165 / 380
英国派遣の日本潜水艦
音紋を採集することが、仕事だ。
しおりを挟む
海軍潜水艦隊、海底軍艦とは別の部門だ。 そこの1隻が英国海軍に派遣されることとなった。 古くは英国軍とは、1900年の清国の内乱(義和団の乱)で共同戦線を張り仲良くなった。 それで、その後、日英同盟が締結された。 英国は、江戸時代に日本の薩摩藩と小さい紛争があった。 薩英戦争だ。 そこで、英国は司令官を薩摩に大砲で殺られて、逃げ帰った。 しかし、結果は薩摩が英国の新式大砲(アームストロング砲)にアタマを下げて偶然に英国の勝利となった。 基本、英国は紳士の国である。 植民地政策はひどいものだが、限度はわきまえていたのだ。 英国には米国同様の兵器援助で、協力関係であった。 英国は独逸帝国と海峡を挟んでいる。 ドーバー海峡だ。 英国にも軍事技術で、あなどれない技術があった。 レーダーとアクデブソナーの技術だ。 ほぼ、日本製とトントンの性能だ。 それで、海軍工廠の技官(技術者の軍人の身分の者。)が潜水艦1隻と共に友好を兼ねて派遣されることとなった。 派遣艦はイ号潜水艦で、標準のタイプだ。 そのスペックは、全長120メートル 幅12メートル 排水量1800トン 最大限界深度350メートル(400メートルで潰れる。) 魚雷 前部4門の発射菅 後部2門 魚雷20本搭載 ソナーはアクテブとバッシブが艦の前、中央、後にそれぞれ装備されている。 海上はデーゼル機関で最高で25ノット 水中はモーターで最高20ノットだ。 巡航は15ノットだ。 8ノットなら3日間連続でもぐれる。 まあ、日本海軍としては普通の潜水艦だ。 ただ、特別に今回は水中聴音器が日本の音響メーカーの凝りに凝った装置である。 大東亜戦争時、イ号潜水艦は偵察用に飛行機を搭載していた。 しかし、ラノベの世界ではレーダーの発達で、偵察機の運用はムダとなった。 いちばん攻撃されて弱いときが飛行機の発艦や回収の作業中であるからだ。 技官は潜水艦のソナー員からのタタキ上げで、夜学の大学院で博士号を取った、音楽を再生するスピーカー造りが趣味の山下技官であった。 いつもヘッドホン(トイレにも架けて行く。)を首に架けているオトコだ。 パッと見、変態オタクにしか見えない。 マッド科学者の須藤君と、いい勝負のオトコだった。 独逸帝国や英国などは、日本のように外洋型潜水艦(1500トンから1900トンクラス)は無く、700トンから1000トンクラスの潜水艦が主だ。 潜水艦の運用に基本的に考え方が違うからだ。 独逸帝国は商船などを狙い、通商破壊を目的とする。 日本は敵軍艦を撃沈するための潜水艦であるからだ。 日本人は兵隊以外を攻撃することは考えないからだ。 それはともかく、潜水艦イ号は英国の軍港(ポーツマス海軍基地)に軍艦旗(旭日旗)をはためかせて入港した。 秘密であるが、独逸帝国潜水艦の音紋を採集することも目的のひとつだった。 しかるべき大戦に備えるためだ。 独身で30歳の山下技官は、本場の伝統ある英国海軍にビビリまくりであった。
0
お気に入りに追加
299
あなたにおすすめの小説
満州国馬賊討伐飛行隊
ゆみすけ
歴史・時代
満州国は、日本が作った対ソ連の干渉となる国であった。 未開の不毛の地であった。 無法の馬賊どもが闊歩する草原が広がる地だ。 そこに、農業開発開墾団が入植してくる。 とうぜん、馬賊と激しい勢力争いとなる。 馬賊は機動性を武器に、なかなか殲滅できなかった。 それで、入植者保護のため満州政府が宗主国である日本国へ馬賊討伐を要請したのである。 それに答えたのが馬賊専門の討伐飛行隊である。
零式輸送機、満州の空を飛ぶ。
ゆみすけ
歴史・時代
ダクラスDC-3輸送機を米国からライセンスを買って製造した大日本帝国。 ソ連の侵攻を防ぐ防壁として建国した満州国。 しかし、南はシナの軍閥が・・・ソ連の脅威は深まるばかりだ。 開拓村も馬賊に襲われて・・・東北出身の開拓団は風前の灯だった・・・
出撃!特殊戦略潜水艦隊
ノデミチ
歴史・時代
海の狩人、潜水艦。
大国アメリカと短期決戦を挑む為に、連合艦隊司令山本五十六の肝入りで創設された秘匿潜水艦。
戦略潜水戦艦 伊号第500型潜水艦〜2隻。
潜水空母 伊号第400型潜水艦〜4隻。
広大な太平洋を舞台に大暴れする連合艦隊の秘密兵器。
一度書いてみたかったIF戦記物。
この機会に挑戦してみます。
西涼女侠伝
水城洋臣
歴史・時代
無敵の剣術を会得した男装の女剣士。立ち塞がるは三国志に名を刻む猛将馬超
舞台は三國志のハイライトとも言える時代、建安年間。曹操に敗れ関中を追われた馬超率いる反乱軍が涼州を襲う。正史に残る涼州動乱を、官位無き在野の侠客たちの視点で描く武侠譚。
役人の娘でありながら剣の道を選んだ男装の麗人・趙英。
家族の仇を追っている騎馬民族の少年・呼狐澹。
ふらりと現れた目的の分からぬ胡散臭い道士・緑風子。
荒野で出会った在野の流れ者たちの視点から描く、錦馬超の実態とは……。
主に正史を参考としていますが、随所で意図的に演義要素も残しており、また武侠小説としてのテイストも強く、一見重そうに見えて雰囲気は割とライトです。
三國志好きな人ならニヤニヤ出来る要素は散らしてますが、世界観説明のノリで注釈も多めなので、知らなくても楽しめるかと思います(多分)
涼州動乱と言えば馬超と王異ですが、ゲームやサブカル系でこの2人が好きな人はご注意。何せ基本正史ベースだもんで、2人とも現代人の感覚としちゃアレでして……。
土方歳三ら、西南戦争に参戦す
山家
歴史・時代
榎本艦隊北上せず。
それによって、戊辰戦争の流れが変わり、五稜郭の戦いは起こらず、土方歳三は戊辰戦争の戦野を生き延びることになった。
生き延びた土方歳三は、北の大地に屯田兵として赴き、明治初期を生き抜く。
また、五稜郭の戦い等で散った他の多くの男達も、史実と違えた人生を送ることになった。
そして、台湾出兵に土方歳三は赴いた後、西南戦争が勃発する。
土方歳三は屯田兵として、そして幕府歩兵隊の末裔といえる海兵隊の一員として、西南戦争に赴く。
そして、北の大地で再生された誠の旗を掲げる土方歳三の周囲には、かつての新選組の仲間、永倉新八、斎藤一、島田魁らが集い、共に戦おうとしており、他にも男達が集っていた。
(「小説家になろう」に投稿している「新選組、西南戦争へ」の加筆修正版です)
架空戦記 旭日旗の元に
葉山宗次郎
歴史・時代
国力で遙かに勝るアメリカを相手にするべく日本は様々な手を打ってきた。各地で善戦してきたが、国力の差の前には敗退を重ねる。
そして決戦と挑んだマリアナ沖海戦に敗北。日本は終わりかと思われた。
だが、それでも起死回生のチャンスを、日本を存続させるために男達は奮闘する。
カクヨムでも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる