一、島田魁らが集い、共に戦おうとしており、他にも男達が集っていた。 (「小説家になろう」に投稿している「新選組、西南戦争へ」の加筆修正版です) 

B29を撃墜する方法。

ゆみすけ
歴史・時代
 いかに、空の要塞を撃ち落とすか、これは、帝都防空隊の血と汗の物語である。

織田信長IF… 天下統一再び!!

華瑠羅
歴史・時代
日本の歴史上最も有名な『本能寺の変』の当日から物語は足早に流れて行く展開です。 この作品は「もし」という概念で物語が進行していきます。 主人公【織田信長】が死んで、若返って蘇り再び活躍するという作品です。 ※この物語はフィクションです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

札束艦隊

蒼 飛雲
歴史・時代
 生まれついての勝負師。  あるいは、根っからのギャンブラー。  札田場敏太(さつたば・びんた)はそんな自身の本能に引きずられるようにして魑魅魍魎が跋扈する、世界のマーケットにその身を投じる。  時は流れ、世界はその混沌の度を増していく。  そのような中、敏太は将来の日米関係に危惧を抱くようになる。  亡国を回避すべく、彼は金の力で帝国海軍の強化に乗り出す。  戦艦の高速化、ついでに出来の悪い四姉妹は四一センチ砲搭載戦艦に改装。  マル三計画で「翔鶴」型空母三番艦それに四番艦の追加建造。  マル四計画では戦時急造型空母を三隻新造。  高オクタン価ガソリン製造プラントもまるごと買い取り。  科学技術の低さもそれに工業力の貧弱さも、金さえあればどうにか出来る!

新説 鄧艾士載伝 異伝

元精肉鮮魚店
歴史・時代
五丈原の戦いの翌年から始まる三国志末期。 そこで一介の農政官から一国を降す将軍となった鄧艾の物語。

世界はあるべき姿へ戻される 第二次世界大戦if戦記

颯野秋乃
歴史・時代
1929年に起きた、世界を巻き込んだ大恐慌。世界の大国たちはそれからの脱却を目指し、躍起になっていた。第一次世界大戦の敗戦国となったドイツ第三帝国は多額の賠償金に加えて襲いかかる恐慌に国の存続の危機に陥っていた。援助の約束をしたアメリカは恐慌を理由に賠償金の支援を破棄。フランスは、自らを救うために支払いの延期は認めない姿勢を貫く。 ドイツ第三帝国は自らの存続のために、世界に隠しながら軍備の拡張に奔走することになる。 また、極東の国大日本帝国。関係の悪化の一途を辿る日米関係によって受ける経済的打撃に苦しんでいた。 その解決法として提案された大東亜共栄圏。東南アジア諸国及び中国を含めた大経済圏、生存圏の構築に力を注ごうとしていた。 この小説は、ドイツ第三帝国と大日本帝国の2視点で進んでいく。現代では有り得なかった様々なイフが含まれる。それを楽しんで貰えたらと思う。 またこの小説はいかなる思想を賛美、賞賛するものでは無い。 この小説は現代とは似て非なるもの。登場人物は史実には沿わないので悪しからず… 大日本帝国視点は都合上休止中です。気分により再開するらもしれません。 【重要】 不定期更新。超絶不定期更新です。

処理中です...