大東亜戦争を有利に

独逸帝国軍事技術

これが、独逸帝国の軍事技術だ。

　海洋調査船カイヨウの深海作業ロボットが沈没した潜水艦にワイヤーを掛ける。　さらに、空気を潜水艦のハッチ（逃げるときに開けたままだ。）に送り、船内の海水を出す。　３隻のサルベージ船がウナル。　ワイヤーが切れそうだ。　「まて、空気風船を取り付ける。」　アドバルーンみたいな風船を潜水艦に結わえる。　なんせ、６０００メートルを越える深海だ。　ロボットの作業となる。　以前、月光のエンジンを引き揚げた経験が生きた。　沈没した潜水艦は、やがて浮力を取りもどして、浮かびあがる。　日本にまだない、ミサイル潜水艦を偶然の成り行きで手に入れた日本政府は、カイヨウで浮かんだ潜水艦を海底軍艦の基地（地下ドックがある。）に曳いていくこととなった。　サルベージの乗員には緘口令だ。（特別ボーナスを弾んだ。）　まあ、サルベージ船の船員は全員が海軍工兵の身分だから不安はないが。　今回の件は黙秘の厳命がくだった。　・・・・ここは、海底軍艦地下ドックだ。　開いているドックに独逸帝国ミサイル潜水艦が係留された。　大きさは海底軍艦の半分くらいだった。　日本海軍兵器工廠や鎌倉造船、大見屋造船、はてはトヨス自動車の技師まで。　海底軍艦、建造にかかわった日本の最高技術者らが検分する。　海軍大臣、高野は、「どうかね、パッと見の意見は。」　「侮り（あなどり）がたしです。」　「おそらく、シナに渡したコレより独逸帝国での最新潜水艦は性能がいいと思われます。」　高野大臣はうなずく。　「爆発や破壊での沈没ではないので、電子機器も解析できると思います。」　「浸水しただけですから、再生して運行もできると思いますが。」　「一度、運行させて、性能を検分したいが。」と高野大臣。　「そうですね、さいわい独逸帝国潜水艦トラの巻も艦内から発見されましたから、近いうちには。」　「では、よろしく頼む。」　予算は機密費から捻出することとなった。　とうぜん、国民や読者にも秘密だ。　・・・・ここは、独逸帝国のアルプスにある別荘だ。　総帥がお茶（紅茶）を優雅に飲んでいると、ラジオからシナの潜水艦のニュースだ。　日本海で事故で沈没！　あいつら何をやっとるのか。　総帥はアィヒメン党代表に電話だ。　「日本海での件は知っとるか。」　「ハイ、場所は深い海ですから引き揚げはないと。」　「そのことではない。」　「と、いいますと。」　「あまり高度な兵器は、今後いっさい渡してはならん。」　「了解です、帝国に栄光を。」　「うむ、・・・。」　総帥はバカな味方ほど、あぶないと悟った。　シナには、まだ保障期間があるから代わりに旧型だが扱いやすい型の潜水艦を複数隻、渡してお茶を濁した帝国であった。　シナ海軍は１隻の潜水艦が５隻に増えたので、かえって喜んだそうだ。　それに、海兵からは評判がよく。　沈没することもなかった。　型は古いＵボートと同じだ。　電子機器など無い。　無線機と水中聴音器に真空菅を使ったシナでも修理できるタイプだ。　結局、シナはこの古い型で満足することとなった。