176 / 380
戦車が盗まれた。
満州軍の戦車が・・・
しおりを挟む
独逸帝国鹵獲部隊は闇にまぎれて、満州陸軍基地をめざした。 シナのスパイから、基地に新たな戦車が配置になったとの情報からだ。 スパイによると新型らしい。 国境から、それほど離れていない陸軍基地だ。 なんとかなりそうだ。 独逸帝国鹵獲部隊は夜が明ける前にはシナ側へ、鹵獲戦車を運べそうだとの算段から作戦遂行となったのだ。 シナ兵の案内で鹵獲隊は、程なく満州軍の基地に着いた。 とうぜん、守衛がいる。 基地のフェンスの金網を破り侵入する。 国境ではないから警備はそれほどでもない。 「オイ、あれがそうか。」 シナ兵はうなずく。 「これは、米軍のマークⅡじゃないか、でかしたぞ。」 シナ兵に鹵獲隊はボーナスを渡す約束をする。 まだ、米軍のマークを消して、満州軍の印を描いてないのだ。 (満州軍整備隊はシナと同じヤッつけ仕事の癖があるのだ、仕事の先延ばしだ。) さっそく、鹵獲隊の技師が戦車のカギを壊して、エンジンのセルモーターを廻した。 「オイ、静かにヤレ。」 エンジンが掛かる。 全員が乗った。 中に乗れない者は砲塔の後ろの車台に乗る。 鹵獲隊は戦車に乗り、堂々と正面門より戦車で出た。(平然と軍務かのように敬礼して出れば、かえって怪しまれない。) 守衛は敬礼して門を開けてくれた。 守衛は、まさか独逸帝国軍が乗ってるとは夢にも思わなかった。 満州軍の軍務かと思い、通過させてしまった。 国境で満州軍の警備兵の巡回の合間にまんまと逃げおおせた独逸帝国鹵獲隊だ。 ・・・・さて、翌朝だ。 戦車が1両無い。9両しかない。 どうしたかと、大騒ぎになった。 守衛を問い詰めると、夜間、戦車が1両,出ていったとのことだ。 調べるとフェンスに破られた跡がある。 これは、シナのスパイに戦車が盗まれた、となる。 どうする、満州軍基地司令は、いつものパターンだ。 米軍に泣き付いた。 まあ、いまさら、なんとも出来ないが、日本軍情報部とトヨス自動車満州支店に、この話をまわすように手配した米軍基地司令だ。 内心、正規戦車ではなく、装備を旧式に換えて満州軍に渡したことを、ある意味ホットしている米軍基地司令であった。・・・・ こちらは、部品交換して旧式なことを知らない独逸帝国鹵獲部隊だ。 意気揚々と独逸海軍艦艇で祖国に帰った。 さっそくのテストだ。 結果は、満州国派遣米軍の戦車マークⅡについて、①無線機が真空菅を使った古いタイプで通話性能もよくない。 ②エンジンもキャブレターが1個の旧タイプで馬力も独逸帝国戦車ほどではない。 ③寒さ対策はそれなりに良くやってある。 ④砲の照準器も旧式で独逸帝国製がすぐれている。 ⑤砲弾も旧タイプで1分間で2発と4号戦車と同等であり、わが5号の1分で3発砲撃には及ばない。 ⑥脅威と思われるのは装甲であり、10センチ鋼鉄の4号戦車と同等と思われる、装甲板の造りかたはナゾで解明ができない。 結果として、兵器省の以前回答したシナの戦車運用に問題があった、との再確認となった。 おそらく、米軍は複数で4号の背後からせまり砲弾を集中して砲撃してシナの竜戦車を破壊したものと察する。(溶解弾など夢にも考えていない。) よって、重く動きが緩慢であったことがシナでの敗北となったと思われる。・・・以上が独逸帝国戦車開発工廠の結論であった。 新たな戦車5号は動きが4号とは比べられないほど優れている、独逸帝国総帥、ゲッペルンは陸戦での勝利予想を確信したのだ。
0
お気に入りに追加
293
あなたにおすすめの小説
令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました
フルーツパフェ
大衆娯楽
とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。
曰く、全校生徒はパンツを履くこと。
生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?
史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。
大和型戦艦4番艦 帝国から棄てられた船~古(いにしえ)の愛へ~
花田 一劫
歴史・時代
東北大地震が発生した1週間後、小笠原清秀と言う青年と長岡与一郎と言う老人が道路巡回車で仕事のために東北自動車道を走っていた。
この1週間、長岡は震災による津波で行方不明となっている妻(玉)のことを捜していた。この日も疲労困憊の中、老人の身体に異変が生じてきた。徐々に動かなくなる神経機能の中で、老人はあることを思い出していた。
長岡が青年だった頃に出会った九鬼大佐と大和型戦艦4番艦桔梗丸のことを。
~1941年~大和型戦艦4番艦111号(仮称:紀伊)は呉海軍工廠のドックで船を組み立てている作業の途中に、軍本部より工事中止及び船の廃棄の命令がなされたが、青木、長瀬と言う青年将校と岩瀬少佐の働きにより、大和型戦艦4番艦は廃棄を免れ、戦艦ではなく輸送船として生まれる(竣工する)ことになった。
船の名前は桔梗丸(船頭の名前は九鬼大佐)と決まった。
輸送船でありながらその当時最新鋭の武器を持ち、癖があるが最高の技量を持った船員達が集まり桔梗丸は戦地を切り抜け輸送業務をこなしてきた。
その桔梗丸が修理のため横須賀軍港に入港し、その時、長岡与一郎と言う新人が桔梗丸の船員に入ったが、九鬼船頭は遠い遥か遠い昔に長岡に会ったような気がしてならなかった。もしかして前世で会ったのか…。
それから桔梗丸は、兄弟艦の武蔵、信濃、大和の哀しくも壮絶な最後を看取るようになってしまった。
~1945年8月~日本国の降伏後にも関わらずソビエト連邦が非道極まりなく、満洲、朝鮮、北海道へ攻め込んできた。桔梗丸は北海道へ向かい疎開船に乗っている民間人達を助けに行ったが、小笠原丸及び第二号新興丸は既にソ連の潜水艦の攻撃の餌食になり撃沈され、泰東丸も沈没しつつあった。桔梗丸はソ連の潜水艦2隻に対し最新鋭の怒りの主砲を発砲し、見事に撃沈した。
この行為が米国及びソ連国から(ソ連国は日本の民間船3隻を沈没させ民間人1.708名を殺戮した行為は棚に上げて)日本国が非難され国際問題となろうとしていた。桔梗丸は日本国から投降するように強硬な厳命があったが拒否した。しかし、桔梗丸は日本国には弓を引けず無抵抗のまま(一部、ソ連機への反撃あり)、日本国の戦闘機の爆撃を受け、最後は無念の自爆を遂げることになった。
桔梗丸の船員のうち、意識のないまま小島(宮城県江島)に一人生き残された長岡は、「何故、私一人だけが。」と思い悩み、残された理由について、探しの旅に出る。その理由は何なのか…。前世で何があったのか。与一郎と玉の古の愛の行方は…。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
札束艦隊
蒼 飛雲
歴史・時代
生まれついての勝負師。
あるいは、根っからのギャンブラー。
札田場敏太(さつたば・びんた)はそんな自身の本能に引きずられるようにして魑魅魍魎が跋扈する、世界のマーケットにその身を投じる。
時は流れ、世界はその混沌の度を増していく。
そのような中、敏太は将来の日米関係に危惧を抱くようになる。
亡国を回避すべく、彼は金の力で帝国海軍の強化に乗り出す。
戦艦の高速化、ついでに出来の悪い四姉妹は四一センチ砲搭載戦艦に改装。
マル三計画で「翔鶴」型空母三番艦それに四番艦の追加建造。
マル四計画では戦時急造型空母を三隻新造。
高オクタン価ガソリン製造プラントもまるごと買い取り。
科学技術の低さもそれに工業力の貧弱さも、金さえあればどうにか出来る!
暁のミッドウェー
三笠 陣
歴史・時代
一九四二年七月五日、日本海軍はその空母戦力の総力を挙げて中部太平洋ミッドウェー島へと進撃していた。
真珠湾以来の歴戦の六空母、赤城、加賀、蒼龍、飛龍、翔鶴、瑞鶴が目指すのは、アメリカ海軍空母部隊の撃滅。
一方のアメリカ海軍は、暗号解読によって日本海軍の作戦を察知していた。
そしてアメリカ海軍もまた、太平洋にある空母部隊の総力を結集して日本艦隊の迎撃に向かう。
ミッドウェー沖で、レキシントン、サラトガ、ヨークタウン、エンタープライズ、ホーネットが、日本艦隊を待ち構えていた。
日米数百機の航空機が入り乱れる激戦となった、日米初の空母決戦たるミッドウェー海戦。
その幕が、今まさに切って落とされようとしていた。
(※本作は、「小説家になろう」様にて連載中の同名の作品を転載したものです。)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる