大東亜戦争を有利に

ゆみすけ

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空母キラーの潜水艦

これが、独逸帝国の技術だ!

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 総帥の助言から、空母開発の重荷を解かれた海軍工廠技術者らは、潜水艦の設計を対空母型に舵を切った。 いままでは、通商破壊の商船を狙う潜水艦が空母狙いとなる。 とうぜん、空母の周りには駆逐艦が居る。 だいたい6隻の護衛駆逐艦が空母の周りに展開している。  その駆逐艦から身を隠し空母のドテッパラに魚雷を撃ち込むのだ。 技術者のひとりである、ハイネンは考えた、日本の潜水艦は機関音やスクリュー音が聞えない。 別の技術者のベルクも考えた、「ハイネンよ、対空母の潜水艦だが、Uボートの欠点はなんだ。」 「それは、海中で蓄電池で動くから速度が遅いし(15ノット)潜航時間も限られている(8ノットで60時間くらい)ことだ。」 「それに、Uボートの推進音が駆逐艦のソナーで感づかれることだ。」 「日本のは音がしないらしい。」 「英国に日本の派遣潜水艦がいるな。」 「日本のサブマリンが、どんな音の機関音やスクリュー音か聞いてみたい。」 「だが、どうする。」 「わが、Uボートで英国のポーツマス軍港の沖に網を張り、音を聴くのだ。」 どこも考えることは同じだ。 「では、キール軍港の海軍司令部に相談するか。」 「総帥からの開発要望だ、イヤとはいわないだろう。」 ふたりは、キール軍港に向かった。・・・こちらは英国のポーツマス海軍基地だ。 英国戦艦が幅を利かせている。 英国に譲渡した日本の空母が居るが、そこは天下の大英帝国だ。 空母より戦艦の国なのだ。 空母は研究用として軍港の奥のドックに仕舞われていた。 潜水艦も、開発は遅れていた。 まあ、ソナーなどは例外だ。 独逸帝国のUボートに比べて、あきらかに劣っていた。 天下の大英帝国が海中に隠れて攻撃などありえない、が本音だ。 古くは、スペイン無敵艦隊を破ってからの伝統である。 伝統は、まず変わらない。 戦艦偏重の大英帝国海軍である。 ・・・・ポーツマス沖にUボートが日本の潜水艦偵察にやってきて網を張った。 独逸帝国Uボートは水中聴音器をとうぜん装備している。 感度までは著者は知らないが。 一応、領海のギリである。 軍艦旗と国旗を掲げている(国際法で決まっているのだ。)民間船は国旗を掲げる、掲げていないのは海賊船と思われても文句はいえない。 レーダーに感あり。 Uボート艦長は潜航を指令する。(旗は当然しまう。) 海中でモーターを止めて、潜望鏡深度で様子をうかがうUボートだ。  「おい、やってきたぞ。」 「英国の潜水艦だ、録音用意。」 ソナー員が磁気テープ録音機のスイッチを入れる。 紙に磁石の粉(フェライトマグネット)を塗った細長いテープに音を電気の強弱に変えて録音する。 一応、独逸帝国の最新秘密兵器だ。 まだ、一般にはレコードぐらいしかない。 日本海軍は録音を紙テープではなく、石油から加工したナイロンテープを使っていた。 磁力粉はアルニコマグネットを粉にして塗ったものだ。 記録できる周波数帯の広さなど、録音では日本に一日の長があるようだ。 グワン、グワン、グウンと英国潜水艦が通りすぎた。 まるで軍楽隊のようだ。 Uボート艦長は天下の大英帝国もこんなものかとバカにした。 と、その後ろに日本海軍のイ号だ。 「おい、こんどは日本のヤツラだ、しっかり録音しろよ。」 ソナー員は緊張する。 汗が額から伝わる。 ウワサで音がしない、と聞いていたが、全くということは無いハズだ。 ヘッドフォンを掛けなおす。 まだか、ん、ん、チャプ、チャプと小さく波の音が聞えるような気がするが、まだ日本のサブマリンは来ないのか。 「おい、録音できたか。」 艦長が聞いた。 「え、通り過ぎたのですか。」 「あ、あ、今、目の前を行ったが、どうか。」 ソナー員は呆けたように固まった。 なんにも聞えなかった。 水鳥が波をかき分ける感があっただけだ。 とても録音できる音ではない。 海上だからデーゼルは動かしていたはずだ。 でも、聞えない。・・・・そのころ、イ号艦では、ソナー員が「近くに独逸帝国のUボートらしきフネが潜望鏡深度で当方の様子をうかがっていましたが。」 Uボートは動力のモーターを止めても、電気装置や、もろもろの装置から音がすこしは出るのだ。 艦長が、「あ、あ、たぶん音でも録音しようとしたのだろう。」 「どうします。」 「今は戦時ではない、が、そうだ!独逸帝国に敬意を示してベートーベンの第九のさわりを流してヤレ。」 艦長もなかなかイタズラが好きなようだ。 アクデブソナーから第九のさわりが流れる。 Uボートのソナー員は水中聴音器のスイッチを外部スピーカーにつなぐ。 流れる第九の音楽を聴いて、艦長が、「感づかれていたのか。」 思わずゾッとして、制帽を脱いで額の冷や汗を拭った。 
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